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セリカシュン  作者: 青紙 ノエ
第2章 私の知らない物語

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7/26

 ハーデンベルギア(運命的な出会い)


 前話と同様に『』内の言葉はフランス語とさせて頂きます。






 六月中旬の土曜日。


 目覚めるとカーテンが全開になっている。

 只今の時刻、五時五十七分。

 初夏を思わせる、湿気混じりの涼しい空気。


『アーン。起きちゃった』

『デジレ姉さん? なにをやってんの?』

『エミルの寝顔を見ていたのよ』

『見ていたのよって、六時前だよ?』

『時差ボケで眠れないのよ…。さあ、エミルも起きて、今日は買い物でしょ?』

『早いなオイ…。まあいっか、オッケー! ボケた姉さんに付き合いますか』


 デジレ姉さんはペシっと俺のオデコを叩いた。

 

 リビングに行くと、朝食が出来上がっている。

 シーチキンを使ったベビーリーフのサラダとカスクルート。

 どうやら日本の食パンにハマったようだ。


『ねえ、どうして今週はセリカは来ないの?』

『お母さんが休みなんだって』

『お母さんが休みって何?』

『金曜日から月曜日の朝まで夜の勤務でね。 夜に一人じゃ可哀想だからって、毎週ウチに来ているんだよ。 今週はお母さんがいるから、二人で出かけるんじゃないかな?』

『セリカは優しい子ね』

『うん、口は悪いけど優しい子だよ』


 姉さんは芹香を気に入っているみたいだ。

 日本のファンシーグッズが大好きな姉さん。 姉さんにとって、芹香もファンシーの部類なのかもしれない。 そう思うと笑える…。


 九時半ごろになり、俺と姉さんはショッピングモールに向かった。

 本日、向かうのは埼玉県にある大規模なショッピングモール。 都内の高校性の中でも有名な場所だ。 大きな湖の畔にあり、アウトレットモールもあるらしい。 姉さんは昨夜から興奮気味だった訳だが、今思うと眠れなかった事に対して時差ボケは関係なかったと思う。



 現地に到着し、俺たちは昼食をとる事にした。

 

『エミ、オムレットに行きましょうね!』

 テンションがマックス状態のデジレさん…。


 店内に入り、オムレットのお店は結構な行列ができていた。

 ちなみにその行列のほとんどは女性だ。 恥ずかしいっす…。


「メニューをどうぞ」

 店員さんが姉さんにメニューを渡した。

『ここで注文をするの?』

「えっと、すみません。英語は苦手で…」

 姉さんはその女性店員に、フランセで応答を求めた。 ここは日本ですよぉ。


『違うよ姉さん、待っている間にメニューを見ていて下さいって事だよ』

『ワオ。そういう事ね』


「メッシ ビァン、お嬢さん」

 店員さんは姉さんにお辞儀をして、後ろの人にもメニューを渡していった。


「青井くん?」

 突然、後ろから話しかけられた。 振り向くとクラスメイトの和久井さん。

 俺たちの後ろで友人たちと待期していた。


「青井くん片山さんは? てか、今の何? どこの言葉?」

 和久井さんが身を乗り出して聞いてきた。

「フランセだよ、こう見えておれはフランス人だから。 この人は俺の伯母でデジレ姉さん。 そして今日は芹香はいないよ。 今日は姉さんとショッピングに来たんだ」


 和久井さんはデジレ姉さんに()()()()になっている。


「初めまして、エミルのお友達?」

「はい。 えっと、和久井桜です。 和久井沙也加(さやか)の娘です」

「ワオ! サヤカのフィーユ? かわいい子ね」

「あ、ありがとうございます…。あの、デジレさんこそとても綺麗ですね。 言葉を失っちゃいました」


「お次の方どうぞ」

 俺たちの順番がきたようだ。

「はい」

「お先に失礼しますね」

「うん」



 俺たちは和久井さんたちに挨拶をして先に店内に入った。

『姉さん店内にどうぞだって、入ろう』

「チャオ」

「ち、チャオ・・・」


 

 オーダーを終え、グラスに口をつける。

『ねえエミル?』

『姉さんが言いたいことは、なんとなくわかるよ』

『ワオ! すごいわね!』

『いや、声デカいから!』


 姉さんは口をおさえ、周りを見渡す。

『セリカも可愛いけど、サクラは美人系ね。 どっちがエミルのタイプ?』

『そんなのセリカに決まっているでしょ?』

『ワオ! エミルは本当にいい子ね』


 すると、となりの男性が俺に話しかけてきた。


『お食事中にすみません。 フランス語が上手ですね』

『ありがとうございます。 俺の母さんがフランス人でして』

『まさか?』

 そう言って、男性は姉さんを見た。

『あはは。 違いますよ、彼女は母の妹でして。 叔母というには若すぎるので、姉さんと呼んでます』


 すると、その男性と一緒にいた女性は 素敵 と言った。


『ああ、すみません。 私は黒川といいます。 突然すみませんでした。彼女は家内のアミーユです』

 そう言って名刺をくれた。

『ご丁寧にありがとうございます。 僕は青井 エミール 瞬です。彼女はデジレ デュ カミーラです』


 フランス語が飛び交いすぎて、注目を浴びてしまったため、俺は黒川さんに提案をした。


「すみません黒川さん。 少し注目を浴びているようなので、日本語でお話しませんか?」

「おお。 申し訳ないです。 興奮してしまいました。 それでは後ほど少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」

「わかりました。 姉さんにも伝えておきます」

「ありがとうございます」


 黒川夫妻はそういってテーブルを後にした。


 そして俺たちも食事を終え、お店を出る。

 黒川さんは俺たちを待っていたようだ。


 この時、俺は黒川氏との関係が、深くなるとは思わなかった…。


 







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