表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セリカシュン  作者: 青紙 ノエ
第1章 君の知らない物語
2/26

 ゼフィランサス(汚れなき愛)


 入学式が終わり、教室に戻るA組。

 初日という事もあり、みんなよそよそしい。


「青井くん」

 俺の前を歩く男子が話しかけてきた。

 俺は返事の仕方に戸惑い、彼を見る。

「片山さんとはどのくらい会っていなかったの?」


 ですよねぇ。

 やっぱそれだよねぇ。


「中学に上がる前、小六の夏休み前っだったかな?」

「三年とちょっとか? 久しぶりに会ってどう?」

「それが全然変わんね。特に背が」


「黙れエミ! ビシビシ!」

 いつの間にか俺の背後にいた芹香が、俺の背中をパンチしている。


「あーうざい。向こう行け」

「なんだと! ビシビシ! ワンパンだ、ビシビシ!」


 ワンパンじゃねぇだろ、何回パンチしてんだよ…。


「ねえ青井くん」


 今度は芹香と一緒にいた女子が話しかけてきた。

 そして俺はまたもや返事に戸惑い、目だけを合わせる。


「片山さんって、家でもこんな感じだったの?」

「うーん。寝てるか、食べてるか、ゲームをしていたね」

「あはは! なんか想像できる!」


「ねね、青井くん」


 うわぁ、また女子かよ?


「何?」

「片山さんって、いつも青井くんにくっ付いていたの?」

「うーん…。くっつく? 貼り付く? そんな感じっだったかなぁ?」

「片山さん、甘えん坊なんだね? 今もそうだもんね?」


 確かにコイツはいつも俺に張り付いていたな。

 ちょっと待て!?

 もしかしてこれって非常にヤバくね?

 勘違いされて、彼女できないんじゃね?




      * * *




 教室に入り、今後の予定を担任が話し始める。


 今週は金曜日まで授業が無いらしい。

 そして今日は自己紹介と席替えをして終了のようだ。

 芹香とは席を離れたいところだな…。


 そして、自己紹介が始まった…。

 スタートは男子からのようだ。


 先ほど俺に話しかけてきた男子は相京くんという名だ。なんと彼が入試でトップだったらしい。すげーな相京くん。

 その後、相田くん。会田くん。もう一人の相田くん。間くん。藍田くん…。


 ちょっと待て!

 すげーな日本のアイダ性!

 何通りあるんだよ!


 そしていよいよ俺の番。

 みんなにとっては何よりも知りたかった俺の正体だろう…。


「先ほどはお騒がせいたしました。青井 (しゅん)です。まずは皆さんが知りたがっていると思うので、先に俺と片山 芹香さんとの関係を話します」


 なぜか拍手が鳴り響く。


「約十年前ですが、両親が他界したため、俺は叔父の家に引き取られました。小学一年生の時です。そしてすぐに叔父は片山さんのお母さんと再婚をしました。その時に俺と芹香は兄妹になりました。その5年後くらいでしょうか。叔父は芹香のお母さんと離婚し、今に至ります」


「青井くん、サクッと話したけど大変な人生だったわね…」

「親は週に一度、会うか会わないかだったので、気にしていなくは無いけど、って感じです」


「はいはーい! 青井くんに質問!」


 窓際の女子が元気に手をあげた。


「なに?」

「私は和久井 桜、よろしくね。ところでだけど、片山さんはなんでエミくんって呼ぶの?」


 みんながウンウンと首を縦に振っている。


「実は俺、国籍はまだフランスなんだ。母さんがフランス人で、エミはセカンドネームのEmile(エミール)。でもセカンドネームは家族が使うものだから、みんなはその名で呼ばないでね」

「えー、片山さんは呼んでるじゃーん!」

「え? 芹香は姉さんだよ? 当たり前でしょ?」


 なぜかみんなが、『おぉー』っと言っている。


 そんな中、芹香はドヤ顔をしていた…。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ