1章-1-1
目が覚めると、そこは見覚えのある豪華な天井だった。
驚いてベッドの横に置いてある手鏡を見ると、顔が小さくなっていた。おまけに手まで!
「私...もしかしてタイムスリップしちゃったの!?」
だけど、今は何歳なのかしら...
豪華な部屋だし、侯爵家に来た5歳以降であることは間違いないけれど...
そんなことを考えていると、ドアがノックされる音が聞こえた。
返事をすると、ドアが静かに開く。
「...っ!あなたは...!」
ドアの先には、私の専属の侍女であり、どんなに辛い時も一緒にいてくれた、アルトがいた。
彼女は私が他の侍女たちが避ける中、唯一優しくしてくれたのだ。
抱きしめたくなる気持ちをこらえて、ある質問をする。
「アルト、私って今何歳だったかしら?」
そう質問すると、
「あら、アウロラ様、自分のご年齢を忘れてしまわれたんですかぁ?仕方ないですねぇ~」
なんてことを言いながら仕事をする彼女は、どこか嬉しそうだった。
彼女の間延びした話し方も、前は少しいらいらしていたが、今となると愛おしく感じる。
「アウロラ様の年齢はぁ~、8歳ですよぉ~」
「8歳...侯爵家に来てからもう1年経ったのね」
私は、侯爵家に生まれたわけではない。もとは貧民街で母と二人で過ごしている、貧乏な平民だった。
だが、ある日突然家に兵士がやってきて、私が侯爵様の隠し子だとか何とかで侯爵家に連れてこられたのだ。
そこには、私の義妹だというステラ・スぺキュラムがいた。彼女は愛を一身に受けた、いかにも幸せそうな顔をしていて、心の底から怒りが沸き上がってきた。
私は、母親にですら嫌われていて、いつも早く死んでほしいと呟いていた。
そしてその日、自分の惨めさが私の心をより辛くさせたのだった。




