ガタリヤ奮闘記⑲
「お金と女を自由に出来るって言われて鼻の下を伸ばしたのよねー?リューイ」
「ぎょえっ!な、なぜそれを?!」
「ふふん。私の耳はスキルのお陰で特別製なんですよーだ」
リューイと手を繋いで歩いていたブルニはピタッと立ち止まり、手を離して一言。
「お兄ちゃんのエッチ・・・」
⇨ガタリヤ奮闘記⑲
抗議活動が開始されて3日が経過した。
未だに全く収まる気配を見せない群衆は、声を上げ続けている。
そんな中リリフ達は変わらずに、フィールドで修練を続けていた。今は結界から2~3キロくらいの距離の外周を回って、経験を積んでいる感じだ。
ちなみにミールは、近場のお使いクエストや魔石屋巡りをしている。
「ふう、今のは結構良かったね。上手く連携が取れてたと思う!」
「ですわね。ブルニも新しく覚えたスキルを上手く使えていましたわ」
「そうそう。なんていう名前だったっけ?」
「『盾振動』ですっリリフ姉様っ。盾に触れた時に痺れさせたり、弾き返したりするものですっ!」
「そうそう。とても良かったわ。敢えて攻撃をさせて、カウンターを仕掛ける事も出来るかもねっ!」
「はいっ頑張りますっ!」
そんな中、リリフに通話が入る。
「あ、どうしよ・・・通話が入っちゃったわ・・・リンちゃんだ・・・」
「まあ、ではわたくし達で回りを警戒致しますので、リリフは通話してくださいな」
「え?大丈夫?・・・」
「はいっ頑張ります!」
「お任せください。リリフね・・・様」
「ごめん!ありがと!」
リリフは通話魔力を込める。
「あ、リリフさん・・・フィールド中だよね?急にごめんね・・・」
明らかにリンの声に張りが無い。かなり落ち込んでいるように聞こえる。
「ううん。全然いいよぉ。どうしたの?・・・」
リリフも神妙な声で応対する。
「ははは。ちょっとさ・・・落ち込んじゃって・・・弱音っていうのかな・・・聞いて欲しくてさ・・・」
「うんうん。どうしたの?・・・」
「うん・・・・実はね・・・抜けたいって言ってる子でマリンって子がいるんだけど・・・」
あの下心丸出しで近寄って来ていた先輩冒険者を、口臭い!本当にキモい!って叫んでいた子だ。
「うん。知ってる。マリンさんね」
「うん・・・その子がさ・・・なんか1人の時にコリンズが来てね。俺に一晩抱かれたら特別にチーム抜けさせてやるって言われたんだって・・・マリンはさ、元々かなりストレスが溜まっててね。先輩に凄くセクハラしてくる奴がいてさ、そいつの事を相当嫌ってて。一刻も早く抜けたいって常に言っててね。そしたら1人100万だろ?まあ、かなりメドは立ったけど、それでも、まだまだ直ぐには抜けれないじゃない?・・・それで言葉に乗っちゃったんだって。そしたらさ、部屋には暁の杯全員の男がいてね、話が違うって逃げようとしたんだけど、強引に連れ込まれて、全員にレイプされたんだって・・・特にさ、マリンが嫌ってる男に何度も何度も犯されて・・・心が折れちゃってて・・・朝にね、自殺を図ったんだ。偶然に私が発見してマリンは一命を取り留めたんだけど・・・結局チームを抜けれるって話も嘘だったみたいで・・・私さ、悔しくて・・・警備局に行ったんだよ。でもね、ほら、今抗議活動で人が足りないらしくて、マトモに相手もしてくれないんだよ。でも根気よく被害を訴えてたら、たまたま調停者の人が話を聞いてくれたんだ」
調停者とは、貴方の世界の弁護士や検察官のような存在だ。
この世界には弁護士も検察官もおらず、この調停者が両方の役目をこなしている。
大きく違うのが、特に弁護や罪の追求をしたりはしない。ただ客観的に物的証拠、状況証拠を整理して報告するのみ。
その数々の証拠を7人の裁判官が判断し、多数決で有罪や無罪、または量刑が決まる仕組みだ。
ただ以前にも少し説明させて頂いたが、この世界は貴方達の世界ほど甘くは無い。
多数の殺人を犯しているのに、精神鑑定で責任能力無しと判定され無罪。
法定速度を大幅に超えるスピードで身勝手に事故を起こし、人を殺したのに殺意は無いと刑期は2~3年。
明らかに犯罪に手を染めているのに、黙秘して証拠不十分で釈放・・・
貴方の世界では『え?無罪になっちゃうの?』といった凶悪犯罪や『え?そんなに早く出てこれちゃうの?』といった法律の隙間を突いたような犯罪も、こちらの世界では全て死刑が言い渡される。
それほど自分本位で罪を犯した者には、厳しい罰が下されるのだ。
もちろん冤罪を防ぐ為、その分しっかりと聞き取りが行われるのだが・・・その方法がちょっと違う。
犯罪を犯したと疑われた者、つまり被告には黙秘権などは存在しておらず、ある意味喋らない方が得になるような仕組みにはなっていない。
逆に質問に答えない場合は、肯定したと同じ扱いとなるので注意が必要。
それは精神異常者も同じ扱いで、その時正常な判断が出来ない状態だったとしても、罪が軽減する事は無い。
当然、罪を犯した人々は、自分が助かりたいが為に、嘘八百を並べてくる者も多くいる。
その言葉が真実かどうか、言っている事は正しいのか。そういった事を調べるのが調停者の仕事だ。
そして虚偽の報告をしていたと分かれば、たとえ罰金刑で済む万引き犯であろうとも、死刑になってしまうので注意が必要。
『記憶違いしてましたぁ』『勘違いでしたぁ』などの言い訳は通用しないので、それ相応の覚悟を持って嘘をつく必要があるのだ。
もちろん、こういった仕組みが成立するのは、根底に自白魔法の存在がある事はいうまでもない。
だがしかし、明らかに犯罪に手を染めている、原因になっている証拠が出てきたら厳罰が下るのだが、逆に言うと明確に犯罪に関わっている証拠がない、疑わしい程度の場合は罰せられない事も多い。
やはり『どちらとも言えない』といったケースは多々有るのだ。
そんなの自白魔法をかけちゃえばいいじゃん?って思う方もいると思うのだが、1つ1つの犯罪に携わった人、全てに自白魔法をかける・・・ハッキリいってキリがないのである。
自白魔法士はガタリヤには1人しかいないし、当然ながら魔力を消費して魔法をかける。自白魔法士の身体がもたないって事だ。
なので特に重要な案件で、且つ疑わしい程度の場合のみ、自白魔法適用犯罪として認定され、後日、自白魔法が行使される。
それ以外は全て、裁判官達の多数決で決定されるのだ。
当然調停者と裁判官で全ての犯罪を裁いているので、権力が集中する。権力を持つと不正が発生するのは世の常。
それを防ぐため、定期的に裁判官や調停者は、自白魔法によって『不正はしていないか?』という問いを投げかけられる。
不正していた場合は、頼んだ側も頼まれた側も極刑になるので、比較的裁判は公正明快に行われている。
比較的と表現したのは、残念な事に冤罪が無い訳でも無く、権力者によって握り潰される事が無い訳でも無いということだ。
ようは自白魔法を受けさせないように、権力者から圧力がかかるということ。
自白魔法はかけられて初めて証明されるので、そういった意味ではこちらの世界でも、たいして変わらないということだろうか・・・
「それで・・・調停者の人はなんて?・・・」
「うん、それが・・・マリンは自分から部屋に向かったじゃない?多人数とするつもりは無くても、それ目当てで部屋に行った訳だから・・・つまり同意があったって事になるみたい・・・それがまず印象が良くないのと・・・あとコリンズも自分1人とは言ってないから嘘はついてない・・・あと・・アイツら手口が悪どいんだけど、膣内を洗浄されたみたいなんだよね。だからそもそも性行為があったかも証明しづらいらしいんだって・・・1番マズイのはチームを抜けれるといった証明書みたいな物も何も無く・・・口約束でしちゃってるから・・・残念だけど裁判官が犯罪を認定したり・・・自白魔法適用犯罪の認定をする確率は物凄く低いだろうって・・・だから男を裁く事は難しいだろうって話でさ・・・」
「そんなぁ・・・」
皆さんの世界では、こういった事件は『同意があったのか?なかったのか?』が争点になるだろう。
現行犯ならまだしも、密室で起こる事件は証明がしづらい。
なので、様々な状況証拠や証言の信憑性などを検察官と弁護士が争い、判断される事が多いと思う。
だが、こちらの世界では自白魔法がある影響で嘘がつきづらい。もし自白魔法をかけられて嘘がバレたら死刑になってしまうからだ。
なので今回のマリンは『性行為の同意はあった』『約束を証明する物はない』『乱暴された痕や精液などの物的証拠は無い』と証言するしかなく、故にそもそもの事件として扱われていないのだった。
なのでコリンズ達もこの仕組みを上手く悪用して、自分達が不利にならないように、事件として扱われないように立ち回ったということなのであろう。
「それでさ・・・リリフさん達は・・・ちょっと凄く嫌な聞き方になっちゃって申し訳ないんだけど・・・」
「うんうん。いいよ。なに?・・・」
「その・・・リリフさん達は沢山の男にレイプされたって言ってたじゃん?・・・そいつらはどうなったのかなって・・・罪を償わせる事とか・・・出来たのかなって・・・もし出来てたら教えて欲しくて・・・」
「そっか・・・ごめん・・・私達を犯した連中はほとんど死んじゃったんだ。スーフェリアで屋敷を襲った盗賊は、何人か生きているとは思うけど・・・こっちに連れてきた連中は全員モンスターに襲われて死んじゃってるから・・・なんにもアドバイスできないや・・・」
「そっか・・・うん。本当にごめん。嫌な事思い出させちゃったね。あと、話を聞いてくれてありがとう。とにかくみんなと相談して・・・前に進むよ」
「うん・・・なにか力になれそうな事があったら言ってね・・・」
「ああ、ありがとう。また相談するよ。それじゃあまた・・・」
「うん・・・また・・・」
お互い通話を終え、魔法膜が消える。
以前、バウンドウルフの素材が50万で売れたと、嬉しそうに報告してきた時の別れ方とはあまりに対照的で、リリフの目から自然と涙がこぼれ落ちる。
「まあっ!どうしたのですの?!リリフ!」
「う、うん・・・ぐすっ・・・」
リリフはみんなに通話の内容を伝える。
「なんと卑劣な・・・」
「可哀想です・・・」
「同じ男として恥ずかしいです・・・」
「みんな・・・ごめんね。時間取らせてっ。さあっ、引き続きフィールド頑張りましょっ」
無理矢理笑顔を作って、明るく振る舞おうとするリリフ。
しかしみんな心配そうだ。
「リリフ。今日はもう帰りましょう。精神が不安定のままモンスターと戦うのは危険ですわ」
「え?そんな・・・私は大丈夫よっ。ブルニ達がせっかく頑張ってるのに・・・無駄には出来ないわ」
「リリフ姉様っ。ブルニ達の事は気にしないでください。訓練ならまた明日出来ますからっ」
「そうです。それよりもリリフ・ぇ・・様が心配です。しっかり話し合って心の整理をつけたほうが良いかと思います」
「でも・・・」
「リリフ。他の事が気になっているのに戦えるほど、モンスターとの戦いは甘いものでは無いのですよ。ミール様に教わった事を無駄にするのですか?」
「・・・」
しばらく考えるリリフ。
そして・・
「分かったわ。リューイ、ブルニ、そしてセリー。ごめん、今日は帰らせて。リューイが言うように、しっかり心の整理をつけようと思うから・・・色々相談させてね。ちょっと愚痴っぽくなっちゃうかもだけど・・・」
「良いのですわよっ。ミール様も仰っていたじゃありませんか。みんなで相談してみんなで決めようって。わたくし達はみんな初心者なのです。強がる必要はないのですわ。これからも助け合っていきましょう」
そうしてリリフ達は帰路につく。終始リリフはうつむいて何か考え事をしているようだった。
食堂に着くと、まだお昼前という事もあり、お客はまばらだ。
リリフはテーブルに座ると、ぐた~っと寝そべる。
「はあぁ~。なんかモヤモヤが抜けないなぁ。なんとか、とっちめる方法はないのかしらぁ」
「ですわねぇ。もうこの際、神でも悪魔でもいいから裁きを下して欲しいですわぁ」
「あ、悪魔って・・・あら?・・・」
リリフはセリーにツッコミを入れようと視線を上げたら、食堂の隅で静かに飲み物を飲みながら本を読んでいる男性に気付く。常連客ではなく初めて見る顔だ。
しかも身なりがしっかりしており、綺麗で整った服と長い銀髪が目を引く。
見た感じ、身分が高そうな雰囲気を醸し出しており、この付近の住民では無いように感じた。
リリフは少し警戒するが、ルクリアが普通に接して、飲み物のお代わりを出しているので、特に問題はないのかもしれない。
自分自身の事で、いっぱいいっぱいという事もあり、リリフはあまり気にしない事にした。
その後も、色々と話し合いを重ねるリリフ達。
やはり実際に口に出して話すと、徐々に頭の中が整理されてくるのはよくあること。
リリフもだいぶ落ち着きを取り戻し、笑顔が見られるようになってきた。
「はあ・・・ちょっと話が出来て楽になったわ。でもそうね。セリーの言う通りだね。前に難民キャンプを見たときにもミールも言ってたし・・・沢山嫌な事を経験するけど・・・負けちゃ駄目なんだっ。私には信頼できる仲間もいるしっ。不条理な事を解決するには、今は力が足りないわ。一歩一歩進むだけ、明日から、また地道に頑張りますっ!セリー、リューイ、ブルニっ!みんなよろしくねっ」
「うふふ。わたくし達に出来る事を精一杯頑張りましょう」
「はいっリリフ姉様っセリー姉様っ」
「自分も、より一層気を引き締めます」
「ありがとっ!みんな!あーあ。なんか安心したら、急にお腹が空いて来ちゃった。お母さーん!生姜焼き定食大盛りでー!」
「まあっ!現金な子ですことっ!わたくしはナスの味噌炒め定食に致しますわっ!もちろん大盛りで!」
「え?!ええ・・・と・・・ブルニは・・・」
「僕は唐揚げ定食にします。大盛りが出来れば嬉しいです」
「お、お兄ちゃんっ早いよぉぉ・・・ええっと・・・ブルニはぁ・・・ふえ~ん」
結局散々迷ったブルニが海鮮グラタン定食に決めたのは、リリフの生姜焼き定食が運ばれてくる頃であった。
「ちらほらお客さんも戻ってきたみたいね。知らない顔の人も多いわ」
「そうですわね。このまま順調にいけば良いのですが・・・」
抗議活動が始まって3日が経ち、マンハッタンの屋敷前は、相変わらず大勢の群衆が声を上げ続けているが、食堂前では連日続いていた嫌がらせ行為は行われていなかった。
そのお陰か、まばらだがお客も入ってきている。
「ここまで手が回らないって感じなのかなぁ?屋敷前は、もの凄い人達が集まってるって言ってたしね」
「そうみたいですわねぇ・・・あのぉ・・・リリフ。あとで見に行きませんこと?」
「ええ〜??だってセリーがあんま行っちゃダメって言ってたじゃないっ」
「ああん。違うのです。今回はランボーの予言なのですわっ」
「らんぼー??」
「ええ。最近、巷で有名な記事主ですの」
「記事主って?」
「はいです。記事主とは魔法新聞に、個人的に記事を載せているアマチュアな方ですの。普段わたくし達が目にしているニュースなどは、新聞会社に所属している記者の方が書いておりますでしょ?でも最近は、個人で取材をして記事を載せている方も多いのです」
「へえぇ」
「ですがやはりアマチュアな方なので、偽情報だったり、平等性に欠ける表現をして印象操作を図るなど、あまり良いイメージはなかったのですわ。で・す・が!このランボーという方の記事は非常に正確なのです。そして権力者にも、へりくだる事なくストレートに記事に載せているので見ていて楽しいのですわっ。特にアーニャ様関連の記事は目を見張るものがあり、その取材力はプロ顔負けと評判ですのっ。なので今人気急上昇の記事主なのですわ!わたくし、この方のアーニャ様の記事を読むのが楽しみでしょうがないのですっ!」
「そーなんだぁ。でもそれがどう関係するの??」
「それがですね、ランボーが言うには本日、何かしらの動きがあるのではないかと予想しているのです。広場、もしくはマンハッタン邸で何かが起こるだろうってっ。これはもう行くしかありませんわっ!歴史の証人にならなくてわっ!」
熱を込めて語るセリーに、半場呆れた感じのリリフは
「はいはい。わかったわよ。じゃあしばらくしたら行ってみよっか?ブルニ、急いで食べなくて良いからね」
「ふぁ、ふぁいっ。りりふねえちゃまっ」
ブルニはモグモグしながら答える。
「いらっしゃーい。好きな席に座っとくれっ」
新しく若いカップルの客が入ってきた。
「じゃあここに座ろうか」
カップルは1番入り口に近い席に、向かい合って座る。
男の人は、爽やかそうな好青年って感じだが、女の人は、もの凄く顔色が悪い。
汗を額に浮かべ、一言も喋らずにうつむいている。
「・・・なににする?・・・」
ルクリアが注文を取りに行く。
「そうだなぁ。特製ピザ定食ってのを2つ」
「・・・これはちょっと時間かかるけど・・・いい?・・・」
「ああ、全然いいよ。頼む」
「・・・わかった・・・おばちゃん、ピザ定2つ・・・」
「あいよっ」
リリフは女の子の具合が気になるが、心の中で『ダメだダメだ。また他人に首をつっこもうとしてる。気にしない気にしない』と言い聞かせる。
「いらっしゃー・・・なんだ。ミールかい」
「おいおい。ずいぶんだな。俺だって立派な客だぜ?」
「あっ!ミール!おっかえりー」
「ああ、リリフ、早いな。ただいま」
「聞いてよー。実はねぇ・・・」
リリフは、ミールに今日の出来事を説明する。
そうしてミールと話をしていたら、いつの間にかカップルのテーブルにもピザ定食が置かれていて、2人は無言でそれを食べていた。
別に問題ないみたい。
リリフの意識は、完全にミールに向かっていくのだった。
「そんな事があったのか・・・気の毒にな・・・」
「ねえっ!そうでしょ!ほんと許せないよっ!」
「でもよく今日帰ってくる判断が出来たな。それが素晴らしいよ」
「それはもう・・・ミール様に任せられておりますものっ!当然ですわっ」
「はいはい。その通りですよぉーだ。セリー様、アリガトウゴザイマス」
「いやいや、リリフも偉いぞ。しっかりと従って。もちろんリューイもブルニもだ。みんなで出した判断なんだろ?良いPTじゃないか」
「えへへっ。そうかなぁ」
「わいわい」
ブルニも思いっきし尻尾を振っている。
「いらっしゃーい」
「やあ、グワンバラ。3人入れるかな?」
「ああ、あっちのテーブルにどうぞぉ」
「そういや、今凄いの見たよ。めちゃくちゃ豪華な馬車。黒塗りで中は見れなかったけど、ありゃ相当なご身分の人が乗ってるね」
「ほお・・・それでその馬車はどこに行ったんだい?」
「いやいや、ずっとこの先で止まって動かないんだよ。周りに傭兵どもが睨みを利かせててね。なんなんだろうな?ありゃ」
そんな話をしながらテーブルに座る常連客達。
ルクリアが注文を取っている。
「ねえ、ミール。なんだろうね?馬車って」
「話を聞くかぎり、貴族じゃないかな?しかも大貴族だ。この序列最下位のガタリヤで、そこまでの馬車を乗っているって者は・・・限られてくるな・・・」
「なんか・・・嫌な予感が致しますわ・・・わたくし・・・」
「わたしも・・・」
そう言って、さっき気になったカップルを自然と目で追ってしまうリリフ。
その目には、信じられない光景が写っていた。
「グオオオオワアアアアオオウウ!」
唐突に叫び声が食堂にこだまする。
カップルの女の方が、ピザを手で握りつぶし叫び声を上げているのだ。
しかも・・・その目は真っ赤。まるでゴブリンのような、真っ赤な瞳をしていた。
「うわわあああ・・・」
一緒にいた男は悲鳴を上げながら外に逃げる。
それに誘導されるように追いかける女。
路上に出た男は大声で助けを求める。
「助けてくれぇーー!ゴブリンだぁ!女がゴブリンになったあ!ゴブリン化だあ!」
「グオワオオオアアア!」
女が外に出てその姿を現すと、路上を歩いていた住民達から悲鳴が上がる。
「うわああああ!ホントにゴブリン化だあ!」
「いやああああぁぁ!」
「誰かたすけてえええぇ!!」
大混乱の食堂前。
「通報しろおぉ!早く!!」
「逃がすな!殺せ!」
「殺せ!殺せぇ!」
ゴブリン化した女は、大勢の声に動揺しているのか、キョロキョロと辺りを見渡す。
よく見ると目の色が普通の色に戻っていた。
住民達の剥き出しの殺気を当てられ、気が動転している様子の女は、涙を浮かべながら走り去ろうとする。
グサッ
そんな女に容赦なく刃を突き刺し、一撃で絶命させた男・・・警備兵の姿をしていた。
いつの間にか食堂前には大勢の警備兵が駆けつけている。
あまりにも早すぎる。どうやらプラン通りのようだ。
「ゴブリン化した女は、ここに始末した!もう大丈夫だ!」
リーダーと思われる警備兵が大声で報告する。
ザワザワとする住民達を押しのけ、私兵軍団を従えた男がノッシノッシと歩いてきた。
恰幅のいいその男は、満足そうな笑みを浮かべ、身体中にありとあらゆる宝石をジャラジャラと身につけている。
1番輝いている赤い大きな宝石を、首元のブローチにして身につけながら・・・ミールが渡した宝石だ。
そう。この男こそ、悪名高き大貴族マンハッタン、その人だった。
「聞け!大貴族マンハッタン様が、この貧民街にわざわざお越しになってくださったぞ!一同っ!頭を下げてお礼を申し上げよっ!」
しかし住民達は戸惑っているようでザワザワするだけだ。
「よいよい。構わん」
「はっ!」
リーダーと思われる私兵は敬礼して返事をする。
「さてさて、皆の衆。ワシは星光街で起っている問題に心を痛めていてのぉ。なんでも、食べるとゴブリン化する食堂があるというじゃないか。ワシはガタリヤの住民が苦しむのは見たくないのでのぉ。今日はそれを確かめに来たのじゃ」
グルッと周りを見渡し、口ひげを整える。
「この食堂で起った事を、最初から見ていた者はおるかのぉ?」
マンハッタンの問いに手を上げる1名の男。ゴブリン化した女と一緒に食事をしていた男だ。
「おお、そなたは誰じゃ?」
「はい、マンハッタン様。私はゴブリン化した女とお付き合いをしていたルッコラという者です。先程も一緒に仲良く食事をしていました。それが・・・こんな事になるなんてっ!」
ううぅ・・っと涙を堪えて話し出す男。ちょっと芝居がかっている。
「食べていたら急にゴブリン化したという事じゃな?そうじゃな?」
「い、いえっ!そんな事はありません!僕らは、なにも食べていません!」
意外にも否定する男。
「仲良くって・・・凄く具合悪そうだったじゃない・・・」
「全く・・・とんだ茶番だよ・・・」
小声でヒソヒソと話すリリフとグワンバラ。
店の前で繰り広げられる三文芝居を、リリフ達は不安そうに、グワンバラは腕を組んで見守っている。
「本当の事を話せ!悪いようにはせん!」
「だ、ダメです。話せないです!」
頭を抱え、わざとらしくジェスチャーする男。
「よし。わかった。おい!あれを持ってこい!」
「はっ!」
リーダーと思われる私兵は、鞄の中から魔法石を取り出す。
「これは自白魔法が込められた魔石じゃ!今からこやつに自白魔法をかける!皆の衆。よく見ておれ!これが真実じゃ!」
魔石はパアァっと白色に力無く光る。
すると男はビクッと背筋を伸ばし直立した。
「ははは。嘘つけ」
ミールは思わず呟く。
「え?どういう事?」
「前に話したろ?自白魔法の魔石は存在しないんだ。あれは偽物だ」
ミール達が小声で話し合っている間も、マンハッタンの茶番劇は続いている。
「さあっ我が問いに答えよ!この女は、この食堂で料理を食べてゴブリン化したのか?!どうなんじゃ!」
「はい!マンハッタン様!女は間違いなく、この食堂でピザを食べてから、急に様子がおかしくなりました!そしてゴブリン化しました!」
「なんと!それは確かか?!」
「はい!ゴブリン化する薬を使っていたようです!これは口止めされていました!」
「なに?!口止めじゃと?!誰にじゃ!」
「はい!そこの店主グワンバラです!私は偶然、異端児から薬を買っている現場を見てしまいました!グワンバラも異端児だったのです!そして脅されました!喋ったら命の保証はないと!仕方なく・・・お許しください!マンハッタン様!」
「なんじゃ!どうした?!」
「はい!グワンバラは被害を最小限にしようとしていたマンハッタン様を邪魔に思っていました!なので自ら自分の店に火をつけ、その事をマンハッタン様がやったことにしようと言ってきました!自分は・・・自分はその実行犯にされました!逆らったら女の命は無いと!」
「なんと?!誠か!」
「はい!グワンバラは更に脅してきました!今日彼女を連れて食堂に来るようにと!逆らったら放火の事を全て話すと!私は断りました!ゴブリン化の薬を飲ませる気だろうと!しかしグワンバラはそんな事はしない。食堂が終わったら打ち合わせをするだけだと!私は信じる事しか出来ませんでした!しかし!騙されました!僕の彼女はゴブリン化してしまいましたああぁぁああぁ!!」
最後は叫びながら、泣き崩れる。
「なんと非道な!皆の衆!こんな奴らを野放しにしてよいのだろうか?!ワシは断固戦う!非道な手を使い、住民を危険に晒す異端児の店を許すことは出来ない!」
ググッと手を握り熱く語るマンハッタン。
「さあ!もう言い逃れは出来ん!グワンバラとその従業員、そしてゴブリン化していたという者も全て捕らえよ!」
「は!」
一斉に動き出す警備兵。グワンバラ達は何も出来ずに取り押さえられた。
「ふざけんじゃないよ!全部でっち上げじゃないか!よくもまあ、そこまで嘘を並べたもんだよ!」
「離してぇ!痛い!魔石は偽物じゃない!嘘つき!」
「何をするのです!お離しなさい!」
「・・・おばちゃん!おじちゃん!・・・」
「やだぁ・・・お兄ちゃーん!」
「ブルニぃ!離せ!」
ミールも一緒になって捕まってしまう。
「どうしよう!ミール!どうしよう!」
リリフが泣きながらミールにすがる。
ミールは考えていた。流石にマズイ状況だ。
このまま捕まれば、死刑になるのは確実。
ギルド長に連絡をとって、領主代理に状況を伝えてもらうか?
しかし、おもいっきし拘束されており、少しでも通話魔力を込めれば、即殺されそうだ。
奥の手の雷爆の魔石を使うか?
かなり軽減されるとはいえ、少しの爆発くらいは起る。
その隙をついて畏怖のお面を使い、リリフ達だけでも逃がす。
そして時間を作り領主代理に連絡を取って貰おう。
もし、ここでガタリヤの外に逃げたら、門をくぐった瞬間、追跡魔法にかけられる。そうなったら、何処にも逃げ場はなくなり、直ぐに捕まるだろう。
数多く仕掛けられている、検問魔石に引っかかっても同じだ。
一旦身を引き、このまま街の何処かに潜伏するしかないな・・・
しかし、もし畏怖のお面が利かない相手がいた場合は、完全にアウトだ。その場で殺される。
見たところランクが高い者はいなそうだが油断は出来ない。
「さあ!皆の衆!この全ての元凶、異端児グワンバラと、それに組する者達をこの場で処刑する!見届けよ!」
なんだと?!この場で直ぐに刑を執行するつもりか?!
くそ!権力を使って、今起っている全ての事件を強引に収束させようとしている!
それほどまでにマンハッタンは力を持っているのか!
以前の警備局での事件、領主代理が直接関わった事件にも関わらず、末端の一部の警備兵を処分しただけで、マンハッタン自身には一切手を出していない。
今回の抗議活動でもマンハッタンに事情聴取、自白魔法をかければ全て解決しそうなのにそれすら出来ていない。
その時点でもっと対策を講じるべきだったか!
ガタリヤから離れるべきだったのかもしれない。
食堂への嫌がらせが全く効果無い、放火しても逆に住民達が押し寄せてきた。
そしたらもっと過激な事をしてくる予想は十分できたはずなのに!
まさかゴブリン化した女を直接送り込んでくるとは!
ミールの頭の中には、後悔の念が溢れていた。
皆一列に並べられて跪かされる。
もう手は残っていない!
やるしかない!
「グワンバラ・・・すまん。俺たちだけ逃げる。今までありがとな」
ミールの声にグワンバラは、フッと優しい笑顔を浮かべ
「娘達を頼んだよ、ミール」
旦那さんも笑顔で頷いている。
「何言ってるの?!ダメよ!ミール!母さんを置いてなんていけないわ!」
「ダメですわ!ミール様!」
「・・・おばちゃんおじちゃん!・・・」
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」
「くそ!ブルニ!ブルニ!」
一列に並べられたミール達の前に、剣を構えた警備兵達が並ぶ。
一斉に首をはねるつもりだ。
泣き叫ぶリリフ達に、満足そうな笑みを浮かべるマンハッタン。
確か前に言っていた。自分は弱者が絶望の表情を浮かべるのを見るのが大好きだと。
ミールがイチかバチか、魔石を取り出そうと腕に力を込めた瞬間・・・・
「捕縛せよ!」
甲高い、透き通った声が路上に響く。
すると、いつからいたのか、一斉に白銀の鎧を纏った騎士がなだれ込み、ミール達を拘束していた警備兵達、私兵達、そしてマンハッタンを捕縛した。
「え?なになに?!」
解放されたが、状況がよく飲み込めてないミール達。抱きしめ合いながら声の主を探す。
その声の主は銀色の長髪をなびかせ、ゆっくりと食堂から出てきた。
「あ、あの人は・・・」
リリフは思わず声を上げる。食堂の隅で、静かに本を読んでいた男だ。
ステータスを確認する。
『名前:ラインリッヒ 職業:領主直属近衛騎士 適性:心療回復士』
「領主専属近衛騎士?・・・」
「心療回復士だ・・・」
「え?ミール、知ってるの?」
「自白魔法を唯一使える適性。それが心療回復士だ」
「!!!」
一方、突然拘束されたマンハッタン達は怒鳴り声を上げる。
「誰じゃああぁぁ!このワシをマンハッタンと知っての狼藉かあぁ!」
「ふざけんなっ!離せぇ!」
「俺は関係ないっ!なにも知らん!」
「ひいぃ!マンハッタン様ぁ!お助けをぉぉ!」
口々に叫び声を上げながら、かなり暴れている。
しかし白銀の鎧の騎士達は全員かなり屈強で、マンハッタンはおろか、警備兵、傭兵達も全く太刀打ち出来ていない。
全ての者に魔法錠(手錠)がかけられ、路上中央に一列で跪かされた。
この頃になると騒動を察知した住民達が野次馬の如く多数集まってきていて、路地は熱気が凄い。
全員、事の成り行きを固唾を呑んで見守っていた。
そんな熱気に包まれた路上で、この男の周辺だけ気温が低いのでは無いかと思ってしまうほど、声の主、ラインリッヒは銀色の長髪をなびかせ、優雅に歩いている。
まるで貴公子のような雰囲気を醸し出しているその男に、群衆の中から『ほぉぉ~』という感嘆の声や、『綺麗~』『素敵ね~』といった女性からの声が上がる。
ラインリッヒは路上の中央付近まで歩いて行き、拘束されているマンハッタンを見下ろす。
「なっ?!貴様はっ!どうしてこんな所にいる?!」
マンハッタンのその問いには答えず、ラインリッヒはグワンバラのもとまで歩いて行き、そして跪く。
「グワンバラ様。我が領主代理アーニャ様からご指示を受け、この場に参上させて頂きました領主直属近衛騎士ラインリッヒと申します。本日は1日グワンバラ様にお仕えするようにと、ご指示を受けております。何なりとご用命くださいませ」
「は、はあぁ??あたしに仕えるぅ?な、何言ってんだい。そんな高貴の身分のお方に命令できる訳ないだろうさ」
「ご謙遜なさらずに。デトリアス様から、グワンバラ様の武勇伝は聞き及んでおります。昔から・・・そして現在も。星光街を守ってくださり、ありがとうございます。現領主も、そして領主代理アーニャ様も大変感謝しておりました。先日の警備局での出来事の慰謝料をお支払いしようと、失礼ながらグワンバラ様の周辺調査をさせて頂きました所、どうもお金よりも、わたくしがお伺いしたほうがグワンバラ様は喜ばれるのでは?とアーニャ様がお考えになりまして参上した次第でございます。今回は先日のお詫び、そして今までの感謝のしるしとお考えください」
「うっわぁぁ!母さん凄いっ!現領主様ってアーニャ様のお爺さんって事だよね?!そんな方にまで知られてるなんて!」
「正に能ある鷹は爪を隠す、パート2ですわぁ!」
「・・・おばちゃんの武勇伝・・・ハンパない・・・」
「ちょ、ちょっとっ。わかった。わかったから昔の話はよしとくれっ!ったく。で?なにをすればいいんだい?!」
「グワンバラ様が今したいことは、なんでございましょうか?」
「そんなん決まってるわっ!真相究明!なんでこうなったのか?真実を教えておくれっ!」
ラインリッヒは手を胸にあて、敬礼する。
「かしこまりました。グワンバラ様」
クルッと身を翻し、今度はゴブリン化して殺された女の前に立ち、お祈りを捧げる。
「貴方の無念は私が晴らします。どうか安らかにお眠り下さい」
そして銀色の騎士団に命令し、死体に白い布がかけられた。
ラインリッヒは中央付近まで戻ると、何やら作業している騎士を見つめた。
騎士は手で『今しばらくお待ちください』というジェスチャーをしている。作業中の騎士は魔法膜で包み込まれており、誰かと通話しているようだった。
20秒ほど経過した所で、騎士の手が上がり
「ラインリッヒ様。準備出来ました!」
ラインリッヒは頷くと、1つ咳払い。そしてポッケから1つの魔石を取り出す。
魔力を込めると、その魔石を中心に5メートルほどの光の膜が出現し、ラインリッヒを包み込んだ。
「ガタリヤの住民の皆様。初めまして。わたくしは領主直属近衛騎士ラインリッヒと申します・・・自白魔法士と言った方が分かりやすいかも知れませんね」
なんとラインリッヒの声が、ガタリヤの至る所に設置してあるスピーカーから流れ始めたのだ。
どうやらラインリッヒが使用した魔石は、声を特定の場所に繋げる作用があるらしい。
恐らく一斉管理をしている場所に繋げたのであろう。
ガタリヤには時刻を知らせるチャイムや、防災案内などを知らせるスピーカーが街中に設置してある。 なので今流れている声はガタリヤ全域に響き渡っているのだ。
あまりこういった使い方をされた事が無かったので、ご飯を食べていた人も、勉強していた人も、仕事中の人も、広場で抗議活動をしていた人々も、ザワザワしながらもラインリッヒの声に耳を傾ける。
「突然、皆様のお時間をお邪魔する形となってしまい、まずはお詫び致します。皆様もご存知かと存じますが、今ガタリヤは混乱の中にあります。星光街で起った事件は、多数の抗議活動へと発展しました。そして今日、星光街のある食堂にて、ゴブリン化の女性が出現するといった事態になっております。果たして真相はなんなのか?今抗議活動をしている皆様はもちろん、声を上げていない住民の方達も、少なからず真相を知りたいと願っているはずです。しかし同時に思っているはずです。どうせ声をあげても真相はいつも闇の中、決して平民は知ることが出来ないと。いつもいつも貴族達は、自分達だけ利益を独占し、悪事をしても裁かれることはない。損をするのはいつも平民のほうだ。少しでも抗議の声をあげようものなら殺される・・・実際に多数の人々が、今まで無残にも殺されて来ました・・・」
少しの沈黙が訪れる。
この話を聞いてちらほらと、泣き声や鼻をすする音、悔しさをにじませる声などが、微かに風に乗って聞こえてきた。
皆、思うところはあるのだ。
その空気を全て打ち消すように、ラインリッヒは声を大にして叫ぶ。
「しかしっ!アーニャ様は決して、そのような世界を望んではいません!平民も貴族も法の下に平等である!確かに貴族の力は強大です!その権力はガタリヤ以外の街にも影響力を及ぼすほどです。しかし変えなければならない!我々は自分達の手で、歪んだ仕組みを変えなければなりません!その覚悟を示すため、今回はガタリヤの住民全員が見守るなか、貴族マンハッタンを中心に起った全ての事件を、わたくしの自白魔法で白日の下に晒します!皆、刮目して見届けよ!」
両手を広げ、透き通った声で熱弁をするラインリッヒ。
住民は初めての展開にザワザワが収まらない。しかし誰も異議を唱える者はいなかった。
続く




