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スライムには負けるけど魔王には勝ちます  作者: すふぃ~だ


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聖女巡礼②

「あー。なるほど。そういえばいよいよですもんね。ま、今年も最下位でしょう」


「何言ってんのよ!そしたらガタリヤはマズイ事になるわよっ?黄色ちゃんも分かってるんでしょ?まったく・・・素直じゃないんだから・・・」



⇨聖女巡礼②




 そうしてギルドに集まった冒険者達。

 ギルドは最大2000人ほど収容できるスペースがあるのだが、半分くらい埋まっているだろうか。1000人前後はいそうだった。



「ひゃ~・・・冒険者って・・こんなにいるんだぁ・・・」

「一辺に集まると、壮観ですわねぇ・・・」

「す、凄い人ですぅ」

「ブルニ、手を繋ごう。はぐれるなよ」

「うんっ。お兄ちゃんっ」


「あちゃ~・・・今はみんな集まってもこれくらいしかおらんのかぁ」

「随分と減ったのぉ・・・」



「ええ??こ、これでも少ない方なんですかっ?!」



「おや、リリフちゃんは知らなかったかい?全盛期はね、3000人くらいの冒険者が登録されていたんだよ。ガタリヤはね」


「さ、さんぜんにんっ!!すごっ!」


「ほんの数ヶ月前にドラゴン討伐の件で、ガタリヤだけで150人近くが、やられたからのぉ。更に寂しくなったわい」


「そうなんですかぁ。どんな戦いだったんですか?!ミールが活躍したって事くらいしか聞いてなくて・・・」


「ふもっ?!う、うむ!・・・だ、大活躍じゃったぞい!の、のう?!ロイヤーよ!」

「わ、ワシに振るな!わしゃ知らん!ボケた!」

「?」



 取り乱すロイヤーとランドルップに、リリフは不思議そうな顔を浮かべる。

 ペシッペシっと二人の頭を叩くルチアーニ。



「余計な事言ってんじゃないよ?!まったくもう・・・リリフちゃんや、今度ゆっくりとお話してあげるね。あんまり人に聞かれたくない話だからね」



 ルチアーニは意味ありげな表情を浮かべたので、リリフはあまり詮索しないほうが良いみたいと感じたようだ。



「は、はいっ。分かりましたっ、ルチアーニさん!」



 ちょうどそのタイミングでミールが合流する。



「よおっ」

「ひゃっ!あ、み、ミール・・・お久しぶり・・・ねっ」

「あん?昨日会ったばかりじゃねーか」


「何言ってんだい。愛しの人に3時間会えなかったらソワソワして、半日会えなかったら今頃何してるのかなって思いを馳せ、1日会えなかったら声を聞きたくて通話をかける。それが愛ってもんさね。リリフちゃんの頭の中は黄色ちゃんでいっぱいなんだから。大目にみてやりなっ」



「ちょちょちょちょちょおーぉ!な、何言ってるんですか!?ルチアーニさん!」



「あらやだ、違うの??」

「ち、違くは・・・ない・・・ですけど・・・そういうことじゃなくて!」

「うふふ」

「がっはっはっは」

「あははっ。リリフ姉様っ可愛いっ」



 すっかり打ち解けているみたいだな。

 ミールも笑みを浮かべリリフ達と雑談をしていると、メガネをかけたザクトーニが前に出てきて話し出す。



 はて?今までメガネをかけてるギルド長は見たことない。

 なんか形も真四角で分厚く、言っちゃ悪いが一昔前の老眼鏡みたいだ・・・



「えー!こほんっ。みなさまっ、本日はお忙しい所お集まり頂きありがとうございます。ギルド長のザクトーニでございます。えー、今現在ガタリヤに所属している冒険者の皆様、現在2組が遠征に出られておりますので不在ではございますが、ほぼ全ての冒険者の皆様にお集まり頂き大変感謝致します。ありがとうございます。で、本日お集まり頂きましたのは、2週間後に迫りました聖女巡礼に関する注意事項、もう1つは1週間後行われるアーニャ様の出立式に関する事でございます。3年ごとに毎回ご説明させて頂いておりますが、最近冒険者になられた方も多くおられます。非情に重要なご案内となりますので、最後までしっかりとお聞き下さい。では早速、皆様に資料をお配り致しますので、魔法メモをオープン状態にお願いします」



 魔法メモとは基礎魔法の1つで、常に頭の中にメモ帳が入っている状態だとイメージしてもらいたい。

 容量はA4サイズの紙で、3枚程度くらいの文面は記憶する事が出来る。



 そしてザクトーニが言ったオープン状態とは、発信者に対して50メートルほどの距離にいた場合、オープン状態にしている人全員に送ることが出来るシステムだ。

 所謂Bluetoothですね。こういった説明会やら会議やらでよく使われる事が多い。



「あ、やべ。俺容量無いわ・・・」

「あー俺も」



 もちろん容量がないと受信出来ないので、常に1枚ほどは余裕を持っておくのが推奨されている。



「み、ミール様っ!ど、どうしましょう??ぶ、ブルニ、容量いっぱいですぅ・・・」



 メモ大好きなブルニの脳内魔法メモは、案の定いっぱいのようだ。



 ちなみに、いつもブルニが手に持っているペンは、魔法インクを使っているので魔力があればインク切れの心配は無いし、色も1本で12色使える。

 メモ帳の方も水に濡れても影響されない紙を使っているし、1センチ位の厚さで3万ページ収納されている優れものだ。



「ほら、あそこで紙のプリントも配られてるから貰って来なよ」

「あ、ホントだっ!ありがとうですっ」



 ブルニはぴゅ~っと走り出し、ギルド嬢からプリントを受け取る。

 プリントを貰って嬉しそうにニコニコしているが、振り返ったら自分がどこから来たのか分からなくなったようだ。ミール達を見つけられず泣いてしまっている。


 慌ててリューイが走り出し、ブルニを引っ張ってくる。



「えへへっ。ありがとー。お兄ちゃん」



 ブルニは涙を拭きながらニコッと笑顔をリューイに向ける。

 リューイはやれやれといった感じで笑顔になる。



 なんかリューイがシスコンなのは、リューイ自身に問題があると思っていたが・・・

 もしかしたら原因はブルニにあるかもしれない。

 こんな笑顔を向けられたら、誰だって守りたくなるだろう。



「では、皆様。行き渡りましたかな?早速ご説明をさせて頂きます。まず聖女巡礼、こちらはどういった儀式なのかは説明を省かさせて頂きます。とにかく本日お伝えしたい事は只1つ!決して聖女巡礼の列に近寄らないで下さいっという事です。聖女巡礼は各街の兵士が聖女様を護衛する為、大行列となって進みます。そして慣例によって、基本的に冒険者は列に加われません。そして重要なのが、その大行列の近くでモンスターと戦闘行為をした場合、即死刑が言い渡されるという点なのです」



 ザワザワするギルド内。

 ドラゴンの件でベテランや腕に覚えがある冒険者はほぼいなくなり、ここにいるのは比較的冒険者経験が浅い者ばかり。

 初めて聞く事に驚きを隠せない。



「そ、それって・・・例えば討伐クエストとかを、こなしていても駄目って事ですか??」


「駄目です」


「じゃ、じゃあっデーモンは?デーモンと戦ってても??」


「駄目です。もちろん兵士達がデーモンを最優先で倒すでしょうが、その後殺されます」


「じゃ、じゃあ・・・ランク!流石にランクが高い冒険者は殺さないよな?!高ランクの冒険者は貴重だし、国の宝だもんな??」


「以前・・・6年前なので、前々回の聖女巡礼の際に、聖都所属の金ランクの冒険者達がデーモンと戦っていました。冒険者は野良デーモンを発見したので、聖女様になにかあってはいけないと思い善意で参戦したのです。しかし、殺されました」


「な、なんで??」


「聖女様を守るのは自分達の役目だと。聖女様の道を汚れた冒険者が汚すなと。自分達、兵士が倒してこそ聖戦となり浄化されるのだというのが兵士達の言い分です」


「なんじゃそりゃあ!?」

「ふざけんなー!」

「普段ロクにモンスターも倒して無いのに偉そうにしやがって!もしそうなったら反撃してやるよ!殺せるもんなら殺してみろってんだ?!」


「1万の兵士相手にですか?聖女巡礼に参加する兵士は全員精鋭揃いですよ?ですが・・・もし仮に、逃げ切れたとしましょう。しかしその後の人生はどん底です。重罪人のレッテルが貼られ、どの街にも入れません。しかも、もし貴方が重罪人となった場合は、その登録している街、つまりガタリヤから貴方を討伐するクエストが発注されます。街にも入れない、しかも次々と自分を殺そうと冒険者や兵士、もしくは殺し屋すらやってきます。それでも生きていけますか?」


「ぐえぇ・・・」


「私から言えるのは只1つ。決して近づかないで下さい。聖女巡礼は特別な儀式です。正に各街の運命がかかっている重要なイベントです。兵士達も領主もピリピリしているので、通常のルールは適用されないと思ってください。いいですね?絶対に近づかない事。聖女巡礼が行われる時期に毎回このように注意喚起を行っているのですが・・・必ずどこかしらの街の冒険者が近づいてしまって殺されています。前回の聖女巡礼ではガタリヤの冒険者も殺されました。決して甘くみないように。触らぬ神に祟りなしなのです」


「こええぇ・・・」

「俺、しばらく休むわ・・・」

 ビビりまくる冒険者達。


「では、具体的な説明に入らさせて頂きます。お配りしたプリントに記載されていますように2週間後、聖都を出発して、まずは北東のカタロスの街を目指します。その後、反時計回りに各街を訪れ、1ヶ月半ほどを要して一周する流れです。いいですか?そこに記載されている日にちは、あくまで目安です。聖女様のご気分次第で遅くも早くもなります。逐一、今聖女巡礼はどこまで進んでいるのかをチェックし、場所が近くになったらクエストには出ないで下さい。近づかないで下さい。良いですね?」



「てことはさー。この最初に訪れるカタロスの街、ここから聖女が出発したら、もうその周辺は安心って事か?」



「そうですね。カタロスの街周辺は安心と言っていいでしょう。ただし、最後は全員聖都に戻ってくる。その点を注意してください。これは戒めなのですが・・・先程、前回の聖女巡礼でガタリヤの冒険者が犠牲になったと言いました。それが正にそのタイプだったのです。プリントに記載されている通り、キーンを出たら次はガタリヤ、そして最後に港町のクリルプリスという順番、この港町が終着です。つまり・・・クリルプリスが終わったら、また同じ道を通り聖都まで帰還されるという事。クリルプリスから聖都までは、ガタリヤ、キーンを経由する街道しかありません。前回の聖女巡礼では、この点を意識していなかった冒険者が、ガタリヤが終わったからもう大丈夫だと思ってクエストに出てしまい、帰り道の兵士達に粛清されました。いいですね?この街が終わったからといって油断しないようにっ!細心の注意を払った行動をよろしくお願いいたします」



「ふひ~。結構大変そうね・・・」

「そうですわねぇ・・・ガタリヤ近くなったら、当分外には出れそうにありませんわね」

「そ、それではマルリの街方面に行くのはどうですか??そっち方面にいっちゃえば安心かもしれないですぅ」

「確かに・・・しかし、鉢合わせの可能性もある・・・気をつけなければ・・・」



 リリフ達が行動指針をすり合わせていると、更にザクトーニが話し出す。



「では・・・これはあまり想像したくはありませんが・・・もし仮に、聖女巡礼の列に遭遇してしまった場合の対処法をお伝えします。まず・・・視界に列の兵士達が見えた場合は・・・逃げないで下さい。米粒程度の大きさでも、もう手遅れです。奴らは・・・失礼。兵士様達は索敵能力の優れたマーカーを先頭に配置しています。あっという間に追跡魔法をつけられ、ステータスは丸見えな状態になるでしょう。そして仮に逃げきれてしまっても、先程ご説明させて頂いた通り、重罪人のレッテルが貼られます。どの街にも入れません。そして追跡魔法のせいで何処にいても居場所が分かってしまいます。いいですね?逃げないで下さい」



「でもよお!逃げないと殺されるんだろ??」



「いえ、絶対ではありませんが・・・対処法はあります。まず街道の端に寄り、行く手を遮らない場所で膝をついて座り、頭を下げてください。要は土下座ですね。武器を横に置き、ずっと土下座です。決して頭を上げたり動いてはいけません。蚊が飛んできて血を吸うでしょう、痒くなるでしょう、しかし動いてはいけません。足が痺れてくるでしょう、クシャミをしたくなるでしょう、しかし動いてはいけません。クシャミをした時点で殺されます。とにかく必死に大行列が通り過ぎるまで動かないでください」



「つらー・・・」

「も、もしよ!もし!その時にモンスターが襲ってきたらどうするんだよ?!」

「運が良かったら兵士が討伐してくれます、運が悪ければ・・・運がなかったと諦めてください。自分から動いてはいけません」

「ひえええぇ・・」



「アイツらは・・・失礼。兵士様達は基本、暇を持て余しています。出発した直後は緊張も多少あるでしょうが・・・2~3週間したら暇で暇でしょうがない感じでしょう。なにせ周りは精鋭の兵士ばかりです。遭遇したモンスターも直ぐに倒され、やることがないのです。そんな時に冒険者が土下座している姿を見つけようものなら、暇つぶしに嫌がらせをしてくる事も大いに考えられます」

「い、嫌がらせ??」



 ザクトーニも聖女巡礼の兵士の行いに思うところがあるのだろう。ちょいちょい兵士の呼び方が辛辣しんらつになるのがその証拠だ。



「そうです。わざと土下座している冒険者の前で休憩をとったり、酷いときは、そのまま宿営をしたりします。冒険者達はずっと、その間も土下座しなくてはならないので大変です。わざわざ見張りをたてて動くのを監視しているのですから・・・殺される確率はかなり高いでしょう。これが最初に言った絶対ではないと言った理由です」



「性格悪っ」

「やっぱ兵士って閉鎖的な空間にいるから、やること陰険いんけんよねー」

「これって聖女様はなにも言わないのー?」



 リリフ達を勧誘してきた女の子だけのPTだよっと言っていた赤毛のリーダー率いる、お金大好きビッ○集団が文句を垂れる。



「あんたたちも性格悪いっつーの・・・」

 リリフが小声で、ぽつりと言った言葉をミールは聞き逃さない。



「聖女様はですね・・・なんといいますか・・・非常に言いづらいのですが・・・こういった悪戯的な事が・・・大好きな性格をしておりまして・・・すみません。これ以上はなにも・・・」



 十分伝わったよ、ザクトーニ。

 思いっきしガッカリするリリフ達。



「はあぁ・・・やっぱりこの国の聖女様って・・・」

「ですわねぇ・・・」

「ブルニは悲しいですぅ・・・」

「アーニャ様が素晴らしい人格者なので余計目立ちますね・・・」



「えー・・・とりあえず聖女巡礼の注意事項は以上です。なにか質問などありますかな?」

 シーンとするギルド内。



「ないようですな・・・とにかく重ねて言いますが・・・近寄らないように十分注意をして行動をお願いします。では・・・次に1週間後に行われるアーニャ様の出立式に関しましてですが・・・ガタリヤは今までも現在も、兵士と冒険者が一緒になって街の防衛に努めてきたという歴史があります。そこでアーニャ様から是非出立式には冒険者の皆様も参加して下さいとお申し出がありました。ただですね、こちらは完全に任意ですので、ご参加可能のPTはそのまま残って下さい。参加が難しそうなPTの皆様はここまでで結構です。お時間さいて頂きありがとうございます。ではっ、これにて一旦解散とさせて頂きます。ご参加可能のPTはそのまま残ってくださーい」



 リリフ達は顔を見合わせる。

「ねえ?どうする?どうする?私は見に行きたいっ!」

「わたくしも行きたいですわっ!アーニャ様ラブですもの!」

「ブルニも大賛成です!」

「僕も構いません」


「あたしたちも参加しましょうかね。先代にはお世話になってるし」

「だな。わしゃアーニャ様、結構好きじゃぞ!可愛いし美しいしのっ!」

「ワシも好きじゃ!凛としてる所なんて溜まらんのぉ」



「俺はルチアーニの方が断然可愛いと思う」



「もうっ!ミケルったら・・・ぽっ・・・」

「てめえっ!ミケル!また抜け駆けかぁ?!」

「ふざけんなー!いつもいつもっ!美味しいところを持っていきおって!」

「あはははっ・・・お腹痛い・・・」

 リリフ達は大爆笑。



「黄色ちゃんはどうするね?」

「僕ですか?・・・うーん。あんまり気が進まないっすね・・・」

「あはっ、ミール。アーニャ様避けてるぅ~・・・」

「なんじゃ?なんかあったのか?」


「アーニャ様はなんとっ!ミール様にホの字なんですのよっ!」

「嘘じゃろ?!なんでじゃ??」

「ずるいぞ!ミール!」



 ホの字がイミフな方はAIに聞いてみて下さいね☆



「い、いや・・・気のせいじゃないっすかね・・・そういう訳で僕は不参加で・・・」

「駄目じゃ!許さん!絶対参加じゃ!」

「そうじゃ!この目で確かめちゃる!」

「はいっ、黄色ちゃん参加決定~」

「げぇ・・・」



「はいはいっ。ではご参加可能のPTの皆様、ありがとうございます。早速整列の場所の説明をさせて頂きます。このA区画に正規兵がB区画に貴族の私兵が整列致します。私達冒険者はアーニャ様を送り出す花道を作るように両サイドに整列します。では早速、具体的な整列順を決めましょう。えっと・・・」



 ギルド長は次々と冒険者達を振り分けていく。



「はいっ。ミール様はこちらへ。はいはい。ルチアーニはここな」

「おいおい。俺先頭じゃないか。嫌だよ」

「はいはいはい。リリフさん達はここで、えーっと次はー・・・」



 ザクトーニは、ミールの意見に聞こえないフリをして、ドンドン決めていく。

 どうやらザクトーニも、アーニャがミールに好意を抱いている事に、薄々気づいているのかもしれない。



 かくして、ミール、リリフ達、ルチアーニ達は左側の先頭に配置されたのであった。

 不満顔のミールには触れず、次にピコルが冒険者達の前に出てくる。



「はい。それでは配置が完了しましたので、次に敬礼の仕方をご説明致します。こちら受付嬢ピコルと同じようにして頂ければと思います。えー。アーニャ様が出発する時に、『敬礼!』と隊長が大声で言いますので、その際に、はいっピコル・・・このように胸に手を当てて、足を閉じます。もう一度行きますね。敬礼!・・・はいそうですそうです。格好良くお願いしますね」



 冒険者達の前で、敬礼の見本を見せるピコル。

 最近チーフになったらしいが、通常は身体が大きい男性が見本になる事が多い。

 それなのにギルド長はピコルを指名しているということは・・・

 もしかしたら次の幹部候補、更には自分の後継者として考えているのかもしれない。



 ミールの脳裏に、グワンバラのようになったピコルの姿が浮かんでくる。

 ブルブルと身震いをして、ミールはその雑念を振り払うのであった。



       続く

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