表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セリカシュン  作者: 青紙 ノエ
第4章 そして僕は途方にくれる物語

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/26

 ゲウム(前途洋々)


 一ノ瀬(いちのせ) 沙里(さり)とコーヒーショップで談話をした青井 瞬。

 大学に通う一ノ瀬は外国語の専攻をフランス語にしていた。

 瞬がフランス語を話せる事に、好意を持った一ノ瀬はお互いに名前呼びを提案する。

 些細なことが大きく発展することもあるだろう。

 大きく発展をしても、何もせずに終わる事もある。

 

 そして瞬は家へ向かう。瞬よ、今は誰と何をしていたかの言い訳を考えておくべきだろう・・・。




      * * *




 一ノ瀬と別れ、バスにて帰宅する瞬。

 土曜日の夕方の車内は空席が目立つ。

 俺は携帯を見る。

 マナーモードになっていたので気が付かなかった複数のメッセージ。芹香からだ。

 メッセージを開く。

「バイト終わった?」

「夕飯は何がいい?」

「おーい 返事をよこせ」

「何かあった?」

「デジレ姉さん、今日は遅くなるって言っていたよ」

「エミに電話したらすぐに切られたって言っていた」

「エミどしたの?」


 ありゃりゃ。これは心配させちゃったな。

 俺はマナーモードで気が付かなかった事と、今はバスに乗っていて、あと十分くらいで帰宅できることをメッセージで告げた。

 すぐに既読になるメッセージ。そして「バカ!」と送られてきた俺への新規メッセージ。

 はいバカです・・・。


 数分後、降車するバス停に到着。芹香が部屋着のまま、バスの到着を待っていた。


 バスを降りると、俺に抱きつく芹香。

「ビックリさせるなバカ!」

 開口一番で俺を誹謗する芹香。


「どうした? 何かあったのか?」


 俺の問いに首を横にふる芹香。


「え? 泣いているの? どうしたんだよ!」


 俺のお腹に顔を埋めていた芹香は突然、俺を見る。


「女の匂いがする・・・」


 え? やだ怖いこの子・・・。


「誰と一緒にいたの? 桜とか五和じゃ無いよね」

「ああ、バイト先の先輩」

「何で?」

「俺の失敗で、さ・・・一ノ瀬さんがお客に怒られちゃって」

「さ?」


 え? ちょっとマジで怖いこの子・・・。


「さ?」

「今、()って言った」


 探偵か!?


「言った?」

「言った!」


 てか、何で俺は怒られているんだ?

「とりあえず、帰らない?」


「・・・帰る・・・」

 腑に落ちない顔をする芹香。

 俺たちはやっとバス停から歩き始めた。

 芹香は俺の右手をぎゅうっと握っている。


「姉さんどうしたの?」

「仕事・・・」

「そりゃそうだろうけど」

「エミくんに電話をしたらすぐに切られたって言っていた・・・」

「ああ・・・。それは店内でフランス語で話していたから、注目を浴びちゃって・・・」

「絶対に嘘・・・」


 はい嘘です。


「あー。一ノ瀬さんっていうんだけどね、一緒にお茶してた人。その人、大学の専攻でフランス語らしくて、俺がフランス語を話せることがバレたくなかったんだ」

「だから?」

「だから? だから電話を切った」


 突然、立ち止まる芹香。


「やだ・・・」

「何が?」

「わからない・・・」


 芹香は立ち止まり、そのまま動かない。


「芹香。今日はすぐに連絡できなくてゴメン。うっかりしていたんだ。これからは芹香に心配させないから」

「・・・私もゴメン・・・。エミくんが他の女と一緒にいる事が・・・。二人でいると考えたら嫌だった・・・」

「俺も芹香が他の男と一緒にいたら嫌だ。同じだよ」


 俺がそう言うと、芹香はやっと顔を上げてくれた。


「帰ろ。夕飯、一緒に作るんだよ?」

「うん、任せろ」



 俺は機嫌が治った芹香と帰宅した。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ