驚きの再会
「……?優依ちゃん…?」
えっ!なんで、ここにいるの!?
黒瀬 優依ちゃんは僕が祖父母のところにいたときに近所に住んでいた女の子で、僕の幼なじみ。僕は高校に上がるときに叔母さんに引き取られたから中学の時以来会ってなかったけど電話や誕生日プレゼントを贈ったりしていた。
「ゆ~う~ま~!」
「うおっ!」
そう言いながら僕に飛び付いてきたゆいちゃんをなんとか受け止めた。
「え~と、優依ちゃん?どうしてここにいるの?あと、なんで箱から出てきたの?」
とりあえず、他にも聞きたいことはあるけど質問してみる。
「…?何言ってるの?私もリディア様が準備したプレゼントの一つだからここにいるし、箱から出てきたんだよ?」
「いや、そんな当たり前のように言われても…」
え~、と、とりあえずゆいちゃんについては後で詳しく聞くとして…
「じ、じゃあその子狼は?」
『ボクは、フェンリルだよ!ボクに名前つけて!』
話題を変えたら、次はフェンリル!?
「えっと…フェンリルってラノベとかでよくある神獣?」
『うん!だから名前つけて!』
えぇ~だからって繋がらない気がするけど…まいっか
「そっか…名前かぁ…優依ちゃん、どんなのがいいと思う?」
「あっ!ここで話振られた?う~ん…悠真、悠真の家に帰りながら一緒に考えよう?」
「うん!」
そういうことになったのでいまだにポカンとしている父様と母様のところにフェンリルを抱っこしてから向かう。そのあとを優依ちゃんも追いかけてきた。
「父様!母様!はやく帰ってフェンリルの名前を決めましょう!」
「そうだよ!ヴィントさんもマリアさんもフェンリルの名前考えるの手伝ってね!」
『名前楽しみだなぁ~♪』
ほら!フェンリルも楽しみにしてるから早く決めてあげよう!
父様と母様を押しながら教会の出入り口まで来た。
「神父様!今日はありがとうございました!早く帰ってフェンリルの名前を決めたいので今日はここでお暇させていただきます!」
「ありがとうございました~!」
「へ?え、えぇありがとうございました。貴方に神々の加護があらんことを」
教会から出た僕達は馬車に乗り込む。
「ル、ルーク?色々と聞きたいんだが…」
「そうね…私も色々教えて欲しいわ…」
「えーと、これは…」
「悠真!ストップ!家に戻ってから落ち着いて順番に全部話そう?聞かれたらよくないこともあるし。」
「そうだった!じゃあ父様、母様後で全部話しますね!」
僕は馬車に揺られながらウキウキしてる。優依ちゃんにも再会できたしこんなに可愛い子狼までいて邪神討伐は大変かもしれないけどこれからがとっても楽しみ!
そんなことを考えてたら優依ちゃんに話しかけられた。
「ねぇ!悠真!」
「なぁに?優依ちゃん」
返事をしたら何故か優依ちゃんは頬を膨らませた。
「優依ちゃん?どうしたの?」
「それだよ!それ!」
「えっと?なにが?」
僕何かしちゃったかな?
「呼び方!」
「あっ!ごめん、優依 これでいい?優依」
そうだった!最後に会ったときお互い呼び捨てにして、それからは電話でも呼び捨てだったっけ?なんか久しぶりに会ったらつい戻っちゃった。
「うん、うん!それでいいんだよ!」
「じゃあ、僕も今はルークだからルークって呼んで!」
「分かった!」
それから少し、優依と思い出話をしてるとあっという間に家についた。
「旦那様、奥様、ルーク様、おかえりなさいませ。」
家についたらキリクがお出迎えしてくれた。
「あぁ、今戻った。」
「ただいま戻りましたわ。」
「ただいま!キリク!この子は色々あって来た優依だよ!」
「優依です!よろしくお願いします!」
「私はルーク様の専属使用人のキリクと申します。よろしくお願いいたします。ユイ様」
家の中に入ると兄様達が玄関ホールで待っていた。
「兄様!ただいま戻りました!」
「お帰り、ルーク」
「やっと帰って来たか。遅かったから心配してたんだぞ」
「ごめんなさ~い。」
そっか…教会でいろいろしてたからなぁ…
「それで、ルーク。そこの可愛い女の子とその子狼は父上達が現実逃避してる原因かな?」
「はい!そうです!」
「それは、自信満々で言うことじゃねぇよ…」
そんなこと言いながら僕の頭を撫でてくる兄様達、大好き!
「エヘヘ♪ヴィントさんとマリアさんが現実逃避してる原因の一つの優依です!イクルさん、カーズさんよろしくお願いします!あと、このフェンリルはまだ名前がないので今から決めるつもりです!」
「そ、そうなんだ。よろしくね、ユイちゃん。そして、フェンリル様、神獣である貴方様にお会いできるなんて光栄です。」
「よろしくな!ユイ!フェンリル様、お会いできて嬉しいです。」
『うん!よろしくね!あとボクに敬語はいらないよ!』
そっか…神獣だもんね!普通の人は敬語になっちゃうか…父様も母様もいきなり神獣が現れたら現実逃避もしたくなるか…