ボリジ(鈍感)
先日の打ち上げの後、和久井さんがウチに泊まりました。
デジレ姉さんが和久井さんのお母さんに連絡を入れたところ、姉さんと和久井さんのお母さんとの会話が盛り上がり、何故かお母さんまで泊まる事となった。
・〜・〜・説明的振り返り・〜・〜・〜
「何でママまで泊まるのよ!?」
「何でって、当たり前でしょ? 芹香ちゃんだけじゃ桜を抑えられないでしょ?」
抑えられないって、何がだ?
「恥ずかしいから、そう言う事を言うのはやめて!」
「はいはい。これは着替えね」
着替えを俺に渡す和久井社長。
おーい! 下着を俺に渡すな!
「いや、俺の着替えは部屋にありますから!」
俺は受け取ってしまった着替えに対し、目を逸らしながら和久井さんに渡した。
「ごめんね瞬くん・・・。って、これ下着!? 何してくれてんのよ!!」
ああ・・・。何だよこれ・・・。
「デジレさん、瞬くん。今日はごめんなさいね。親子でお邪魔しちゃって」
「いえいえ。いつもエミルと二人だから金曜日が楽しみなのよ。今夜はセリカだけじゃなく、サヤカとサクラがいるから嬉しいわ。ねえエミル?」
「う、うん。そうだね」
「そう言ってもらえると、こちらとしても嬉しいです。芹香ちゃんも今日はありがとうね」
「いえ、とんでもないです・・・」
和久井社長は芹香と和久井さんを見て何かを察したようだ。
「あらら? 桜、もしかして瞬くんにコクった? 先走りすぎ、笑えるんだけど」
直球かーい!?
「うううウルサイ!!」
「桜ママ、いくら親子でも今のは・・・」
「ええ? 芹香ちゃんは優しすぎじゃない? 桜に瞬くんを取られてもいいの?」
「・・・それは・・・エミくんが決める事だから・・・」
うわぁ・・・。この会話って本人を目の前にして言う事かい?
バリバリ居た堪れないのだが・・・。
「瞬くんは? 桜のことをどう思っているの? 好きとか嫌いじゃなく、和久井 桜という女の子のこと」
あ、みんな見てる・・・。
ドライアイになるんじゃないかと思わせるほどの凝視だ。
「俺は・・・。どうなんだろ? 高校に入って、クラス表を見た時。片山 芹香って名前を見た時、芹香に会いたかったって気持ちが溢れました。教室に入って、芹香に抱きつかれた時、こんな事をされたら彼女ができないじゃん! って思いました。でも今は芹香がいないと嫌です。恋人としてか、姉としてかわからないけど、俺は芹香のことを大事に思っています。和久井さんは芹香の仲の良い友達だと思っていました。申し訳ないんですけど、小さい時にたまに会っていたサクちゃんってわかったのはつい先ほどです。いつも俺にくっついていたサクちゃんを思い出しました。」
「瞬くん。長いなオイ! で?」
「で? どうなんだろ? 和久井さんとはあまり話をしていなかったし。今すぐにはわからないです」
「ですよねー。ごめんね瞬くん。とりあえず桜はさ、芹香ちゃんみたいに、瞬くんに甘えてみたら? 昔みたいにくっついてさ」
和久井さんは立ち上がった。
下を向きながら俺の隣に座る。
なんだか嫌な予感がするのだが?
「いつも芹りんばっかり・・・」
和久井さんは俺の左腕にしがみついてきた。
「ちょっと桜!」
芹香は俺の右腕にしがみつく。
「サヤカ、あまりエミルをイジらないで。はい、二人とも一旦エミルから離れて。エミルは私の隣に来なさい」
姉さんありがとう!
俺は足早に姉さんの座るソファーに座った。
すると姉さんは俺の膝に座り、俺に寄りかかる。
「いつもセリカに取られちゃうから、今夜のエミルは私のものよ」
上目使いで俺にいう姉さん。
『あはは。姉さんってもしかして甘えん坊っだったの?』
『そうよ。でも今の所、私が甘えるのはエミールだけよ』
『いつでも甘えてね』
『Merci mille fois !』
『C’est un plaisir』
「ちょっと! 何を話してんのよ! 日本語で言いなさいよ!」
↑
芹香
「瞬くんがフランス語で話すと可愛かっこいいんだけど!」
↑
桜
「デジレさんと瞬くんが一番しっくり来るわね・・・」
↑
和久井ママ
「「それはダメ!!」」




