転生して初めての朝
僕が目を覚ますと目の前に2人の男の子がいた。1人は7、8歳くらいで紺色の髪に紫の瞳の子。もう1人は黒髪に青い瞳の5、6歳の子だ。
ちなみにお父さんは紺色の髪に薄紫の瞳で、お母さんは白銀の髪に青い瞳だよ。この子達は髪と瞳の色がそれぞれ、お父さんやお母さんと一緒だから多分僕の兄弟なんだろうなぁ。昨日、お父さん達が話してたイクルとカーズってこの子達のことだと思う。
「おーい!ルーク!おまえのおにいちゃんのカーズだぞー!こっちはおまえとおれのおにいちゃんのイクルあにうえだぞー!」
と、いきなり大きな声で叫ばれた。めっちゃビックリした!
「こら。カーズ、そんなに大きな声を出したらルークがおどろくからもう少し声を小さくしようね。」
「はーい!」
うん、流石お兄ちゃん!僕もなかなか大きくてビックリしたから注意してくれてありがとう!
けどカーズお兄ちゃん、最初よりは小さくなったけどもう少し小さくしてほしいなぁ…
「ルーク、はじめまして。僕はおまえのもう1人のお兄ちゃんのイクルだよ。」
「ぅあー うー」
うん。なんか自己紹介でお兄ちゃん達の性格がなんとなく分かった気がする。イクルお兄ちゃんは優しくて同年代の女の子を甘いルックスと優しい性格で魅了するんだろう。カーズお兄ちゃんは好奇心旺盛なヤンチャっ子って感じかな。生まれたての赤ちゃんにも丁寧に自己紹介してくれたイクルお兄ちゃんにとりあえず声を出して返事してみた。
「うわぁ、かわいい。母上、ルークは賢いですね!返事をしてくれました!」
「ふふっ、そうね」
「……?ははうえ、あにうえ?ルークはなんにもしゃべってないぞ……?」
「うふふっ、カーズ、今ルークはイクルが自己紹介したら声を出して返事してくれたでしょう?きちんと言葉になってなくても声を出して返事してくれたからこの子は賢いわね!」
「そっか!ルークすごいな!てんさいだ!」
と、カーズお兄ちゃんが僕の頭をそっと撫でる。
「確かにルークは天才ね!けどカーズ、イクルも生まれてすぐの赤ちゃんは骨がとてもやわらかいから頭はあんまり触っちゃダメよ」
「「はーい!」」
流石2児の母!親バカ炸裂させながらも注意するところはきちんと注意してくれる!
そんなふうにお母さんやお兄ちゃん達と戯れているとガチャッと部屋のドアが開いた。
「皆、おはよう」
「あっ!ちちうえ!おはようございます!きいてください!ルークはてんさいなんです!」
「おはようございます、父上。そうなんです!僕が自己紹介すると声を出して返事をしてくれたんです!」
「おお!そうか!流石、私とマリアの子だ!もちろんお前達も私達の子だぞ」
いや、盛り上がってるところ悪いような気がするけど赤ちゃんが言葉にならない声を出してこんなにも親バカや兄バカが炸裂する家族はなかなか少ないんじゃないだろうか。まぁ僕も前世じゃ家族はいたしとても優しいいい人達だったけど両親は2歳の時に亡くなってて両親の写真があったから顔は分かるけど写真がなかったら両親の顔すら覚えてなかったから当然、親と子としてのふれあいなんて覚えてないし両親や兄弟に誉められて嬉しいけどね!
こうやって親バカや兄バカを炸裂させつつ家族で団欒しているとコンッコンッっとドアがノックされ「入れ」とお父さんが言うと初老の男性が入ってきた。
「旦那様、そろそろ仕事のお時間です。」
「あら、もうそんな時間なのね。残念だわ。」
「う~む、私はまだ息子達と遊んでいたいんだが…」
「旦那様、そろそろ仕事のお時間です。」
「いや、だから、そのだな…」
「旦那様、そろそろ仕事のお時間です。」
「う、うむ 分かった…私はもう少し息子達と遊んでいたかったが……そうだな、息子達とは帰って来てから触れあうとしよう…」
お父さん、めっちゃ悲しそう…そんなに遊びたかったのかな?
あと、執事さんっぽい人の笑顔で同じ言葉を繰り返すのめちゃくちゃ怖い…
「行ってらっしゃいませ、父上」
「ちちうえ、いってらっしゃい!ちちうえがおしごとのあいだはおれたちがルークのあそびあいてになるのであんしんしてください!」
「そ、そうだな私が仕事に行ってる間はお前達にルークを任せるとしよう…」
「「はい!」」
あー、お兄ちゃん達多分気付いてないけど息子達から離れたくないお父さんはカーズお兄ちゃんの言葉になかなかショック受けてるんじゃないだろうか…?
「行ってらっしゃいませ、ヴィント様」
お母さんもそう言いながら苦笑いしてるし…
あっ!執事さんっぽい人がベビーベットに寝転がってる僕のところに来た!
「お初にお目にかかります、ルーク様。私は旦那様の専属執事をしております、シーマスと申します。宜しくお願い致します。」
「ゅあーあー」
やっぱり執事さんだった!赤ちゃんの僕にもめちゃくちゃ丁寧に自己紹介してくれた!だから僕も「よろしく」って言いたかったんだけど…うん!流石赤ちゃんの体!全っ然喋れない!まぁ最初から期待なんてしてなかったけどさ…
「きちんと返事してくださるのですね。ありがとうございます。」
執事さん…シーマスは頭を下げお父さんを連れて仕事に向かったのだった。