表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セリカシュン  作者: 青紙 ノエ
第4章 そして僕は途方にくれる物語

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/26

 ハイビスカス(新しい恋)


 月曜日の朝。


 芹香と和久井さん。それと香山さんの3人はいつものように話をしている。

 その光景を見たクラスメイトは不思議そうな顔をし見ている。

 それは土曜日の打ち上げでは一悶着あったように見えたからだ。

 実際はその後、和久井さんの親子は我が家に泊まったのだが・・・。


 俺が席に着いたのを見た和久井さんが満面の笑みで俺に近づく。

「エミくん、おはよう!」

 和久井さんの一言で、クラスのみんなが俺を見る。

 はいはい。皆さんが思っている事はわかりますよ・・・。

「おはよう、和久井さん」

「えっ? サクちゃんでしょ?」

「ああ、そうだったね・・・」


 タイミングよく担任が教室に入ってきた。ひとまず助かった。

「みんな席に着いてー」

 着席と同時に、後ろの席の聖也が俺の背中を何かでつついてきた。そして俺に小声で話しかける。

「和久井さんと付き合うことにしたの?」

 この一言に反応したのは俺ではなく芹香だった。


 芹香は聖也を睨みつけている。


 スゲーな芹香。お前の耳はデビルマンと同等の地獄耳だ。さしづめセリカイアーとでも言っておこう。


「片山どしたー? 青井のことを見たりなかったか?」

「違います! 今は加藤を威嚇しているんです!」

「はあ? 威嚇ってなんだ? どうでもいいけど、暴力を含んだ喧嘩はするなよ」

「善処します!」

 芹香はそう言って前を向く。


「瞬、助けて・・・」

「善処します」

「うう・・・」




      * * *



 昼休み。


「ねえ、青井くん」

「何? 香山さん」

「後でちょっといいかな?」

「うんいいよ。今でもいいけど?」

「それじゃ、お願い」


 俺は香山さんに連れ出された。

 あまり人の通らない渡り廊下の入り口。意を決したように香山さんは話を始めた。

「青井くんて聖也くんと仲がいいじゃん?」

「うん」

「私もさ、聖也くんと同じでアニメとか好きでさ」

「うん」

「えっと、少年漫画も好きで」

「うん」

「ジャ○プとかマ○ジンも読んでいてね」

「うん」

「何で笑っているの?」

「聖也のことが好きなんでしょ?」

「ちょっ! まっ!」

「ごめん、違った?」

「違くはないけど・・・」


 香山さんはモジモジとしている。以前、聖也がモジモジとしていた時はキモかったが、女子のこの仕草は可愛いと思う。


「聖也を誘ってどこか出かける? てか、あいつの性格はもうわかっているでしょ?」

「うん。引っ込み思案で、だけど頑張る時はすごく頑張っている」

「そんな聖也を見て、香山さんはいいと思うんでしょ?」

「うん」


 香山さんって良い子だな。ここまで聞いたら何とかしてあげたいけど。どうすりゃいいんだ?

 そこに、聖也が現れた。


「ごめん、気になってついてきちゃった」

 聖也が焦った顔をしている。

「あの、香山さん。瞬との話は終わった?」

「う、うん。」

「瞬、ごめん。俺、香山さんに話があるから」


 おっと!? これは聖也から行くのか?


「ああ、それじゃ俺は教室に戻るよ」


 俺は二人を残しこの場を後にする。

 

「香山さん、俺。香山さんの事が気になって仕方がないんだ!」


 うぉーい!

 聖也さん、俺がまだここにいるんだけど?

 人払いをさせた意味が無いんじゃないかーい? 


「う、うん」


 ほら・・・。香山さん恥ずかしそうな声じゃん。

 俺は足早にこの場をさろうとしたその瞬間。


「香山さん! 俺とお付き合いしてください!」


 間に合わなかった・・・。

 全部聞こえちゃったよ・・・。


「は、はい・・・」


 とりあえず逃げよう・・・。

 この場を逃げよう・・・。


 突き当たりを曲がると、芹香がいた。

 俺の顔を見るなり、芹香は大爆笑している。


「エミくんの顔・・・。アヒャヒャヒャ! 告白タイム聞かされてる・・・。アヒャヒャヒャ!」

「アイツ。相当テンパっていたな。一、二秒でその場を離れられる訳がないじゃんな?」

「あははは! ほんとそれ。ふぅ・・・。笑った笑った。エミくん、そろそろ教室に戻ろう?」

「ああ」


 芹香は相変わらず俺にくっついて来る。


「ねえエミくん」

「私もエミくんが好きだよ」

「知ってる」

「知ってるんかーい」



 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ