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透き通る雨に揺られて  作者: YUKI
《第2章》この気持ち
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【第10話_看病】

ベッドに横になった雨は、まだ息が少し荒くて、頬がほんのり赤い。

そんな雨を見て、透は眉を寄せながらも、どこか優しい表情を崩さない。

「ちょっと待ってて。すぐ冷やすもの取ってくるから」

あわてて立ち上がるかと思いきや──

透は一度、雨の額にそっと触れた。

「……やっぱ熱い」

指先がひんやりしていて、触れられた部分だけ体温が跳ねる。

透は軽く息を吐いて、部屋を出ていく。

雨はその足音を聞きながら、胸が落ち着かない。

数分後。

「はい、持ってきた」

透は冷えたタオルを手に戻ってきて、椅子なんて使わず、ベッドのすぐ横に膝をつく。

目線が近すぎて、呼吸の音まで聞こえる距離。

タオルをたたみ直しながら、小声で言う。

「……ほんと、無理しすぎ」

その声は怒っているんじゃなくて、心底心配している音。

雨が言い訳しようと口を開いた瞬間──

ひやっ。

透がタオルをそっと額に乗せる。

その手つきが優しすぎて、雨の全身が緩んでいく。

「がんばったね、雨」

言われた瞬間、呼吸が止まりそうになるほど胸が熱くなる。

透は、タオルを押さえたまま雨の髪をふわっと撫でる。

「誰にも頼らないで、ひとりで耐えて…えらいよ」

ゆっくり、丁寧に、子ども扱いじゃなくて“雨自身”を労わるように。

雨は目をそらすけど、透は逃がさない。

「……恥ずかしい?」

「べ、別に……」

「顔見たらすぐわかるよ。赤いし」

そう言いながら、透はタオルがずれないように顔の近くに手を添える。

距離が、やばい。

透の指先が、雨のこめかみをやさしくなぞる。

まるで安心させるように。

「大丈夫。俺がそばにいるから」

耳元で落ちたその声は、低くて、甘くて、完全に反則。

雨の胸は痛いくらいに鼓動して、透はそれさえも読み取ったように薄く笑う。

「ほら、力抜いて。……寝てもいいよ」

その言葉が落ちるたび、雨のまぶたはゆっくり重くなる。

透の指が、髪をやさしく撫で続けて…。

「休んで。俺がずっと見てる」

その最後のひと言で、抵抗する気力すら溶けていった。

雨の息が落ち着いたのを確認すると、透はそっとタオルを直して、もう一度だけ髪を優しく撫でる。

「おやすみ、雨」

透の声が、優しさでとろけていた。


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