第1話 異世界召喚 ~宝石鑑定士の新たな旅立ち~
第1話 異世界召喚 ~宝石鑑定士の新たな旅立ち~
「この輝きは...まさか、アレクサンドライト?いや、違う。この独特の光沢は、レアなガーネットの一種だ。素晴らしい...」
ルーペ越しに宝石を眺める風間翔太の瞳は、まるで宝石そのものが宿ったかのように煌めいていた。
宝石鑑定士として50年のキャリアを持つ翔太。数多の宝石を見てきた彼の鑑定眼は、もはや神の領域に達していると言っても過言ではない。
「風間さん、その宝石の鑑定結果は?」
若い助手が翔太に尋ねる。
「ああ、これはマダガスカル産のデマントイドガーネットだ。非常に希少価値が高い。0.1ctで50万円はするだろう」
淡々と答える翔太だったが、内心は熱く激しい感情で満たされていた。
(50年...長いようで短かった。いや、私の宝石への情熱は今も衰えてはいない!)
人生の大半を宝石に捧げてきた翔太。その情熱は、歳を重ねるごとに強くなっているようだった。
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鑑定を終えた翔太が事務所に戻ると、そこには見慣れぬ巨大な宝石が置かれていた。
「な、なんだこれは...」
翔太が驚きに目を見開く。そこにあったのは、今まで見たこともないような巨大な紅玉。その大きさは、ソフトボール大はあろうかという代物だ。
「こんな宝石があったなんて...一体どこの誰が...?」
謎の宝石を前に翔太が頭を抱えていると、突如事務所内に眩い光が満ちた。
「うわあっ!な、なんだ!?」
光に飲み込まれる翔太。気づけば、彼の身体は光の中へと引きずり込まれ、どこかへ吸い込まれていく。
「く、くそお...これが人生の最期か...」
得体の知れない光に抗えず、翔太の意識は遠のいていった。
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「...ん...ここは...?」
目覚めた翔太が見たものは、聞いたこともない鳥のさえずりと、見たこともない緑豊かな光景だった。
「私は...異世界に...?」
頭を抱える翔太。突然の出来事に混乱を隠せない。
(夢か?いや、痛みは本物だ。大石につまづいて膝を打った...)
翔太は周囲を見回し、自分が置かれた状況を飲み込もうとする。
(どうやら、私は異世界に召喚されたようだ...)
今までの人生経験が通用しない、非日常の世界。翔太の心は不安と動揺でいっぱいだった。
「ここで途方に暮れていても仕方がない...まずは情報を集めねば」
懸命に平静を装い、翔太は足を踏み出した。予想だにしない異世界での新たな旅が、今始まろうとしている。
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村はずれの宿屋に辿り着いた翔太。
「こんばんは、一泊させてもらえますか」
カウンターに立つ愛想の良い青年に、翔太は泊まれる場所を尋ねる。
「ええ、もちろんですよ。お客さん、見ない顔だね。旅の方かい?」
(どう説明したものか...このままでは不審者だと思われてしまう...)
「あ、ああ...その通りだ。遥か遠くから来たんだ」
翔太は曖昧に答えつつ、必死で笑顔を作る。
「へえ、よく来たね。実は最近、この村も物騒なんだ」
青年は、不穏な空気を漂わせながら言葉を続ける。
「物騒って...どういうことだ?」
「この辺りの鉱山に、魔物が住み着いてるらしいんだ。村の人が何人か襲われたって噂だよ」
(魔物...やはりここは異世界なのだな)
「そ、そうか...くれぐれも気をつけないとな」
動揺を隠しつつ、翔太は青年に返事をする。
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翌朝、宿屋を出た翔太は村の鍛冶屋を訪ねていた。
(異世界を旅するなら、武器は必須だ。鍛冶屋なら何かあるだろう...)
「いらっしゃい!」
到着した鍛冶屋で、翔太を出迎えたのは元気な女性店主だった。
「あの、武器を一つ欲しいのだが...」
「はいよ!じゃあ、あんたに合った武器を選んでみようか」
女性店主は陽気に応じ、店内の武器を次々と翔太に見せる。
「こ、これは...」
翔太の視線が、一際美しい刀身を持つ一本の剣に釘付けになった。
「おっ、目ぇつけたねえ。それ、うちの自慢の一品だよ。この村に伝わる宝石の粉を混ぜて作ったんだ」
(宝石の粉だと...?)
剣に宿る淡い輝きを見つめ、翔太は思わず息を呑む。
「これを...私に売ってもらえないだろうか」
「ええい。あんた、気に入ったみたいだしな。うちの剣をよろしく頼むよ」
宝石の剣を手にした翔太。これが、異世界を切り拓く相棒になるのだろうか。
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「竜玉の欠片だと!?」
村長の家を訪れた翔太は、衝撃の事実を告げられていた。
「うむ。お主が持つ その剣に使われておる宝石、それは我らが村に伝わる竜玉の欠片だ」
村長は神妙な面持ちで語る。
「竜玉とは...一体何なのだ?」
「古より伝わる秘宝じゃ。われらが村は、その守護者を務めてきた」
村長の言葉に、翔太の脳裏に閃光が走る。
(ま、まさか...私を異世界に呼び寄せたのは...)
「お主は竜玉に選ばれし者。我らを、魔物の脅威から救う英雄にちがいない」
「え、英雄だなんて...私はただの宝石鑑定士だ」
突然の使命に翔太は戸惑いを隠せない。
(私に何ができるというのだ...武器を握ったこともないというのに...)
「ならばなおさら、宝石の力を引き出せるのはお主しかおらぬ。頼んだぞ、風間翔太殿」
動揺する翔太を置き去りに、村長は期待の眼差しを向けるのだった。
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村を出た翔太は、竜玉の欠片が使われた剣を握りしめていた。
(こんな非日常の世界で、私に何ができるのか...)
未知の世界に立ち向かう不安と、期待される使命の重圧。翔太の胸には溢れんばかりの感情が渦巻いている。
(いや...私には宝石の知識がある。この剣に宿る力を、私なりの方法で引き出せるはずだ!)
翔太は大きく息を吸い込み、覚悟を決める。
「よし...やってやろうじゃないの。50年の経験を胸に、異世界で無双してみせる!」
道中で出会った愛らしいケモミミ少女や、ちゃっかり者の魔法使いとの冒険が待っている。
そして、この世界の謎を解き明かし、魔物の脅威から村を守る使命が。
異世界に舞い降りた宝石鑑定士、風間翔太。
彼の新たな人生の旅は、まだ始まったばかりなのだ。




