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【第13話_おやすみ】
雨の返事がなくて、透は困ったように微笑む。
でも、逃げさせないほど優しくて、残酷なくらいの好きを、声じゃなくて仕草で伝えてくる。
雨は顔真っ赤のまま、布団に倒れ込んで
「……む…無理…今は無理…」
って、枕に声を埋める。
透はその横に座って、落ちてきた前髪をそっと耳にかけてあげる。
「返事はいいよ。今じゃなくて」
「……寝て。熱、まだあるんだから」
その声が、告白の次の一撃みたいに優しい。
雨はもう限界で、顔を上げられない。
胸がドクドク鳴りすぎて、まともに息もできない。
それでも…
透の手が、おでこからゆっくり離れていく温度が恋しくて。
布団の中から、弱く弱く。
「…………そばにいて」
透の指が一瞬ぴくりと止まる。
でも次の瞬間、壊れ物に触れるみたいに優しく、枕の横に腰を下ろして。
「寝るまで…いるよ」
雨はその声に包まれながら、まぶたが落ちていく。
意識が薄くなる最後の瞬間、透の服の裾をぎゅっとつまんだまま。
透は、そっとその手を握り返して_
雨が眠るまで、ずっと離さない。




