【第11話_告白 1】
透に優しく髪を撫でられながら、雨はゆっくり目を閉じていた。
…けど。
(……寝れない)
だって、透の手つきが優しすぎる。
声が近すぎる。
心臓が騒ぎすぎて、眠気なんてどっか行った。
透は雨が寝たと思ってるらしく、少しだけ息をついて言った。
「……ほんと、無茶するんだから」
雨は返事したい。でも、今動いたらたぶん透が離れちゃう。
だから、寝たふりのままじっとしていた。
すると──
透の指が、そっと雨の頬に触れる。
「……怖かったよ、倒れたとき」
その声は、誰にも聞かれたくなかったみたいに小さくて、震えていて。
雨の胸がぎゅっとなる。
(……そんな顔、俺のためにしないでよ)
透は、続けた。
「強いふりして…隠して…全部ひとりで抱え込むとこ……」
一度、言葉が止まる。
息を吸って、ゆっくり吐いて──
「……そういうとこ、放っておけないんだよ」
その音。
まるで“好き”の一歩手前。
雨の心臓は寝てる設定ぶっ壊しでバクバクしてるのに、透は気づいてない。
透はそっと雨の前髪を払って、タオルを直しながら言った。
「……雨のこと、もっと知りたい」
呼吸が止まるような言い方だった。
「強がってる時も、弱い時も……全部」
少しだけ触れた指先が震えてる。
雨は気づく──透も、余裕あるフリして実はぎりぎり。
「……言えないけどさ。いろいろ」
透は苦笑して、雨の手をそっと包み込む。
「言わなくてもいいよ。俺、待つから」
その優しさが、胸に刺さる。
「だから……無理に平気なふりすんなよ。ちゃんと頼ってよ」
雨は、これ以上聞いたら絶対顔真っ赤でバレる。
でも離れたくなくて、目を閉じたまま指を少しだけ動かしてみた。
ぎゅ……。
透の指を、弱くつまむように。
透は驚いたみたいに息をのんで──
でもすぐ、優しく雨の手を握り返した。
「……起きてた?」
返事ができなくて、またぎゅっと握る。
透はふっと笑って、小さく囁いた。
「……そっか。じゃあ、寝たふりの雨にも言うね」
距離が、耳元すれすれ。
「俺……雨のそういうとこ、好きだよ」
雨の心臓は完全に爆発。
けど、返せない。返したら全部壊れそうだから。
透はそのまま、雨の手を握り続けた。




