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2.開発作業



「で、・・・これからどうするのだ?」


俺達ガイアの四人は、バゴの街北門から外を眺め途方に暮れていた。


「そうだなぁ・・・」


なかなか良いアイデアが浮かばず、ユーバーの質問に曖昧に答える。


これからどうするのか?と言うのは、これからする大冒険の事を考えているわけではなく、今、目の前に広がる草原とその奥にある大森林をどうするのか?という話だ。


「しかし、ハークライツさんもなかなか難しい事を頼んできたものですねぇ・・・」


「そうよね。新しい首都までの道を私達だけで作って欲しいだなんて・・・」



そう、俺達ガイアはその日も一日ゆっくりしようとしていたのだが、あの後レイルから、革命軍元帥ハークライツに呼ばれていることを告げられた。


また何か問題があったのかと、若干嫌な予感がしつつも会いに行ってみると、いきなり今回の事を依頼されたのだ。



「自分達でやるべきことですよねぇ。言っても我々は外部の人間なわけですし」


確かにシュトロームの言う事も尤もだが、あそこで断ってしまっては薄情というものだろう。


「まぁまぁ、そう言わずに、俺達の力があれば簡単にできると判断しての事かもよ?できないと思ってる人達に頼むわけないんだしさ。信頼されてる証拠なんだから。もう少し皆で考えてみようよ」


「うむ。そうだぞ。それにこれだけの大仕事だ。それだけ報酬も期待できるだろう」


「お金の事はいいのよ。私達にとっては時間の方が貴重じゃない?せっかくシュンと街をゆっくり散策しようと思ってたのに」


昨日までもそこそこゆっくり街をブラついていた気がするが、まだローザは物足りないようだ。


「あ、じゃぁさ。もうさっさと片づけちゃってさ、竜人達がびっくりするくらいささっと。それでまた楽しめば良いじゃん」


「ん~。・・・それもそうね。ここで文句を言ってるより早く解決しちゃた方が良いかもね」


良かった。否定的な意見だったローザだが、やるとなったらすぐに建設的な考え方に切り替えができる人で助かる。


「でも・・・具体的にどうしましょう?今だって道はあるにはあるのですよね?」


「うん。ハークライツの話だと一応道はあるらしいけど・・・。結構蛇行してるし勾配もついてる所があるんで、頻繁に行き来するには不便だって話だったね」


国が統一され、人口の多い二つの主要都市が繋がりを強くしていくのは必須だろう。

その為にもインフラの整備は最優先事項だ。


竜化して飛べる竜人族なら関係ないだろうが、先の戦で経験した通り、その割合は思っていたよりも多くはない。


「もっと直線的で平らな道をご所望しているわけですね・・・」


「たくさんの人が通れる広さもね」


シュトロームとローザがやれやれ、と言った感じでぶっきらぼうに言い放つ。


「ユーバー何か良い案はないかな?」


俺は唯一やる気のあるユーバーに話を振る。


「そうだな・・・。やはり有効なのは、私のツインシュート。それにシュンの魔法やスキルでガツガツ地面を削り均していくのが良いだろうな」


「うーん。それは俺も思ってたけど、そんなにうまくいくかなぁ?綺麗な道にはならなそうな気がするんだけど・・・」


「まぁ、最初は大まかに削れれば良いだろう。一気にゴールに辿り着こうとするな。物事は何事も少しずつ進む物なのだ」


俺の成長速度は全然少しずつのペースではない気がする・・・。その身体を造った張本人のクセに・・・。


「さっすが最年長♪良い事言う~」


「言葉に重みがありますね!」


なんとなく良い事を言った感を出したユーバーの言葉だったが、やる気のなかった二人のモチベーションが上がったようなので良しとするか・・・。


「じゃぁ、最初はユーバーのツインシュートで頼むよ。折られた木とか削られた土とかは俺のスキルと魔法で処理するから」


「分かった。と、その前にシュン。お前の感知で前方に人がいないか確認を頼むぞ。今ある道のすぐ横に新しい道を造って行くからな。誰かがいたら危険が及ぶかもしれん」


「おっけー。分かってるって!」


俺は早速感知で道の先を見てみる。


「おっと・・・」


困った、意外と生物反応が多い。


道には数キロ先まで誰もいないのが確認できる。だが、森の中には多数の緑の輪郭が見える。


森の中にいるのはおそらく動物か魔物だろうが、それはあくまでおそらく、だ。移動途中で道を逸れた森の中で休憩している竜人がいたら大変だ。


「どうした?」


「いや、感知はあんまり使えないかも・・・。森に入ると思ったより反応が多いし、魔物か竜人かの区別が難しい」


「むぅ・・・そうか・・・」


「あの、私が飛行で空から下の様子を見ましょうか?」


「あ、それがいいね。それで通信で俺に様子を伝えてよ。こっちからシュトロームに回線繋いでおくからさ」


「回線?」


「あぁ、えーと。通信魔法で常に会話できるようにしておくってこと」


日本の感覚で会話をしているとたまに会話が通じなくなる時があって困る。


「うむ。それなら良さそうだな。頼むぞシュトローム」


「分かりました!では早速行ってきます!」


「待ってシュトローム。一応。・・・鼓舞の舞!」


ローザが華麗に舞を踊ると、皆が力が湧くのを実感する。


「ありがとうございます!では!」


「頼んだよー」


俺達三人は、勢いよく空に飛び立つシュトロームを見送った。


俺以外にも飛行能力があるメンバーがいると今回のような時に助かるな。


「こんな作業の時もローザの支援は役に立つな。この格段に上昇したステータスなら、通常状態でやるよりもだいぶ作業の進み具合は良いだろう」


「そうだね。ユーバーのツインシュートの威力もだいぶあがるだろうしね」


「えへへ、私だけ役に立てないのは癪だからね~」



三人で笑顔を交わすと、前に向き直り気持ちと態勢を整える。



「では!いざ!首都バルガーザへの道造り開始ー!!」


「おー!」



ザ・残念な男シュトロームがすでに行ってしまったので、三人で仕事前の気合を入れる。



こうして、ガイアメンバーによる首都バルガーザへの道路造りが始まった。






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