バケモノの契約
現実感のない白い部屋の中、闇から浮かび上がる輝く眼。
一人は星のマーク、もう一人は十字架のマーク。
星華と房州だった。
その二人の前に、ドロップ品らしきローブを目深に被った人物がいた。
房州はいつもの高いテンションでハキハキと喋る。
「やぁ! キミか! 明日は〝闘魚〟に出るのだから忙しいんじゃないかい?」
「房州は無駄話が好きね」
星華は無感情に、うんざりとした声を出した。
その手は灰色の竜を優しくなで続けている。
「この人は〝力〟を求めに来たんでしょうに」
「ハハハ! 知っていたとも! 自らの身体に〝力〟を取り込む姿、それはもはやキメラのようだな!」
房州は前に出て、ローブ姿の人物の頭部に手の平を乗せた。
「では、この〝力〟を与えようではないか! これで十五月ふつつを死に追いやったように、望むべき相手に死を与えると良い! とても愉快で素敵な大会になりそうだ! 実にボク好みだ!」
「本当に純粋、それでいて悪趣味な男」
星華がポツリと呟いた。
ローブ姿の人物は突然苦しみだし、地面に倒れて藻掻きだした。
房州はいつものスマイルでそれを見下していた。