表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セリカシュン  作者: 青紙 ノエ
第2章 私の知らない物語

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/26

 カルヴィンスキアヌス(遠方より見守る人)

「久しぶりね」

   ・

   ・

   ・

「芹香は元気よ」

   ・

   ・

   ・

「一人じゃ大変でしょ?」

   ・

   ・

   ・

「やっぱり、そうだったんだ…」

   ・

   ・

   ・

「あの子もそうよ。だったら一緒に暮らさないほうがいいわね」

   ・

   ・

   ・

「はい。いつか会いに行きます」


 日曜日の午後。


 陽気が日々、春から夏へと向かっている気がする。

 五月の中旬を過ぎたあたりから、気温はグングンと上昇してきている。

 それに伴い、庭の雑草も太陽に向かって伸び始めてきた。


「エミくーん、腰が痛いよほほーん」


 俺と芹香は庭の雑草取りをしている。

 芹香は文句ばかりを言い、先ほどから手が全く動いていない。


「芹香、少しは頑張ってくれ」

「わかった、それじゃトイレに行ってくるね」

「お前、何回トイレに行っているんだよ…。身長と一緒で、タンクも小っちゃいんだな」

「身長は関係ないだろ! えい! ビシビシ!」


 芹香は掛け声と同時に俺の背中に乗ってきた。


「暑苦しいから降りろ46キロ! 重いんだよ!」

「キー! うるさい! ビシビシ!」


 芹香の ビシビシ! は何の影響だ?


「ねえ、エミくん」

「なに?」

「デジレさんってどういう人?」


 ガーデニング用トレーラーに座り、草取りをしている俺の背中に芹香は腰を下ろしながら聞いてきた。


「優しい人だよ」

「年は?」

「確か二十七才」

「そんなに若いの?」

「うん。グランマの連れ子だもん」


 芹香は俺におぶさってきた。


「デジレさんって綺麗?」

「綺麗な人だよ。恋人がいないのが不思議なくらいだな」

「エミくんは?」

「何が?」


 芹香はググっと、俺の背中に体重をかけてきた。

 なんで何も言わないんだ?


「芹香、どうしたの?」

「なんでもない、お花摘みに行ってくる…」


 どうしたんだ?

 変な奴…。


 その後、芹香は庭に出てこないまま、草取りは終了した。



 十二時が近くなり、俺はキッチンに向かう。

 すると、芹香は昼食を作っていたようだ。


「お疲れ様。あと少しでできるから待ってね」

「うん」


 俺は先ほどの事が気になり、芹香の後ろに立った。


「なに? どうしたの?」

「さっきのなんだよ。気になるじゃん」

「だって…」


 芹香は口をとがらせている。

 こいつ、本当に変わらないな…。


「和久井さんがね、俺がフランスに行ってもいいんだよって言ってくれたんだ」


 芹香が物凄い速さで振り返った。


「やだ! 行かないで!」

「行かないよ。芹香とはもう離れたくないって言った」


 芹香はホッとしたように俺に抱き着いてくる。


「俺のシャツで鼻水を拭くなよ」

「えへへ…」

「ごはん、出来たんだろ? 食べながら話そう」

「うん」


 出来上がったプレート、オムライスをテーブルに置き、俺たちは食べ始める。


「いただきます」

 二人で同時に言った。


「お弁当もそうだけど、いつも美味しいものを作ってくれてありがとう」

「ふふーん。私ったらすごいでしょ?」

「うん、すごい」


 俺は冷たいお茶を一口飲み、話を始めた。


「叔父さんと母さんが別れた理由って知ってる?」

「知らない。なんで? エミくんは知っているの?」

「叔父さんの葬儀の時に母さんから聞いた」

「そう、それよ! 私、父さんが亡くなったの知らなかったんだけど!」

「あの場で俺と芹香は会わせたくなかったんだって」

「意味がわかんないんだけど!」


 芹香はバックから携帯を取り出した。


「母さんに電話しないで」

 おれは芹香から携帯を取り上げた。

「返して!」

「話を聞いてくれ」

 

 芹香は椅子に座る俺の膝に乗ってきた。


「返して!」

「携帯は返すけど、母さんに電話はやめてくれ」


 芹香は腑に落ちない顔をしている。


「わかった。でも帰ったらお母さんに聞くから!」

「そうしてくれ」


 そして俺は叔父の葬儀の時のことを話し始めた。


「葬儀の時に母さんが俺に一緒に住まない? って言ってくれた。でも俺はそれを断ったんだ」

「なんで?」

「芹香がいるから」

「なんで!? 私のこと嫌なの!?」

「違うよ…」

「じゃあなんでよ!」

「姉弟としてじゃ嫌なんだよ」

「え?」

「芹香が姉さんじゃ嫌だっつってんだよ」


 俺の膝の上で芹香が固まっている。


「エミくん、妹が欲しいの?」

「お前! それは天然じゃなく、バカだろ!?」

「誰がバカよ! ビシビシ!」

「あーもー! 母さんたちの離婚はそれが原因だよ!」

「え? ちょっ、待っ…意味がわからないんだけど?」

「話は終わり! 飯をくったらデジレ姉さんの部屋を片付けるぞ!」


 なんなんだ?

 俺、ほぼコクったよな…。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ