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スライムには負けるけど魔王には勝ちます  作者: すふぃ~だ


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蘇る魂の道しるべ⑨

「その通りだ。安全に戦うには、この戦法がピッタリだからな。しかし当然ながら、この戦法を使うにはモンスターをこの場所までおびき寄せなければならない。そのおとり役として我が単独で魔獣に近づいた」



「ええ??ダストン将軍様自らですか?!」





「うむ。他の者では囮にすらならんからな。幸いマーカーによって魔獣の位置は把握できていたので、単独で慎重に進んで行った」



「その魔獣のタイプは何だったのですか?」

「うむ。恐らく『感楽欲』タイプだったと思われる」

「なるほど。1番危険なタイプですね」



「え??えっ??タ、タイプとはなんですか?!」



「うむ。魔獣には7つのタイプがあり、危険度がそれぞれ違うのだ。それぞれの欲望というべきか。デーモンに憑依されているためか、魔獣は非常に『欲』への執着が強いのだ」



「へええ・・・」



「例えば、『睡眠欲』と『怠惰たいだ欲』タイプ。これらは危険度はグリーンだな。ほぼ危険は無い」



「そ、そうなんですか?」



「うむ。睡眠欲タイプはひたすら寝続ける。どんなに傷を負おうが、腹が減ろうが寝続けるので危険はないのだ」



「ひょええぇ・・」



「怠惰欲タイプも同じだな。動く事を嫌うので討伐せずとも勝手に餓死する」



「凄い欲望・・・」



「そして『食欲』と『性欲』タイプ。これらは危険度はイエローだな。しばらくは注意が必要だが、同じようにしばらくすると自滅する。食欲タイプは腹が割けるまで食べ続けるし、性欲タイプは何も食べずに、ひたすら交わり続けるからだ」



「ひえぇ・・・」



「そして『生存欲』と『承認欲』タイプ。コイツらの危険度はレッドだ。生存欲タイプは自分の命を脅かす者に対して非常に攻撃的になるし、承認欲タイプは自分の存在を見せつけるように先頭に立って攻撃してくる。ただし・・・逆の方向に向かう時もあるので、見極めるため注視が必要だ」



「逆の方向??」



「そうだ。生存欲タイプは生き延びる事を大前提として考えるので、個体によっては一切戦わず、ひっそりと身を潜めるモノもいるのだ。同じように承認欲タイプは認めてくれる存在、必要としてくれる存在がいる場合・・・つまり群れのリーダーと成れば、あまり攻撃的にならない個体もいる。そういった場合は危険を犯してまで討伐する必要はないと判断される事も多いな」



「なるほどぉ」



「そして『感楽欲』タイプ。コイツらの危険度はパープル。非常に、非常に危険な個体だ」

「パープル・・・」



「コイツらは快楽の為に行動する。食べる、睡眠、性欲、怠惰、生存、承認。全てを兼ね備えた個体と言っていい。その時その時の楽しいと感じる欲望に身を任せて行動するが、生存欲があるので自滅するほどの行動はしない。しかも承認欲のせいか、進んで人間種を滅ぼそうとしてくる。正に悪魔種の魔王のように、魔物どものリーダーとして君臨する存在なのだ」



「ほえぇ・・・その感楽欲タイプが現われちゃったってことなんですね」



「うむ。そうなのだ。なのでデトリアス様は我を派遣して討伐に向かわせた。とはいえ・・・正直、強さは野良デーモンと大して変わりはない。普段通りなら、損害を出さずに討伐できるはずだったのだ・・・」



「てことは・・・」



「うむ。その個体は非常に大柄だった。そして生命力というのか・・・身体全体からみなぎる力を感じた。おそらくハイデーモン・・・いや、サタンクラスの個体だったのかもしれん。一撃一撃が非常に重く、囮として行動することはおろか、逃げ出すことも出来ずに、あっという間に追い詰められたよ」



「そ、それで?!どうなったのですか??」



「いや、よく分らない・・・全く太刀打ち出来ない相手に攻撃され、深手を負い、身動きが取れない状態。目の前にキバを剥き出しにした魔獣が迫ってきて・・・我は死を覚悟した。その瞬間だった・・・パッと目の前に若者が現われ、黄金に光る剣で一刀両断。一撃で魔獣を倒してしまった。そして気付けば我は結界石の膜に覆われていたよ」



「それがミールだったんだ・・・」



「そうだ。本当に不思議な体験だった。黄金に光る剣を所持し、一撃でサタンクラスの魔獣を倒し、そして深手の我に回復魔法を放った。数々の戦場をくぐり抜け、もはや如何いかなる状態になろうとも驚くことはないと思っていた我が、口をポカーンとして固まってしまったよ」



「あははっ・・・」



「しかも彼の放つ結界石は、何故か大地に埋めずとも効果を発揮していた。そして彼の使っていた結界石はドーラメルク産だったようで、姿も音も匂いも消せるので我々は気づかなかったという訳らしい」



「なるほど。ということはミール様はずっと後ろを付いて来ていたということなのですね?」



「いや、たまたま近くにいただけのようだ。話を聞いてみると、ルーン国に来たばかりだったようで、住む街を探していたらしい。我は深くお礼を言い、是非デトリアス様に会ってもらいたい、もしくは国賓こくひんとして聖女様に会って頂きたいと申し出た。しかし断られた。自分は正体を明かす訳にはいかないと」



「確かにミールならそう言いそう」



「うむ。ならばせめてガタリヤに住んでくれないかと願い出た。その代わり重臣クラスでしか知り得ない情報を渡そうと。彼との関わりを無くす事は街の損害だと思ったからだ。そして決して正体を明かさない事を条件にミール様はガタリヤに所属してくれる事になった。その後は幾つかの難敵クエストにミール様の手を貸して貰い、こちらは極秘の情報を渡していたという関係だな」



「へええ・・・だからヒゲッソ将軍のこと詳しかったんだぁ」



「ヒゲッソ?ああ、ルゾッホのことか。確かにあやつの情報も渡したな。役に立ってくれていたなら嬉しい限りだ」



「あははっ。ヒゲッソ将軍タジタジでしたよぉ」

「ふっふっふ。それは見物だな。我も見たかったものだ」



「しかし、初対面でのあの堂々とした態度。聖女様に仕えて5年になりますが、あのような対応をする者は初めてでした。当時はビックリしたものですが、今となれば納得できますね。内に秘めた実力に裏付けされた自信だったのでしょう」



「あはは・・・単純に権力者が嫌いだっただけかも・・・」



「いえいえ。リリフさんを見れば分かります。ダストン将軍も先程仰いましたが、冒険者になる時にしっかりとミール様から教えを受けたのでしょう。何事も最初の頃の教育が、後々になって花開くと感じています。ミール様とルチアーニ様達。リリフさんは良い師に恵まれたのですね」



「そうですね・・・それは本当にそう思います」



「ではリリフさんも是非、ダストン将軍の元で修練を重ねてはいかがでしょう?私もダストン将軍との出会いで人間的に大きく成長出来ました。兵士と冒険者で立場は違えど、得るものは大きいかと思います」



「うむ。それは良い考えだ。リリフ殿。是非今度、我がガタリヤ兵の前で訓示を示してもらえないだろうか。若い兵士達を背中で導いて頂きたい」



「びえっ!むむむ無理ですよぉ!」



「おや。リリフちゃんや。そんなに慌ててどーしたのぉ」



 声をかけてきたのはルチアーニ達。

 少し顔を赤らめた状態で、ジョッキを片手に近づいてきた。



「ほれほれ。ダストン将軍。旨いつまみを持って来たぞい。もっとググーっと飲まんかい」

「そうじゃそうじゃ。ダストン将軍には随分と世話をかけたからの。お礼じゃお礼」

「うむ。かたじけない。有り難く頂戴しよう」



 ダストン将軍とルチアーニ達は互いにジョッキをチンッと当てて乾杯をする。



「あれっ?皆さんは知り合いなんですか?あ・・・そっか。ルチアーニさん達ってタウンチームだったんですもんね。その時に関わりがあったってことですか?」



「うむうむ。その通りじゃ。ワシらはタウンチームになったとはいえ、黒ランクじゃったからのぉ。大抵の街のタウンチームはデーモン討伐が基本となっておる。それができんもんじゃからダストン将軍には随分と迷惑をかけたもんじゃ」



「じゃな。正に名ばかりのタウンチームじゃったからのぉ。年齢は30代後半。人数はたったの4人。しかも黒ランクじゃ。当時は相当異論が出たもんじゃわい」



「それもこれも勝手にあのジジイがあたし達を指名したからよっ。拒否する時間さえなかっただわさ」



「そうじゃそうじゃっ!全部あのジジイが悪い!」

「全くじゃ!むしろこっちは被害者じゃ!」



 いきり立つルチアーニ達に、ダストン将軍は静かに語り出す。



「当時、我が兵士達からも重臣達からも異論が出ておりました。しかしデトリアス様は仰いました。タウンチームに必要なのはデーモンを倒すことではない。生き残ることだと。あやつらはそれに長けておると。どんなに強くとも危うい行動をする者にはタウンチームは任せられない。タウンチームとは正にこの街の軸となるべき存在なのだからと。事実、ルチアーニ殿達がタウンチームになってから、ガタリヤのギルドは最盛期を迎え、多くの冒険者達が育ちました。そして今現在もアーニャ様をお支えしてくださり、リリフ殿のような立派な冒険者を育成しておられる。我はデトリアス様の目に狂いはなかったと。ルチアーニ殿達こそガタリヤのタウンチームに相応しい人材であったと、今では確信しております」



「お・・おう・・・そ、そうじゃな・・・」

「まあ・・・それほどでも・・・あるがの」

「ふん・・・当然だ」

「全く、あのジジイは・・・そういうことは直接言って欲しいもんだわさ」



「あははっ。でもやっぱりルチアーニさん達って凄いですねっ。なんだか私まで嬉しくなってきちゃいましたっ」



「おやまあ、リリフちゃん。おだてたって何も出ないわよぉ?」

「あははっ、そんなんじゃないですってぇ」



「ルチアーニさん。先程、リリフさんにはお伝えしたのですが、ダストン将軍の元で兵士の教育をなさってはいかかでしょうか?兵士と冒険者という違った立場での修練はお互いの為になるのではないかと」



「うむ。ピッケンの言うとおり、最近は若い兵も多くイマイチ頼りない。にも関わらず、危険な場所に平気で足を踏み入れようとする。是非我が兵達にルチアーニ殿達の経験や心構えを伝えて頂きたい。もちろん、その間、リリフ殿達の修練は我が見よう。お互いにメリットがあると思うのだが、どうだろうか」



「あらあら。それでリリフちゃんは慌ててたのねぇ。うんうん。でもそれはいいかも。あたし達もやっぱり歳だからねえ。実践形式で教えてくれると助かるわぁ」



「がっはっは。ワシらにドーンと任せんかいっ。立派な兵士の心得っちゅーもんを教えてやるきに」

「そうじゃそうじゃっ。ビシッと言ってやろうぞいっ」

「ふんっ・・・楽勝だ」



「じゃあ決まりね。リリフちゃん、このチャンスを逃す手はないわよぉ。なんてったってルーン国最強の武人が直接教えてくれるんだから」



「そ、そうですよねっ。私達みたいな初心者にはもったいないくらいのお話だと思ってますっ。分かりましたっ!是非みんなで参加させて下さいっ」



「よーし!今夜は前祝いじゃ!ガタリヤの未来に乾杯じゃっ!」

『かんぱーい!』


 そうして懐かしい昔話に花を咲かせるルチアーニ達であった。






「おーほっほっほっ。さあ、いよいよ決着の時ですわね!お覚悟はよろしくて?」



「それはこちらの台詞じゃっ!ワシはラインリッヒ様に命を捧げておる!負けるはずがなかろう!」

「そ、それでセリー殿。な、何故自分も連れてこられているのでありますか?!」



「あらあらあらぁ?トール隊長。貴方のアーニャ様に対する愛は、こんな飲み比べですら受ける事が出来ない程、軽いお気持ちだったのですわねぇ?残念ですわぁ」



「そ、そんな事はありませんっ!じ、自分はアーニャ様のためなら喜んでこの命を捧げる覚悟であります!」



「おーほっほっほっ。よいお覚悟ですわぁ。では飲み比べ開始ですわねっ!ルールは至って簡単!最後まで飲み続ける事が出来た者が勝者ですわっ!そ・し・て・!負けた者は仕えるご主人様に『愛が足りなくてごめんなさい』っと土下座してもらいますわっ!貴方達にできますことっ?!」



「それはワシの台詞だ!ヌシこそ土下座する準備はできておるだろうな!?」

「じ、自分はアーニャ様の前で失態を晒すわけにはいかないのであります!負けるわけにはいかないのであります!」



「では?!」



『尋常に勝負!』『ですわ!』



「はいはーいっ。それじゃあ私達がお酒を用意しますねっ」

「が、がんばりますっ!」

「・・・ます・・」



 お酒を注ぐ係として、ラインリッヒの護衛隊長さんにはピコルが、トール隊長にはクレムちゃんが、そしてセリーにはリューイが配置された。



「まだまだぁ!」

「ぬおお!これくらい軽い軽い!」

「自分も負けないであります!」



 隊長さん二人はピコルとクレムちゃんの笑顔とノリの良さで、いつも以上にお酒が進むようだ。若干ハイペース気味に飲み干していく。



 そしてリューイにとっては、セリーが飲み干す度に大きく揺れる胸を間近で見ることが出来るので特等席のようだ。

 嫌々そうな演技をしつつも、目は一点をガン見している。



「いいぞおぉ!がんばれえぇ!」

「隊長ぉ!負けるなぁ!」

「姉ちゃんも頑張れぇ!」



 一気にこの平原で1番うるさい場所と化す。

 セリー達の対決を肴に、兵士達はお酒を傾けるのであった。






「それでぇ?銀ランク様達は得るものはあったのかい?今は嬢ちゃん達と一緒に行動してるんだろぉ?」



 ビレット達とブレーメン、そしてグワンバラの旦那さんが一緒になって談笑している。



「ウエーイ。もちのろんっ!マジパねえから、りりぴょんは!」

「だなだな。気持ちの強さ、意思の強さハンパねえ」

「しかもなんか毎日が楽しくね?なんか冒険者始めた頃みたいな感覚っつーか」

「あー!わかる!結構めちゃくちゃしてたもんなぁ。あの頃」

「がっははっ。今もだっつーの!」

「ぎゃははっ」



「そうかいそうかい。俺ぁ、てっきり嬢ちゃん達の美貌に引き寄せられただけかと思ってたが、そういう訳でもなさそうだなっ。安心したぜい」



「いや!それも否定できねーな!ぶっちゃげ!」

「おいおいおい!それ言っちゃう?!だったら俺も狙ってるぜ!」

「ふざけんな!りりぴょんは俺のもんだ!」

「バカ言え!お前はルチアーニさんだろ!レイン!」

「いーや!お前達に取られるくらいなら俺がもらう!心の神、りりぴょんをお前らに渡すもんかよ!」



「がっはっはっ!嬢ちゃんモテモテだな!まるで俺たちみたいだな!ボービット!」



 ボービットとは、さっきから寡黙にお酒を飲んでいるグワンバラの旦那さんのことだ。

 どうやらブレーメンとは知り合いらしい。



「なになに?!!おっちゃん達も誰かを取り合ったん?」

「うおおおぉ!超気になるじゃん!」

「とりま教えてくれっしょ」



 ブレーメンはボービットの肩に手を回し、上機嫌に語り出す。



「俺たちはなぁ、幼馴染みってやつよ。俺とコイツ、そして今は神官やってるクレイトンってヤツと、バルデラマって男・・・まあ、この四人であそこで聖女様と肉を焼いてるグワンバラを取り合ったのさ」



「うおおおぉ!超そっくりじゃん!そんでそんで!どうなったん!?」



「まあ、一言じゃ言い表せねーなぁ。本当に色々あったからよ・・・でもな、コイツは一貫してグワンバラと・・・そして俺たちの味方だったよ。特に出し抜いたりもしない。特別にアピールもしない。もちろん俺たちの悪口なんかも一切言わない。ただただ、純粋にずっとグワンバラに寄り添ってた。それが良かったのかは分からないが、結局グワンバラのハートを射止めたのはボービットだったって訳さ」



「ほおおぉぉ・・・」

「おっちゃんやるなぁ」

「無言で見守るかぁ・・・出来る気がしねー!」

「ぎゃははっ!」



あんちゃんたちは付き合いは長いのかい?」



「いや~。俺たちは冒険者のPT組むときに初めて会ったから・・・おわっ!それでも7年?!もうそんなに経つんか?!」

「だねぇ~。なんかあっという間じゃね?」

「だなだな。俺最初ビレットのこと嫌いだったし」

「おわっ!なんだよ!クリム!マジかよ?!」

「ぎゃははっ!唐突のカミングアウトきちゃー!」

「だってコイツすぐ突っ込むんだもん!こっちは回復手一杯だっつーのにガンガン向かってくからマジでキレながら回復してた」

「悪かったって・・・ごめんて・・・」

「ぎゃははっ!」



「だが、仲間ってのは良いもんだ・・・しかもお前らみたいに、なんでも言い合える仲間がいるってヤツはそう多くはない。俺たちは幼馴染みで・・・ずっと子供の頃から知っているが・・・一人、道をハズしてしまったヤツがいてな。俺はそいつを止める事が出来なかった・・・話を聞いてやる事が出来なかった・・・苦しみを分かち合う事が出来なかった・・・俺たちもお前達のように、なんでも言い合える関係性を築けていれば・・・絆を断ち切る結果にはならなかったかもな・・・俺はお前達がうらやましいよ」



 グワンバラの旦那さん、ボービットは静かに語る。



「ぬおっ!おっちゃん語るじゃねーか?!」

「だなだなっ!なんかグサッときたぜ!マジで!」

「うおおぉぉおぉ!これか!これが女を射止めるテクニックか?!」

「なんかミケルンルンに似てね?普段黙ってて、おいしいとこだけ持っていくっつー感じ」

「くううぅぅ!おっちゃん!飲もう!なんかよく分かんねーけど、おっちゃんも色々あったんだな!今日はとことん飲もうぜ!」

「うらああぁ!酒だ!酒持ってこーーい!」



 そうして打ち解けた銀ランク達とブレーメン、ボービットは楽しく酒を酌み交わすのであった。






「あ、あの・・・り、リリフさん・・・少しよろしいでしょうか・・・」



 アーニャはダストン将軍やルチアーニ達と談笑しているリリフに、遠慮がちに声をかける。



「あ、はいっ。なんでしょうか?アーニャ様っ」

 リリフはアーニャの元に駆け寄った。



「あのですね・・・少し紹介してほしい方がいるのですが・・・ご一緒して頂くことはできるでしょうか?」

「紹介ですか??」



「あ、はい・・・えっと・・・そのブレーメンさんの・・・お姉さん・・・キャサリンさんなんですが・・・」

「ああっ。キャサリンさんですかっ?あははっ。アーニャ様。キャサリンさんなら私がいなくたって全然大丈夫ですよぉ。とっても優しいですもんっ」



「いえ・・・少しですね・・・込み入った事を聞いてみたくて・・・ちょっと自分一人では心細いというか・・・すみません」

「あはは。わっかりましたぁ!よく分かんないけどご一緒させて頂きますっ、アーニャ様」



「ありがとうございます」

 アーニャはホッと胸をなで下ろす。



 そしてグレービーと静かに酒を酌み交わしているキャサリンの元に歩いて行った。



「こんばんはぁ。キャサリンさん。グレービーさん。アーニャ様がお話があるそうなんですが、ちょっといいですかぁ??」



「あら、まな板ブスじゃない。ガリブスを引き連れてどーしたのぉ??グレービーちゃんに美の秘訣を学びにきたのかしら??」



「うっさいよ。グレービー・・・それでアーニャ様。こんなジジババの所にわざわざいらっしゃるとはどうされましたか?」



「きいいぃぃ!キャサリン!ジジババってなによ?!まさかあたしがジジイってことじゃないわよねっ!ねえ?!」



 いきどおるグレービーを全く相手にせず、アーニャはジイッとキャサリンを見つめる。

 グレービーもアーニャの雰囲気を感じて、それ以上は何も言わずにジョッキを傾けた。



「あの・・・突然すみません・・・実は・・・先日、少し気になることがありまして・・・そして今日お会いしてみて・・・もしかしたら、それは貴方の事かもしれないと・・・いえ・・・何も確証はないのですが・・・」



 アーニャはかなり言いづらそうにしている。

 しかし意を決して、ハッキリとキャサリンに問いただした。




「あのっ!キャサリンさんはお祖父様とどういったご関係なのでしょうか??」




 アーニャの意思のある瞳をみて、キャサリンは何を聞かれるのか大体予想していたのか、フッと笑顔を見せてうつむく。



「あらやだ。愛人だってことがバレちゃったみたいね」

 グレービーは首をすくめてケロッと言い放つ。



「!!!」

 リリフはビックリしたように驚くが、アーニャは予想していた返答だったのか、フーっとため息をついた。



「グレービー!アンタちょっと黙っときなっ!」



「お~・・・怖い怖い。全く年増ブスのヒステリックは酒がまずくなるわぁ」



 グレービーはそう言うと、ソソクサとその場から立ち去った。



「どうして分かったのかしら?アーニャ」



 キャサリンは観念したのか、今までの他人行儀な言葉使いを止めて、優しく問いかける。

 


「最近・・・お祖父様の遺品の整理をしていたところ・・・爺や・・・スローベン家をずっと長い間支えてくれている重臣の者がいるのですが・・・その者に教えてもらいました。実は代々当主のみが存在を知る秘密の部屋があるのだと。その部屋はデトリアス様以外は自分しか知らない。ダストン将軍でさえ知らない部屋があるのだと」


「へええ・・・」



「そして・・・入り方を爺やに教えてもらい、私は秘密の通路を一人で進みました。真っ暗な地下へと続く石の階段をロウソクの光を頼りに進むと、やがて扉が見えてきました」




————————————




『ここは・・・』


 アーニャは木の扉を緊張しながら開ける。



 ギ・・・ギギ・・・ギィ・・・



 文字通り、長年開かれていなかった扉は、古い音を響かせながら開いた。



 そのアーニャの目に飛び込んできたのは・・・



 壁面という壁面、天井に至るまで、ビッシリと貼られた『ポルノ写真』だった。



 胸を寄せて強調している女、髪を掻き上げて唇をすぼめる女、お尻を突き出している女、女豹のポーズをしている女・・・

 ありとあらゆるきわどいポーズをしている女性達で、4畳ほどの部屋は埋め尽くされていた。




・・・・・・。




 代々の歴史、誰にも言えないスローベン家の秘密の記録などが残されているのではないかと思っていたアーニャは絶句する。

 正に呆気にとられるというやつだ。



「お祖父様・・・」



 アーニャは眉間にシワを寄せながら、首を振る。



 しかし、しばらくするとクスッと笑顔になってしまう。

 正にお祖父様らしい。



 豪快で威厳に満ちた祖父デトリアスの人間くさい部分に触れて、アーニャの心は穏やかだ。

 1枚1枚丁寧に剥がしていく。



 一通り剥がし終えると、トントンとポルノ写真の大きさを揃えてまとめていく。

 辺りを見渡すと、一つ、古い本棚が壁に埋め込まれていた。



 並べられている書籍はもちろん・・・ほとんどが成人雑誌だ。

 数多くの雑誌が並べられ、題名を見るとデトリアスの性癖が分かってしまいそうな感がある。



 アーニャはなるべく文字を見ないように・・・しかし一応一通り確認する。



 すると雑誌の後ろ。



 本棚の壁の部分に小さな扉があることに気付いた。



「?」



 アーニャは丁寧に雑誌をどかし、扉を開ける。

 そこには一冊の本と、小さな木箱が置かれていた。



 木箱の中身は美しい女性が笑っている魔法絵と、更に小さな小箱が入っていた。

 小箱を開けると綺麗な指輪が2つ、光沢を放っている。

 その指輪は、まるで結婚指輪のように、仲良く並んで輝いていた。



 アーニャは置いてあった本を手に取る。

 それは日記だったようで、若い頃のデトリアスの足跡を知る事が出来た。




———○月○日———



 明日はいよいよカージナル魔法大学へ入学の日だ。


 ここで帝王学を学び、いずれ親父の後を継いで、この街の頂点として君臨するのだ。


 この大学の生徒には貴族の他に一般の民もいるという。

 丁度よい。まずはここでトップに立ってやろう。



———○月○日———



 大学の生活も慣れてきた。

 生徒も教師でさえも、みんな俺にひれ伏している。


 皆、満足した顔を浮かべておる。

 上に立つというのは実に簡単なことなのだな。



———○月○日———



 今日は少し気分が悪い。


 一人の女が楯突いてきやがった。

 しかも、お前は他人の気持ちがなにも分かっていない等と言ってきた。


 意味が分からん。


 こういうバカな平民もいるのだな。

 言葉が通じない相手に対しての対処方法を考えなくては。



———○月○日———



 相変わらず大学生活は順調だ。


 ただの一人を除いて・・・


 本当にこの女は不快だ。

 飛び級で進学してきたようで年齢は3つも下なのに、全く俺を敬う気持ちがない。逆に叱りつけてくる。


 今日は周りの下僕達に圧をかけるように伝えた。

 これでこの女も泣いて謝ってくるに違いない。

 明日が楽しみだ。



———○月○日———



 なんなんだ?この女は?!


 かなり酷い仕打ちを受けている。

 全員からシカトされ、行く道を妨害され、汚れたボールが飛んできて身体中、泥だらけだ。


 しかし瞳の輝きは失われない。

 常に毅然きぜんとした態度で立ち向かってきやがる。


 今日もみんなからバカにされてるのは俺の方だと言ってくる。


 くそ、イライラする。



———○月○日———



 今日は移動の馬車に車輪トラブルがあったので歩きで登校した。

 そしたら結構、他の生徒は自分に気付いていない者が多かった。


 これは面白い。

 明日は少し変装して、あの女をビックリさせてやるとしよう。



———○月○日———



 自分はどうすればいいのだ・・・


 どうすればこの罪を贖罪しょくざいすることが出来るのだ・・・


 まだ頭が混乱しているが、しっかりと現実を受け止めなければならない。


 なので書きたくはないが、今日あった出来事を書き記そう。



 今日は予定通り、変装して徒歩で登校した。

 誰1人として自分に気付く者はいなかった。



 教室に入るとあの女を下僕共がイジメていた。

 自分がいない時に、下僕共がどう動くのか見てみたかったので、俺はその様子を黙って伺ったのだが・・・



 皆、口々に俺の悪口を言っていた・・・

 皆、俺の前では見せない顔をして俺をバカにしていた・・・



 そして・・・あの女1人だけが俺を味方していた・・・



 下僕の1人、貴族の男が言い放つ。

 ここで女に怪我をさせれば、全ての罪を俺になすりつけられると言っていた。



 これはあくまで俺の指示によるもの。

 領主のドラ息子が学校内で悪行の数々。

 これは格好のスキャンダルになると。



 そして下僕たちのボルテージが上がり、一気に女に向かって群がった。



 俺は直ぐに怒鳴り声を上げて止めさせ、女の元に駆け寄った。

 しかし、既に女はグッタリとして、身体中に無数の裂傷があった。



 俺は意識が朦朧(もうろう)としている女を抱きかかえ、医務室に向かおうとした。

 だが、それを女が止める。



 今、自分が医務室に向かえば、暴力があったことを証明してしまうと。

 俺のせいにされてしまうと。

 だから自分は1人で歩くと。



 そうして本当に1人で足を引きずりながら、早退していった。



 俺は怒りが込み上げてきた。

 コイツら全員ぶん殴ってやりたかった。



 だが、コイツらに命令したのは俺だ。

 そしてここで暴力行為をしたら、あの女の行為が全て無駄になる。



 俺はその怒りを自分に向けた。



 何も見えてなかったのは自分だ。

 愚かだったのは自分だ。

 なにも分かってなかったのは自分だったのだ。



———○月○日———



 何も手につかない。

 頭の中はあの女で一杯だ。


 あの女は今日、学校を休んだ。

 明日は来てくれるだろうか。


 しかし、どんな顔で会えばいいというのだ。

 どんな言葉を投げかければいいというのだ。


 分からない。


 ただただ・・・考えるのはあの女のことばかりだ。



———○月○日———



 なんと偉大な女なのだろう。


 恥ずかしいが、教室に入ってきた女の姿をみた瞬間、俺は彼女を抱きしめていた。

 そして大声を上げて泣き叫んでいたよ。


 すまん。俺が悪かったと。


 しかし彼女は抵抗することもなく、優しく俺を包み込んでくれた。

 いいんだよ。大丈夫だよと。


 子供のように優しく頭を撫でられながら、俺は思った。


 この女を、キャサリンを一生大切にしよう・・・と。



———○月○日———



 毎日が楽しい。

 目の前の光景が輝いてみえる。


 キャサリンと出会ってから、俺の人生は一変した。


 自分の足りない部分が見えてきた。

 自分の未熟さを痛感した。


 だが、全く嫌な気持ちではない。


 キャサリンが、それは成長できるチャンスだと教えてくれたからだ。


 そのお陰で、様々な困難、難しい局面でも前向きな気持ちで対応する事が出来ている。


 見方を変える、気持ちを整える事で、こんなにも世界は変わるものなのだな。



———◯月◯日———



 今日はキャサリンの家に夕食を食べに行った。


 貴族以外の家に訪れるのは初めてだ。


 この家にはメイドはいないらしく、優しい笑顔の両親と、歳の離れた弟が迎えてくれた。


 キャサリンが料理を作っていたので、俺も手伝うことにした。

 やってみると結構難しく、逆に足を引っ張った気がしたが、キャサリンはとても嬉しそうだったので良しとしよう。


 料理はとても美味かった。

 毎日食べたいと言ったらキャサリンは顔を真っ赤にして照れている。

 何かマズイことを言ったのだろうか。


 俺はこの家で、庶民の生活を知ることが出来た。

 キャサリンが言うには、もっともっと平民の暮らしは貧しく厳しいらしい。


 キャサリンは家の中では穏やかに笑っている。

 学校では見ることが出来ない一面をみる事が出来て満足だ。

 


———◯月◯日———



 今日は平民の暮らしぶりを知る為に、変装して街中をキャサリンと見て回ることにした。


 星光街という南側の区画が1番貧しいと教えて貰ったので、そこに行こうとしたら護衛の者に止められてしまった。

 キャサリンまで、そこは行かない方がいいと言う始末。


 許せん。

 この俺様が頼りないと申すか。

 最近は剣の稽古もサボった事はない。

 俺一人で守ってみせる!


 頭に血が上った俺は、護衛の隙を突いてキャサリンの手を引っ張り、駆けだした。

 キャサリンは驚いた顔をしていたが、黙って俺に付いてきた。



 護衛をいて俺達は星光街に入った。



 星光街は噂通りボロボロな家が密集していた。


 屋根はビニールシートを被せているだけの家も多く、雨さえも防げない印象を受ける。

 壁も破損していたり落書きが多数されていた。

 道にも穴が開いていたり、レンガや岩、よく分らない物体が転がっているので、注意して歩かないと危険な感じだった。


 そして路上には多数の人間が座り込んでおり、酒を飲んでいる者、タバコをふかしている者、寝転がっている者など様々だ。


 そしてこの区画の全員が、俺たちをよそ者を見るようにジーっと見つめている。


 俺たちはそのねっとりとした視線と、この区画全体に充満する不快な匂いに包まれながら歩みを進めていった。


 しばらくすると後ろから付いて来ている者がいるのに気付いた。

 キャサリンも警戒しているようだ


 繋いでいるキャサリンの手が汗ばんでいる。

 不安が手に取るように分かる。


 俺が支えてやらなくては。

 俺はキャサリンに笑顔を向けながら歩いていく。


 すると今度は前方から団体が現われた。

 道を塞がれ、後ろを向くと後を付けてきた者達が進路を塞ぎ、あっという間に囲まれてしまった。


 男共は汚い笑顔を向けながら、俺たちに金品を要求してきた。

 俺が拒否すると、今度はキャサリンに手を出して来た。


 俺は激怒したが、男共に羽交い締めにされ身動きが取れない。

 キャサリンはいつもの強気な態度で応対するが、流石に何十人もの男共相手には部が悪い。両手を塞がれ身動きが取れないようだ。



 そして・・・



 あろうことか、男の1人がキャサリンの唇を奪った。


 俺はその光景に頭が真っ白になり・・・そして叫き散らした。


 俺は領主の息子だ。今すぐ離せ。さもなくば、お前ら全員死刑にしてやると。


 男共は一瞬ポカーンとした顔をしたが、直ぐに大爆笑した。

 こんなとこに領主の息子が来るか。嘘つくならもう少しマシな嘘をつけと。

 

 俺はこんなにも無力なのか。

 好きな女すら守れない男なのか。

 

 結局俺の力が通用するのは法の秩序がある場所のみ。

 この区画のように無秩序な場所には全くの無力。


 俺は涙を浮かべながら、次々と唇を奪われていく最愛の女の姿を見つめることしか出来なかった。

 

 そこへ、撒いたはずの護衛達が駆けつけてきて、俺達は難を逃れた。


 男共は本当に領主の息子だったのかとビビリながら命乞いをしている。

 護衛達はコイツらを殺すかと俺に指示を求めてきたが、解放してやれとしか言えなかった。


 こんな事になったのは俺の独りよがりな行動が招いた事。

 俺の失態をコイツらになすりつける気にはなれなかった。


 屋敷に帰る道中、キャサリンが寄り道したいと言ってきた。

 あまりにも俺が落ち込んでいるので、気を遣っているのかもしれない。


 正直、直ぐに帰って自分の愚かさを反省したい気分だったが、キャサリンの気持ちを無下にも出来ないので、俺は渋々従った。


 キャサリンが行きたいと言った場所は時計塔だった。


 この時計塔は街全体が見渡せるので、人気の場所らしい。

 遊びか観光か、数名の平民も確認できる。


 俺は権力を使い時計塔を貸し切りにし、護衛達にも頭を下げた。

 ここだけは2人きりにしてくれ。もう馬鹿な真似はしないからと。


 護衛達は俺の必死の懇願こんがんに驚いた顔を浮かべていたが、了承してくれた。


 塔に登ると夕陽が街を照らしていた。

 屋根が夕陽を反射して、水面(みなも)のように輝いている。


 そして風になびく髪を耳にかけるキャサリンは美しく、夕陽に照らされた姿は天女のようだった。




————————————

 



『どうしたの?そんな泣きそうな顔をして』



 キャサリンの優しい笑顔に、デトリアスは思わずガシッと膝を折る。



『すまん!俺のせいで!・・・俺の思い上がった行動のせいで!・・・大切なお前の!・・・大切なお前の!・・・ううぅ・・』



『全く・・・よく泣く男だよ・・・ほらっ、お立ち』

『う・・うぅ・・・』



『ほらっ、涙を拭いてしっかりと見なさい。この街は貴方の街なのよ。この街を住みよい街に変えるのも、酷い街にするのも貴方次第。シャキッとしないとみんなが安心して付いてこれないでしょ?背筋伸ばしなっ』



『うう・・・俺なんかに出来る訳ない・・・こんな大切な・・・たった1人の大切な人さえ守れない男が・・・』



『バカ言ってんじゃないよっ!』

 キャサリンはバチーンとデトリアスの背中を叩く。



『アンタは良い男だよ。ちょっと猪突猛進なとこはあるけど、真面目で真っ直ぐで・・・なにより人を惹きつける魅力がある。もちろん失敗する事もあるだろうけど、それがなんだってんだいっ。失敗は無駄なんかじゃない。失敗はマイナスなんかじゃないんだ。考えてもみなさい。なんにも失敗してないヤツが権力を握ったらどうなる?自分が全て正しいと天狗になった者がトップに立つ時ほど悲惨なものはない。圧政と恐怖で苦しむ民の姿が目に浮かぶようさ』



 キャサリンはデトリアスに優しい瞳を向ける。



『でもアンタは違う。アンタは過ちを悔いる事が出来る。他人の為に泣く事が出来る。他人を思いやる事が出来る。それは沢山の失敗を経験しているアンタにしか出来ないことさ。胸を張りなっ。アンタは凄い領主になるよっ』



『すまない・・・キャサリン。いつもいつも・・・励ましてくれて・・・大切な・・・その・・・』

『ん?なんだい?』



『いや・・・その・・・た、大切な・・・ふぁ・・・ふぁ、ファースト・・・キスを・・・』

 キャサリンは顔を真っ赤にして腕を前に組む。



『はああ?!アンタばっかじゃないの?!そんな事気にしてたのかい?!』

『いや・・・だって・・・』



『はあぁぁ・・・全く。女々しいったらありゃしないよっ。いいかい?そんなモンなんとも思っちゃいないよっ。大切なのは心!あんなん幾らされようが、全く関係ないねっ』



『そ、そうなのか?・・・女は初めてとか・・・記念日とか・・・気にするんじゃないのか?・・・』



『ぶわっかだねぇ!ホント男ってしょーもなっ。ロマンチストばっかり!』



 キャサリンは腰に手を当ててため息をつく。


  続く

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