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スライムには負けるけど魔王には勝ちます  作者: すふぃ~だ


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聖女巡礼㉕

 ゾロゾロと進み始める兵士達。

 リリフ達も大きく手を振りながら笑顔で歩き出す。

 それを見送りながらミールは1つ息を吐くと、クルッと反転し聖都の街並みに消えていくのだった。



⇨聖女巡礼㉕




 ここはデトリアスの寝室。


 いつものようにメイドがお湯を沸かし、部屋を蒸気で満たしている。

 デトリアス自慢のお酒や分厚い本の数々、古い家具に囲まれて、寝室は優しい時間が流れていた。



 正面にはデトリアスの自画像、そしてアーニャと一緒に撮った巨大な魔法絵が飾られている。

 本棚や机にも数多くの魔法絵立てが置かれ、沢山のアーニャの成長の記録が見ることが出来た。



 その中には最近撮ったアーニャが泣いている顔も額縁に入れて飾られている。



 パタパタパタ・・・



 長い時間、ベットで過ごしていると足音だけで誰だかが分かるようになってきた。

 これは爺やだな。しかし、少し慌てているようだが・・・



 トントントン



「デトリアス様。爺やでございます」

 メイドが扉を開ける。



「どうしたのだ?爺やよ。今日はいつもにもまして慌てておるな」

 デトリアスは少し身を起こす。直ぐにメイドが駆け寄り、枕を背中に置いた。



「デトリアス様っ。只今報告がありましてっ!ガタリヤが1位だそうですっ!アーニャ様が1位になられました!」



「まあっ!」

 メイドも驚きの声を上げる。



 デトリアスは目を丸くし、しばらく沈黙していたが

「そうか・・・アーニャがやったか・・・ガタリヤが・・・・ガタリヤが1位か・・・」

 瞳を閉じ、噛みしめるようにゆっくりと呟く。



 爺やは棚の方に歩いて行き、ガラス扉に陳列しているお酒を1本取り出す。

 デトリアスお気に入りのお酒だ。

 嬉しい事、めでたい事があったときに決まって飲んでいるお酒だった。



 爺やはコップにトクトクっと少量お酒を注ぐ。

 修復士にお酒は止められているのでほんの少しだ。



 しかし何時もなら『爺や!お祝いじゃ!酒を持て!今夜は宴会じゃっ!』と騒ぎ立てる声が聞こえてこない。

 デトリアスはジッと目を閉じたままだ。



「デトリアス様?」

 爺やが怪訝けげんな声をかける。



 しかし返答はない。

 よく見ると少しだけ傾いているように見えた。



「デトリアス様ぁっ!」

「デトリアス様っ!」



 コップを投げ捨て、慌てて爺やとメイドが駆け寄る。

 しかしデトリアスは文字通り、眠るように息を引き取っていた。



 とても穏やかに・・・



「誰かぁー!デトリアス様がぁ!」

 メイドが慌てて扉の外に走り出す。



 バタバタと慌ただしい足音が遠ざかる中、爺やはそっとデトリアスの手を握る。

 ちょうど寝室の窓からは陽の光が差し込み、穏やかにデトリアスを照らしていた。

 優しい光に照らされたデトリアスの表情はとても満足げに見える。



 爺やはそっと呟く。

「ご苦労さまでした・・・デトリアス様・・・」



 享年85歳。デトリアスの最後であった・・・






 ミールは聖都内の巨大な建物の中にいた。

 大きさ的には幕張メッセくらい。

 とても巨大な建物の中にはおびただし数の死体が安置されていた。



 ほとんどの死体は原形を留めておらず、コンビニの袋くらいの黒い袋に名前が貼ってあるだけ。



 つまり見つかったのは手や足、内臓の一部等々・・・

 調査兵の魔法で何とか身元が分かった肉片入りの袋が大量に並べられていた。



 袋には冷気魔法がかけられており、建物自体の温度も下げられているのだが、人々の悲しみの熱気は冷めることはない。

 家族や知り合いはその場でうずくまり、袋を抱きしめ泣き崩れる。



 辺り一帯、悲しみの声に包まれていた。



 ミールは無言で四方を見渡しながら歩いて行く。

 しばらくしてミールの足が止まった。



 予想通り、お目当ての人物達、女の子2人組はそこで黒い袋を前にして泣いていた。

 ミールは無言で近づき、袋にそっと手を触れる。

 ビクッと驚いた2人だったが、そこにいるのがミールだと分かると、ワンワンと泣き出してしまった。



 ミールは2人が落ち着くのを黙って待っている。



「ぐすっ・・・すみません・・・ご、ご迷惑を・・・おかけしました・・・」

「ひっくっ・・・ひっく・・・」

「やっぱり君たちだったのか・・・つまり・・・この袋の人物は・・・」

「ぐすっ・・・はい・・・名前をラジカンって言います」



 ラジカンを含めた3人組は、以前ザザのドラゴン討伐で最後まで生き残っていた、あの冒険者達だった。



 そしてラジカンと呼ばれている袋の人物は、集会所で村娘達を襲い、アニエスに登録されていた男だったのだ。



 ミールも薄々その事に気づいていたが、アニエスが内緒にしていたので知らんぷりしていたというわけだ。



 確かに集会所での事件は許すことはできない。

 かといってこの男を恨んでいるような事もない。

 どちらかと言うと『無』だ。

 この男が死のうが生きようがどっちでも良いって感じの無関心状態。



 しかし、そんな男にミールは命を救われた・・・

 ミールは複雑な思いで黒い袋を見つめている。



 なんのことだか分からないですよね?では僭越せんえつながら説明させて頂こう。



 邪神との戦いで最後にミールが属性ブーストを使用したのはご存知かと思う。


 その時ミールは完全に無防備状態だったが、光玉ひかりだまを投げつけ、時間稼ぎをした冒険者がいたのを覚えているだろうか。

 その者こそがこのラジカンだったのだ。



 ミールは目を閉じて集中していたので姿を見た訳ではないのだが、その冒険者から放たれた波動というか、気配が以前会ったことがあるような気がしてずっと気になっていた。



 そしてアーニャからフェリスが救ってくれたと聞いた時に、この冒険者達の顔が浮かんだのだ。

 しかし確信は無かったので、ウロチョロしながら一通り見て回ろうと訪れてビンゴだったというわけだ。



「ラジカンは・・・あれからずっと悔やんでいました。雰囲気に流されてとんでもない事をしてしまったと・・・そして罪を償える機会をずっと探していました・・・」



「そして邪神と戦うミールさんを見て、回復士を守る盾として志願しました。私達は止めました。自分達はまだ赤ランクだし、行けば絶対に死んでしまうって。でもミールさんに助けて貰った恩を返すのは今しかない、罪を償うチャンスは今しかないと。ごめんなさい・・・私達は怖くて・・・何も出来なかったです・・・」



「ミールさんは・・・お気づきですよね?・・・私達は最初ザザの村で防衛クエストを依頼されていたPTなんです・・・それなのにヨーダさんの言葉に誘惑され、残虐な行為を見ぬ振りをしてしまいました・・・ラジカンが罪を犯したというなら・・・私達も同罪。ミールさんが仰ったように・・・ただ見ていただけの私達にも罪はあります・・・同罪なのに・・・私達は・・・ううぅ・・・」



 ミールは2人に語りかける訳でもなく、まるで独り言の様に語り出す。



「怖くて当然さ。別に冒険者だからって命を賭ける必要なんてないんだ。人にはそれぞれ役割がある。街の道路を整備する者、人々の髪を切る者、子供達の面倒を見る者。みんなそれぞれ立派な役割さ。自分を卑下する必要なんてない。そして罪を感じているのならやり直せばいい。誰でも間違いを犯すときはある。その後の行動が大切なんだ。また同じ過ちを犯すのか・・・それとも心を入れ替えて頑張るのか。そこに人の価値は決まると思うよ。何度だってやり直せるさ。きっと意味があるのだろう。君たちが生き残った意味がね・・・」



 そしてそっと袋に触れる。



「ラジカンさん。貴方のお陰で多くの人が救われたよ。もちろん俺もね。ありがとう」



「うわあああぁぁぁんんんっ」

 ミールの言葉を聞いて泣き崩れる2人。



 ミールは自分の発した言葉に思わず苦笑する。

 言い方がまるでガウディじゃないか・・・


 そして今だ大泣きしている2人に一礼して去って行く。




 ミールの頭に金ランク冒険者ガウディの言葉が響いた。


『なんでやり直すチャンスを与えないんだ?!誰だって過ちを犯す事はあるだろ!そこから反省し学ぶ事も沢山あるはずだ!』



 確かにガウディの言う通り、フェリスとラジカンは反省し心を入れ替えた。

 そして命さえ救われた。



 クズは何処までいってもクズのまま。

 そう思っていたミールには正に目から鱗が落ちる現実だった。



 ミールがクズに対して冷たい反応をしてしまうのは、ミール自身の経験則からくるものだった。

 


 陰口を言って楽しむ者。それを第三者に伝えて関係を壊そうとする者。人を陥れて喜んでいる者。自分さえ良ければいいと身勝手に行動する者。他人を道具のように扱う者。悲劇のヒロインぶって自分の罪を人になすりつける者。反省したフリはするが実はちっとも反省していない者。金や権力を使い弱者を虐げる者。他人を見下し差別する者。



 こんな者達を数多く見てきたからこそ、関わるのをやめ、感情を捨ててきた。



 しかしそれは事実ではあるが真理ではない。

 過ちを犯した者全てが更生しないクズ野郎ではないという事だ。



 大抵クズ野郎は少数派。本当に少数の者達なのだ。

 なのにその者達の声は大きい。その者達の行動は脳裏に刻まれる。



 そして勘違いしてしまうのだ。



 1度でも過ちを犯した者は全てクズ。

 更生する事などないのだと・・・



 そして諦めてしまうのだ。いや、逃げてしまうと言っていい。



 考える事を放棄する。



 どうせコイツも同じクズ野郎だと決めつけ一切の感情を切り離す。

 そうすれば少なくとも自分が傷つく事もない。

 自分がこうと思ったらこう。従わないヤツは知らん。




・・・これじゃあ、自分が忌み嫌う貴族と同じじゃないか・・・




 そしてミールは先程の女の子2人にかけた言葉を思い出す。

 あんな言葉をまさか自分が言う日が来るとは・・・



 どうやら知らず知らずにフェリス、そしてラジカンの行動に影響を受け、ガウディの意識に毒されているのかもしれない。



 ミールは笑みを浮かべながら死体安置所から出て行く。



 自分がクズ認定した人間が立ち直り、自分に介入してくる。

 ましてやそんな奴に助けられる・・・



「もっと不愉快な気分になると思っていたが・・・結構嫌な気分ではないんだな・・・」

 ミールはぼそっと独り言を呟きながら、笑みを浮かべ西門へ歩みを進めるのであった。






 戦いのあった東門とは逆方向、西門に向けて歩みを進めるミール。


 人口200万、直径12キロ以上の結界を展開している聖都だけあって移動するだけでもかなりの時間がかかる。

 先日の邪神の騒ぎで至る所で破損している箇所があり、復旧にはまだまだ時間が掛かりそうだ。



 ミールはレンガや石畳が散乱する道をうつむいた表情で進んで行く。



 時折、大きな木材を積んだ荷車や忙しそうに復旧作業をしている人とすれ違うのだが、ミールは全く道を譲らずに歩いている。

 要するに考えごとをしながら下を向いて歩いているのだ。



 ミールが完全に意識を遮断しゃだんし、ぼ~っと考えながら歩くのは珍しい。

 それ程までにフェリスやラジカンといった者達の行動に感化された所があるのだろう。



 しかしやはり油断はしてはならない。

 何時いかなる時も警戒心を切らしてはならないのだ。

 特にミールのように特殊なスキルを持っている人間は・・・



 ミールは背後から後を付けている人物に気付かずに歩みを進めていた。



 そして丁度人通りの少ない路地に差し掛かった所で、後を付けていた人物が走り出す。

 手にはキラッと光るナイフを持って・・・




    ピカンッ




 唐突にミールの目の前にクルッピが眩しい程に光を点滅させながら出現した!



 ミールは頭で理解するよりも早く、反射的に身を翻す。

 直ぐ後ろからナイフを握り突っ込んでくる人物をギリギリで躱し、なんとか体勢を整えた。



 襲撃者は対象が唐突に姿を消したので、そのままバランスを崩してよろめくが、またナイフを構え直す。



 その行動で直ぐに分かった。

 それ程の使い手ではない。ほぼ素人だ。



 ミールは少し落ち着きを取り戻し、相手の顔をよく見る。

 襲撃者は若い男で髪はボサボサ、服はボロボロ、目の下にはクマが出来ていた。



 誰だこいつ?・・・



 全く見覚えがない。

 ということは雇われた暗殺者か?

 しかし動き方は素人同然。



 ミールの頭の中は『???』が大量に出現していた。

 


「お前のせいでザッケローニが死んだんだっ!責任をとってお前も死ねっ!」

「???」



 襲撃者は言葉を発するが、それを聞いてもなおミールには相手が何を言っているのか分からなかった。



「あの~・・・人違いじゃないですか?」

 ミールは興奮している襲撃者をなだめるように、なるべく落ち着いた声で語りかける。




「ふざけるなっ!お前が邪神と戦ってた冒険者だろ!何が英雄様だ!恥を知れっ!」

「!」




 ミールは驚く。

 自分の事を知っている・・・そんな人物は限りなく少ないはず。

 一体誰なんだ?コイツは・・・



 ミールは先程とは打って変わって、警戒心MAXで襲撃者を睨み付ける。

 幸い今は人通りが無く第三者に聞かれる心配はないが、コイツが騒ぎ出せばいずれ誰かの耳に入る。



 自分が邪神と戦った者なのだということが・・・



 それはなんとしても阻止しなければ。

 先ずはコイツが誰なのか、その正体を突き止める事が先決だ。



「お前は誰だ?何故俺の事を知っている?」

 ミールは声のトーンを落とし、威圧感をもって語りかける。



「お、お前がザッケローニを殺したんだっ!俺の親友を!お前がもっと向こうで戦っていればザッケローニが死ぬことはなかったんだ!全部お前のせいだ!死んで償え!クソ野郎!」



「もっと向こうとはなんだ?いつの事だ?」



「とぼけるな!邪神が出てきた時、みんな逃げてるのにお前が戦い始めたんだろ!もっと向こうで戦えばよかったんだ!みんなを沢山巻き込んで!なんとも思わないのか!このクズ野郎!」



 あーなるほど。そういう事か・・・

 つまり邪神が現出してきた時にいた、兵士か何かだろう。



 確かにあの場にいた者ならミールの存在は知る事が出来た。

 しかしミールはフードを被っており視認する事は出来なかったハズだ。



 つまりミールの事を知っているということは、あの大混乱の中で、大勢が一瞬で粉々に吹き飛ばされる中で、ミールに近づきステータスを見た者のみ。



 あんな死と隣り合わせの状況で、呑気にステータスを見るヤツなど普通は考えられない。自分が助かる為に皆、一目散に逃げていたのだから。



 しかしコイツは違う。

 よく分からないが何故かミールが戦った事に恨みを持っていた。

 だからこそステータスを確認したのだ。



 あとで責任を取らせる為に・・・



「よく分からないな。何故俺のせいなんだ?お前の友達とやらが死んだのが」


「よくもそんな台詞が言えるな!当たり前の権利だろ?!お前はあの化け物と戦える力があって、俺達には無い!お前が俺達を守るのは当然だ!当然の権利だ!」


「・・・」



 ミールは言葉を失ってしまう。

 正に開いた口が塞がらないといった感じだろうか。

 考え方が違い過ぎる・・・というか異次元過ぎる。



 どうして自分中心にしか考えられないのであろう。

 どうして何もしてない自分に権利があると思っているのだろう。

 どうして自分は安全な所にいるくせに、相手を非難する事が出来るのであろう。



「お前は何をしたんだ?何もしてないお前に権利などないだろ?」



「ふざけるなっ!ルーン国第8条『ルーン国で生まれた人間種は国籍と権利を有し、法や制度に従わなくてはならない』と書いてあるっ!俺はルーン国出身だ!権利なら生まれた時点で持っている!」



 いや・・・それは法や制度に従ってねって事で、別に全ての人は生まれながらありとあらゆる権利で守られているって事では無いのだが・・・



「そもそもなんで守らなきゃならんのだ?そんな権利は存在しない」



「ふざけるなっ!世界法第6条『世界の人々は協力して悪魔種と戦わなくてはならない』と書いてあるっ!守るのは当然だ!しかしお前は協力せずにそれを放棄した!死んで償え!」



 いや・・・それは厄災などの巨大な悪魔種が現出した時は、各国は一致団結して討伐隊を派遣しなければならないという意味で、ありとあらゆる弱者を守らなければならないという権利とは違うのだが・・・



「全く意味が分からん。そもそも俺が邪神を倒してなければ、この国は滅び、お前も死んでるんだぞ?感謝されこそすれ、恨まれる筋合いはないな」



「ふざけるなっ!どうせあの邪神もお前が出現させたんだろ!悪魔がいるのは大聖女の陰謀だって本に書いてあったぞ!どうせ今回も聖女と結託して俺達を騙したんだろ!この人殺しめ!」



「・・・・・」



 なるほど。もう分かった。コイツはこういうヤツなんだろう。



 こういった権利やルールを自分の都合の良いように解釈し、それで武装する。

 嘘の情報を信じ、鵜呑みにする。

 自分が成功してないのは、不利益を被っているのは、成功してるヤツのせいなんだと思い込む。



 そして成功している相手が間違いをおかそうものなら、徹底的に相手を責めるのだ。

 自分を棚に上げて、ヒステリックに。



 皆さんの世界でもいますよね?

 断片的な情報だけを鵜呑みにして、SNSなどで好き勝手に非難してくる人が。



 こういったヤツは自分が100%正義だと信じている。

 相手が100%悪だと思っている。

 話し合いの余地など無い。



 そもそも話し合った所で考えを変えることもないし、反省もしない。

 だって自分が正義なんだもの。



 だから無駄に知識だけはいっちょ前の、子供の精神力をもった思い込みの激しい大人が誕生するのだ。



 先程も触れたが、こういった者は極少数。

 本当に極少数なのだ。



 しかし強烈なインパクトを残す。



 ミールも又、この男に対して嫌悪感を感じる。

 いや、殺意を覚えたと言っていい。



 コイツと話し合う余地は無い。そしてミールの存在を脅かす危険分子だ。

 ここで下手に生かしておくと何を騒がれるか分かったもんじゃない。



 始末するか・・・



 まずは畏怖のお面を使い戦意を喪失させる。

 力はスキルによって弱体化しているが、完全に無抵抗の相手にはナイフを突き刺すだけ。簡単に殺せる。



 その後、死体を放置してしまうと心療回復士に行動ログを読み取られる恐れがあるのでマジックポケットに収納する。

 ちょっと大きすぎて入らない可能性があるので、炎を纏わせたナイフで肩から腕の部分を切り取ってしまおう。

 そうすれば短時間で切断可能だ。



 その後、フィールドの森の中に埋めてしまおう・・・等とかなり具体的な想像を一瞬で脳内でシミュレーションするミール。



 ふと、その脳内にフェリス、そしてラジカンの顔が浮かび上がる。

『ふっ・・・』ミールは自分の脳内に駆け巡った恐ろしい考えに苦笑する。




「うぎゃあああぁぁああぁぁ!」




 畏怖のお面を被ったミールに叫び声を上げる男。

 ミールは逃げ出さないようにグッと馬乗りになる。



「ここで死ぬか?」

「ひゃああひゃきゃぎゃああぁ!ひ、人殺しぃぃ!!」


「そうだ。俺は人殺しだ。お前もあの世で後悔するんだな」


「しょ、しょんなことをし・・ししししたら・・・捕まるぞぉぉ・・・」


「捕まらんさ。お前の死体は発見されないからな。ほら、さっきの権利に守ってもらえよ」


「ひゃふゅひょひいぃぃ・・・」

「じゃあな」



 ミールはこの男が持っていたナイフを首に構える。



「ひやだぁ!嫌だぁ!た、たたたすけてぇぇ!!」

「知らん。どうせお前は俺の事を喋るだろ?死ね」

「しゃ、しゃしゃしゃべりませんっ!絶対に喋りません!」

「信じられるか。あばよ」



 首にナイフが触れる冷たい感触が男を襲う。



「嘘じゃありまぜん・・・ほんどでしゅ・・・」

 泡を吹きながら、白目になりながら、失禁しながら必死に懇願する。



「そうか・・・ラッキーだったな。今日の俺は機嫌が良い。今後絶対に俺の前に姿を現わさない事、俺の事を口外しない事、それを約束出来るなら逃がしてやらんでもない」



「じぇったいにしゃべりまぜん。じぇったいにいい・・・じぇったいにぃぃ・・・」




「そうか。それじゃあ悪魔の契約をしてやるよ」




 ミールはそう言うとマジックポケットから紙とペンを取り出す。

 そして闇属性をペンに纏わせ文字を書く。

 この男にはミールが悪魔そのものに見えている事であろう。



 そしてミールはナイフで男の頬に傷をつける。ガクガクと更に震える男。

 ミールは強引に男の手を掴み、その指を頬の血で染める。

 そして紙にググッと捺印させた。



「ほら、見ろ。俺の前に現れた場合、俺の事を第三者に口外しようとした場合は、その瞬間魂が焼かれる。魂が焼かれるとはどういう事か・・・分かるよな?これはお前が死ぬまで継続される。いいな?」



 コクコクと震えるように頷く男。



「よし」

 ボオオオウウっと紙が一気に燃える。

 男の目には悪魔の契約が成立したように見えている事だろう。



「ここに契約は成立した。いいな?俺の仲間に対しても同じだ。俺の仲間に手を出したら俺は絶対に許さない。地の果てまでも追いかけて必ずお前を殺す。忘れるな。絶対にだっ!」



 ミールはガシッとナイフを地面に突き刺し、語気を強めて脅す。



「じぇったいに・・・しませ・・・ん・・・」

 ブクブクと口から泡を出し、そこでガクッと気絶する男。



 ミールはやれやれとため息をしながら立ち上がる。

 そして何事もなかった様に再び歩き始めた。



 十分脅した。これで少なくとも喋る事はないだろう・・・



 ミールが使った悪魔の契約はただのハッタリ。それっぽく見せただけだ。

 本当の悪魔の契約とはもっと禍々しい、恐ろしいモノ・・・いや、詳しくはいつか語ろう。



 それにしても・・・



 フェリスやラジカンの件で考えを改めようか迷っている最中に、とんでもない強烈なヤツが襲ってきたもんだな・・・



 まるで命を賭けて守る価値など人間にはない。

 クズのヤツは何処までいってもクズのまま。

 お前の考えは正しい。

 考えを変えるなミール。

 そう神様が諭しているかのようだ。



 ミールは余りにタイミングが良い展開に苦笑い。

 ウーンっと背伸びをしながら歩みを進める。



 目の前には大きな西門が口を開いて出迎えていた。




 聖女巡礼  ~完~

 

 次話  『蘇る魂の道しるべ』          

リリー「はぁい。それじゃあ、いくよぉ〜?せーのっ」

ロイヤー、ランドルップ、リューイ「お願いしますう。いいねをくださーい」

リリー「良いよぉ。その調子ぃ」

ロ、ラ、リュ「何卒ぉ、評価ボタンを押してくださぁい」

リリー「もういっちょぉ」

ロ、ラ、リュ「せめてブックマークだけでもお恵みくださぁい」

聖女「ちょっと!あんた何やってんのよ!てかアンタ誰っ?!」

リリー「えぇ〜?リリーはぁ、リリーだよぉ?筆者ちゃんのぉ、お気に入りぃなんだよぉ」

聖女「はあ?!意味分かんない!その甘えた喋り方何とかしろ!」

リリー「きゃー。聖女ちゃぁん、こわぁい。あんまりぃ、怒るとぉ、シワ増えちゃうよぉ?」

聖女「ぐっ・・・で?!アンタはこの男達使ってなにしてんのよっ?!」

リリー「えっとねぇ。今まで後書きでねぇ。散々『いいね、評価、ブックマークよろしくねっ』て頼んでもぉ、ぜーんぜんしてくれないんだってぇ。だからぁ、ポイントもぜーんぜーん増えないのぉ。だったらぁ、もうへりくだるしかないじゃーん」

聖女「バッカねえ。そんな事しても見下されるだけじゃない!脅せばいいのよ!いいねしないと◯すわよ!とか言って」

ピッケンバーグ「私は聖女様の騎士。聖女様が脅せと言うのであれば喜んで脅しましょう」

聖女「ピッケン。貴方ちょっと黙ってて」

リリー「はいはーい。続きやるよぉ?さんはいっ」

ロ、ラ、リュ「土下座するのでぇ、コメントくださぁい」

聖女「ちょっと!あんたプライドは無いの?!」

リリー「え〜?リリーはぁ、しないよぉ?見てるだけぇ。そしてねぇ、土下座してる人の頭を踏みつけるのぉ」

聖女「こわっ!あんた笑顔で人を刺すタイプね。土下座で喜ぶのはアンタみたいな性格破綻者だけよ!もっとメリットがないとダメね!」

リリー「そっかぁ。それじゃあ、コメントくれたらぁ、リリーとぉ、い・い・こ・と・できるよぉ♡」

聖女「アンタ!通報されたいの?!」

リリー「やっだぁ。なに勘違いしてるのぉ?ちょっとナデナデしてあげるだけじゃーん。ねー♡」

ロ、ラ、リュ「でへへっ」

聖女「と、とにかく!読者なんて脅せば良いのよ!そこのアンタ!いいねしないと◯すわよ!」

リリー「評価やブックマークしないとぉ、後ろから刺しちゃうぞぉ?」

ピッケンバーグ「私は聖女様の騎士。コメントをくれたら私のブリーふ・・・」

聖女「ピッケン!アンタは黙ってなさい!」

リリー「ねぇねぇ、筆者ちゃーん。ポイント沢山稼げたら私って復活するんだよねぇ?・・え?なになにぃ?1万ポイント獲得出来たら復活するかもね・・・だとぉ?はあ!?ふざけんなっ!底辺筆者のテメーに獲得できる訳ねーだろうが!さてはテメエ。あたしを復活させる気ねーな?!あっ、コラ!逃げんな!待てぇーーーーーコラーーー・・・」

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