父の心中 ※ヴィント(父)視点
私はテンバーナ王国のウィルター辺境伯家の当主ヴィント ウィルターだ。
妻のマリアとは学園で出会い、結婚した。それからは子宝にも恵まれ、幸せだ。長男のイクルが生まれてその2年後には次男のカーズが生まれた。そしてカーズが生まれた5年後にはルークが生まれた。
そしてなにより………ウチの子達は可愛い!可愛すぎるんだ!
だが、私には一つ気がかりがある。その気がかりとは三男のルークのことだ。
まず、長男だ。長男は次期辺境伯だ。将来立派な辺境伯になれるよう厳しくも優しくも指導している。
そんな、長男の幼いころだが………これはこれは可愛くて仕方がない!イタズラも可愛らしくて叱らないといけないのは分かってはいるんだが…どうもきつく言えんのだ。それでマリアに私が叱責を受けたこともあったなぁ。長男はルークくらいの年齢から文字の勉強を始め、将来、辺境伯を継がないといけないため剣や槍など武術の訓練も始めた。イクルは文武ともに才能がある!これからもグングン伸びていくだろう。
次は次男だ。次男が幼いころは一言で言うならヤンチャっ子だ。イタズラも長男より激しかったし本気で怒ったこともあったなぁ。まぁカーズもすごく可愛かったがな!そして今も可愛い!次男がルークくらいの年齢で長男同様に剣や槍、武術の訓練を始めた。文字に関しては苦手で全く頭に入らなかったので本人の意欲が出るまで待っていたため他より少し遅かった。とはいえ、次男にも、武術の才能があって本当によかったと思う。辺境伯家の者として多少の心得は必要だからな。武術に関しては才能を発揮している。まぁ、勉強は相変わらずでいつも平均ギリギリだが。
最後に三男のルークだが……………なんなのだ!あの可愛さは!あの、天使の様な微笑みは私を殺そうとしているのだろうか!?可愛すぎるぞ!あの笑みは!
将来、絶対沢山の令嬢が寄ってくるだろうが………ルークは渡さんからなっ!?
コホンッ!気を取り直して私が気がかりなことだが、あの子は将来狙われないだろうか?ま、まぁ確かに、ルークが可愛すぎて誘拐を企む者も出てくるかもしれんが…私が今、心配しているのはそこじゃない。すでにルークが誘拐されないように常に10人以上が影から護衛についているからな。なら、私が何を心配しているかと言うと…ルークは頭がいいんだ。気付いた時には2歳ですでに文字の読み書きができ、私の書類仕事の内容まで理解していたのだ。
それだけに留まらず3歳の頃からしたいといって始めた歴史や算術、政治に関する勉強もすでに王都にある王立初等学園で学ぶ範囲は完璧で中等学園で習う範囲も半分が終わっているとキリクの報告書に書かれていた。
私もキリクの報告を疑っているわけではないがルークの実力がどれほどの物なのか確認してみようとおもったのだ。なので、私は無理やり今日の午前中の分の仕事は昨日のうちに終わらせた。そして食事中にルークに今日の予定を聞いてみることにした。
「ルーク、今日は何をするんだ?」
そう問いかければ、返ってきた返事はテンバーナ王国の歴史と礼儀作法の授業をするとのことだった。
私自身はルークの授業している姿を見るつもりだったがルークにも聞いておかないとな。とは思ったんだがカーズが勉強が好きと言うルークを見て弟に負けたとショックを受けていて可愛くてなかなか切り出せない。
「そ、それで父様!今日の僕の予定がどうかしたんですか?」
ルークが落ち込んでいるカーズを見て少し話しの方向を変えようとしたのだろう。私にどうして自分の予定を尋ねたのかを聞いてくる。ふむ、ルークは空気を読むのも上手いのか。………天才だ!
「あ、あぁ それを話し忘れていたな。ルーク、今日の授業を午前中だけ見学してもいいか?」
と、ルークは優しいからいいと言うと思うが一応聞かないとな。
「え?授業をですか?僕は大丈夫ですが、父様お仕事は大丈夫なんですか?」
あぁ!なんて可愛いんだ!最近仕事が忙しくあまりかまってやれてなかったのに父親と一緒にいれるという甘えより私の仕事の心配をしてくれるなんて!私の天使だ!
「ああ、今日は午前中は何もないからな。普段見ることのないお前が授業しているところが見たいんだ。」
あぁ!ルークが可愛すぎて顔が緩んでしまう!
「分かりました!好きなだけ見て下さい!」
「なら、見学させてもらおう。」
「はい!」
ルークで癒されていたら妻や、残りの息子2人までルークの授業が見たいと言いだした。あまり大人数で行きすぎるとルークが緊張して集中できないかもしれないから断ろうと思ったんだが3人とも退いてくれない。……よ、よし!実際に見られるのはルークなんだ。ルークに決めてもらおう!押し付けるみたいになってごめんな、ルーク…
「ル、ルーク、 皆こう言っているが…お前はどうしたい?」
「え?僕は全然大丈夫ですよ。」
「「「やったぁー!」」」
あぁ!ルークが可愛すぎるぞ!何もしていない!食事をしているだけなのに!
そんなことを考えてたらシーマスが自分もルークの授業を見たいと言いだした。ルークはそれにも笑顔で大丈夫!と答えた。……可愛い!
まぁ、欲を言えば算術の授業が気になっていたが仕方がない。いきなり予定を変えるのもアレだからな… と思っていたらキリクも発言の許可を申し出たから許可した。何かと思えば歴史の授業を算術の授業に変更していいか?とルークに聞いている。
確かに、算術の授業が気になっているとキリクに話したことはあったがわざわざそこまでしなくてもいい!
それに関してもルークは最初は疑問に思ったのか首をコテンッと傾げた(可愛い!)が笑顔でいいよ!と言ってくれた。
ヤバい!私の天使が可愛すぎるーー!