アズサアイ(嘘つき)
「どう言うこと!」
芹香と香山さんがサクちゃんに対し、責めるような口調で問いただしている。
・〜・〜・説明的振り返り・〜・〜・
バイト後の会食で、社長(桜の母)から話が出た、函館店への移動の件。
瞬は社長から、函館へは桜も一緒に行くと聞く。
瞬が芹香から聞いていないことに、桜は未だ、芹香や友人には函館行きのことを話していない事に気づく。
社長から、芹香や友人には函館行きの事を言わないように。との事だが、一瞬でバレてしまった。
全ては湊料理長がバラしたからである。
空気を読めない悪い男。それが湊料理長である・・・。
・〜・〜・
「言おうと思っていたんだけどね」
サクちゃんは目を泳がせながら耳を触っている。
サクちゃんは小さい時から、悩んだり困ったりすると耳を触る。
「私たちに隠していた理由はなんとなくわかる。でも寂しいじゃん・・・」
香山さんと聖也もうなづいていた。
「瞬くんも寂しい?」
「そうだね、せっかく仲良くなったのに、箱買いした納豆もまだ残って・・・」
ビシッ!
俺はサクちゃんに太ももを蹴られた。
「痛ってー! しなるような蹴りやめて・・・」
「納豆のことは言うな!」
芹香が何かを企んでいる顔をしている。
「確かに、納豆たくさんあるねぇ〜」
ビシッ!
またもや俺に蹴りが入る。
「いや、今言ったの芹香だから!」
「連帯責任!」
意味がわからん・・・。
てか湊さん、いつの間にか居ないし?
全体的に俺が責められているし?
「てか瞬くん、私が蹴った時にスカートの中を見たでしょ?」
芹香が俺を睨む。
「そんな、一瞬で見えないよ」
「本当に?」
「桜、エミくんは嘘をついているよ。何色だったかハケ!」
「見えてないって!」
「さあハケ!」
「なんで駅前でこんなことになっているんだよ! だいたい湊さんがバラしたのに、俺は何も悪く無いじゃん!」
俺が正当な発言をすると、みんなは顔を見回した。
「ああ、確かにそうだったわね。私も熱くなりすぎた」
肩を落とすサクちゃん。
「で? 何色だったのよ!」
「オマエはまだ言うのかよ!」
「言う!」
「白で黒いフリルが付いて、赤いリボンだよ!」
「うわ・・・。キモ・・・」
芹香と香山さんが声を合わせた。
「瞬くん、細かく見過ぎで引くわぁ・・・」
サクちゃんは全身で俺をドン引きしている。
そんな時、駅の方からデジレ姉さんが現れた。
「みんなこんにちは。エミルを責めているの? 可哀想だからエミルは私が連れて行くわね、オルヴォワール」
突然現れたデジレ姉さんに皆が呆然とする
『エミル、さあ行きましょ』
『姉さん、お茶して帰らない?』
『そうね、私も少し休みたいわ』
俺と姉さんはその場を離れた。
「ねえ芹香ちゃん、今の綺麗な人って誰!?」
「一ノ瀬さん、まだいたんかーい!」




