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夢屋 胡蝶  作者: 真鶴 黎
第五夜 茜さす日の照る空に風はなく
34/88

#3

 風をその身に受けながら、枝を伝って駆ける。先を行くその背中を見失わないようにと全力で駆ける。腰の得物に結ばれた天色の紐を風になびかせる彼はすいすいと駆けていくのに対し、茜は覚束ない足でとにかく離れないようにという一心で追いかけていた。

 しかし、前を行く背中のみを見ていたのがいけなかった。足元がおろそかになり、枝に足が届かず、踏み外してしまう。


「あ……」


 空を踏んだと気がついたときには身体は落ちていく。無抵抗の状態のままでは背中から落ちてしまう。この高さから落ちては大怪我は免れない。打ち所が悪ければ即死してしまう高さだ。

 風を起こして着地しなければ。頭ではわかっていても反応が遅れる。

 叩きつけられる。そう思い、襲ってくるであろう痛みに目をつむると、小さな身体を強風が包み込む。うるさいほどの風は身体だけでなく、周りの葉をも巻き込む。


「うわっ!?」


 びゅうっと耳元で風が鳴る。うるさいほどの力強い風は勢いのわりには落ちていく茜の身体をそっと下ろすと、すっと音もなく消える。


「まったく、茜は本当にとろいな」


 上から降ってきた声に茜は顔を上げる。茜と同じ胡桃色の髪と瞳を持つ少年がこちらを見下ろしていた。少年はため息をつくと、音もなく茜の前に着地する。


「兄さん……」


 勝ち気な目の少年、茜の兄である(てん)は身を屈めて茜の額を指で弾く。


「痛いよ」


 じんじんと痛む額を押さえて、茜は天に訴える。泣きそうな顔をしている茜に対して、天はさらに目をつり上げる。


「いつになったら上手に飛べるようになるんだ。鎌鼬なんだから、もっと上手く風を使えよ」


「ごめんなさい」


 しゅんと茜は肩を落とす。

 鎌鼬。風を操る妖怪。茜は鎌鼬の子として生を受けた。しかし、鎌鼬である茜は上手く風を扱うことができない。鎌鼬としては致命的だと周りから言われている。天が茜と同じ年の頃には自由に風を操っていたというのに、とも言われ、茜自身も焦りを感じている。

 それは兄の天も同じなのか、こうして、茜を引っ張り出して山々を駆けている。しかし、茜は一向に上達しないのだ。


「今日だけで何度目だ」


「ご、五回目……」


 茜は足を踏み外したり、風の強さを間違えたりと失敗が多く、その度に先行する天に助けられ、説教を受ける。何度も何度も天に助けられる我が身を情けなく思う。


「何をどうしたら、ここまで不器用に飛ぶんだか……」


 はあ、と兄にため息をつかれた茜は俯く。

 天は自分の風を操りながら、後ろからついてくる茜の風も読んでいる。だから、茜を助けることができるのだ。

 天がしていることは鎌鼬なら当然のこと。自分の風だけでなく、自然と吹く風も、他の鎌鼬や妖怪が起こした風を読むのは当たり前にできることだ。それは生まれながらにしてできるというわけではなく、訓練を積むことでできるようになる。天も幼い頃からの訓練の積み重ねで身に着けてきたのだ。

 天が上手なのではなく、茜が下手。それは茜自身が一番よくわかっている。悔しくて涙が流れる。


「ほら、いつまで座り込んでいるんだ? さっさと立って、進むぞ。でないと、また帰りが遅くなって父さんに叱られる」


 天は茜に手を差し伸べる。


「……うん」


 滲み始めた視界を拭った茜は天の手を取る。鎌を振るう天の手は頼もしく、逞しい。掌の皮は厚い。

 軽々と茜を引き上げた天は自身の衣の袖で乱暴に茜の目元を拭う。


「兄さん、痛いよ」


「馬鹿。泣いてる暇があるなら、鍛錬するぞ。ただでさえ、どんくさいんだから、泣いてよく見えなかったって言って怪我されても困る」


 天はごしごしと洗濯物を洗うかのように茜の目元をこする。


「もう大丈夫だから。そんなに力入れられると、痛くて泣きそう」


「こんな痛みごときで泣くな。ほら、行くぞ」


 そう言って天は風を起こすと、木の枝に降り立つ。


「待って、兄さん」


 茜は慌てて風を起こして天が待つ木の枝を目指した。




 丸い目をつり上げ、腕を組んで見下ろす男に天と茜は静かに俯いたままだ。

 またか、あらま、と通り過ぎる者たちの声を聞きながら、茜は唇を噛みながら涙を耐える。

 茜たち以外にも妖怪たちが集い、共に生活をしている場だ。長を筆頭に、ひとつ屋根の下で皆助け合いながら暮らしている。

 そのため、周りからの目もあるのだ。せめて、他の者たちの目がないところでと茜は思うも、帰って玄関の戸を開けたらどっしりと仁王立ちした男が目をつり上げて待っていたのだ。

 恐い。そろそろ泣いてしまいそうだ。今日だけで何度泣いたことか。泣く度に天に叱られ、自分が不甲斐ない。これからまた説教が始まるというのに、最後まで耐えられる自信がない。


「天。また茜を連れ出したな」


 ごうごうと唸るような風を思わせる低い声で男は天を叱りつける。


「だって、父さん。こいつ、いつになってもちゃんと飛べないじゃないか」


「だからと言って、茜にあの道はまだ早い」


 天と茜の父、(がい)は天を叱りつける。


「でも」


「でもじゃない」


 凱の声が空気を振動させる。突風が吹いたかのようにその場が静まり返る。通り過ぎる他の者たちはそそくさと去ってしまう。そのため、しんとした玄関先には鎌鼬親子のみとなってしまった。


「茜は怪我をして帰ってくるわ、晩飯には遅れるわ、何もいいことがない」


「……怪我って言っても、かすり傷で」


「そのかすり傷が顔についただろうが、馬鹿者!」


 凱は天の言葉を一蹴する。


「……父さん、この傷は兄さんのせいじゃなくて、私のせいだから。兄さんを叱らないで」


 茜の頬には赤筋がひとつ走っている。これは、帰りが遅れると急いだ天に追いつこうと茜が起こした風でできたものだ。強い風を起こして、背中を押しながら帰ろうとした茜は加減を間違えて鋭利な風を起こしてしまった。それで切ってしまった傷で、茜の実力不足でついたもの。今は痛みもなく、本当に軽い怪我だ。見た目ほど傷は深くないのだ。


「天が茜を連れ出したのが悪い」


「……ごめんなさい」


 天は不貞腐れながら謝罪する。


「茜も茜で、無理に天についていかなくていい。あそこはお前にはまだ早い」


 凱は茜にぴしゃりと言い放つ。

 ひっそりとした山中に鎌鼬親子を含む妖怪たちは暮らしている。当然、屋敷の周りは木々が鬱蒼と茂っている。必要最低限の手を加えて切り開いた場所で生活をしているのだ。

 天が連れ出した道はあまり手を入れていない道であった。地表は何となく整えられているが、木々の上の方はほとんど手を加えていないため、枝葉が入り乱れている。慣れれば枝葉の間を縫うように駆け抜けることができるのだが、まだ風を上手く操れない茜が行っては怪我をして帰ってくる可能性の方が高い。また、枝の位置も高いため、落ちたらひとたまりもない。天がいたため、傷ひとつで済んだが、茜一人で行かせたときは深手を負って帰ってくる可能性がある場所である。


「でも、兄さんは私と同じ年の頃にはすでにあそこを自由に飛んでたって」


「天は天、茜は茜だ」


 茜の言うとおり、今の茜と同じ年の頃の天は難なく飛んでいた。すいすいと走り抜けるその様子は凱もよく見ている。だからと言って、茜を急かすようなことはしたくない。自分の子供たちの能力を比較したくないという親心もある。


「確かに、いつかはあの道を難なく通れるようになってほしいが、今はまだ早い。あの辺りの木は高く、自然と枝の位置も高い。そんな木から落ちて、上手く着地できずに死んでしまうことだってあるんだ」


 幼い鎌鼬が足を踏み外して、木から落ちて大怪我をしたという昔話が屋敷に伝わっている。凱はまだ上手に風を使えない茜に同じような目にあってほしくないのだ。


「茜の焦る気持ちはわかる。茜を案じて早く安定して飛べるようになってほしいという天の思いもわかる。だがな、命あっての物種だ。急いては事を仕損じる。段階を踏んでいくべきだ」


「だけど、父さん。早く茜が飛べるようにならないと、いざってときが危ない」


 天が生まれる少し前、この山の周辺では妖怪たちの争いが絶えなかった。最近は不穏な空気もなく、平和そのものだ。だが、その平和がいつ崩されるかわからない。

 幸せは突然奪われる。天は昔話でよく聞かされた。だからこそ、その幸せな暮らしを守るためにも強くなるようにと凱をはじめ、屋敷の妖怪たちから言い聞かされていた。

 風を自由自在に操ることができれば、とりあえず逃げることができる。それこそ、凱の言うとおり、命あっての物種だ。天としては、敵に背を向けたくはないが、逃げ切ることができれば反撃の機会があるのだ。

 風を扱えた方がいいに決まっている。攻撃も防御もできる大切な武器だ。だからこそ、茜にはできるだけ早く習得してほしいと天は思う。


「もちろん、茜にはちゃんと風を操れるようになってほしいと思う」


 凱は天の言わんとすることを汲み取る。

 凱たち鎌鼬は風を使って攻撃することももちろんある。が、ここでは、物見や伝令の役目も担っている。小柄な鎌鼬の一族は潜入調査も行い、その報告を風で運ぶことがある。とくに戦のときには敵陣の様子を見極め、風で瞬時に報告をするという重要な役目を担う。戦略の面でも、茜には風を上手く扱えるようになってほしい。

 自分の命だけでなく、他の者たちの命も守る。それが、この屋敷に住む鎌鼬に課せられた使命でもある。


「ちゃんと鍛錬すればできるようになるさ」


 そう言って凱は茜の頭を優しく撫でる。柔らかな胡桃色は凱の妻であり、天と茜の母と同じだ。

 茜はされるがまま、頭を撫でられる。皮の厚い手は鎌を振るい、戦ってきた者の手だ。天の手もしっかりしているが、凱の手の方が大きく、骨太な手をしている。


「あーあ、父さんは本当に茜に甘いよな」


「可愛い一人娘だぞ」


「だからってさ、そんなに甘やかしていたらもっとどんくさくなる。ただでさえ、母さんに似て抜けてるのに」


「母さんの悪口は聞き捨てならんぞ」


 凱は天に拳骨をお見舞いする。手加減された拳骨に、天はわざとらしく、痛いって、と痛がる。

 凱の妻であり、天と茜の母のあやめは茜の産んで間もなく亡くなった。だから、茜は母のことをよく知らない。周りからは母親にそっくりだとよく言われる。見た目も、おっとりとした性格も、がさつな凱が育てたにしては似ているとのことだ。

 屋敷の者たちもそうだが、とくに凱と天は茜によくあやめの話をしてくれる。おっとりとしていて、いつも柔和な笑みを湛えていた女性だったという。何もないところで転んだり、少しずれた発言をしたりと抜けているところもあったそうだ。そんなあやめは、屋敷内では優秀な薬師だったそうだ。あるとき、怪我をして帰ってきた凱をあやめがつきっきりで看病したことがきっかけで、凱が惚れたとのことだ。そのときの凱はあやめのことを女神だとか仏だとか何とかずっと言っていたそうだ。

 二人や屋敷の者たちが語ってくれる母の話を聞く。茜はその時間が好きだ。とくに、父と兄が懐かしそうに話すときが一番好きなのだ。一方で、茜はあやめの顔も声もわからないため、寂しく思うこともある。鏡を見て、母と瓜二つだと言われる顔を見ても実感がわかないのだ。


「なあ、父さん。説教は終わり? 俺、腹減った」


「よし。続きは飯を食ってからな」


「げっ……。まだあるのかよ」


 天はげんなりとする。


「こっちだって、同じような説教はしたくない。なのに、天が茜を連れ出して」


「俺は何回も言ってるけど、このままじゃ茜にとって良くないと思うんだ。父さんは茜に対して甘すぎる」


 天が強気に出ると、凱の眉がぴくりと動く。


「それで無理をして命を落としたら元も子もない」


「父さんは心配しすぎ。多少無理をしてでも、茜の腕を磨かないと」


「あの、二人とも」


 茜は震える声で語気が荒くなっていく二人に呼びかける。


「私、ちゃんと練習する。だから、その、喧嘩、しないで」


 茜の視界が滲んでいく。靄がかかり始めた視界に茜は耐えていたものが耐えられなくなってしまい、堰を切る。

 ぽろぽろと泣き出した茜に父と兄は顔を見合わせ、罰が悪そうにする。とくに凱からしてみると、茜の泣き顔があやめの泣き顔とそっくりで、余計に気まずい。


「ごめんなさい。私が、上手にできないから」


「茜。父さんたちは、怒っているわけじゃないんだ」


「そ、そうだぞ。そりゃあ、茜には早くできるようになってほしいとは思うけど……。ほら、今日は何だかんだ言って、俺についてこられたじゃないか」


 慌てふためく二人に茜は申し訳なくなり、嗚咽が漏れる。


「あー、ほら、茜。腹減っただろう? 飯、食べに行こう。な?」


「俺も腹減った。茜、早く行こうぜ。ずっとここで泣いているんだったら、俺が茜の分も食っちまうぞ」


 さっさと立ち上がった天は凱と茜を置いて走り出す。天の背に凱は呼びかけるも、天はすたこらと走っていく。困った息子だと思いながらも、凱は泣きじゃくる娘の視線に合わせて身を屈める。


「茜、行こうか。今日は疲れただろう。美味いもの食べて、また明日も頑張ろう。な?」


 凱は茜の目元を拭う。天と違い、涙を拾い上げるような優しい凱の手つきに茜は小さく頷く。

 ほら、と凱は茜の手を引っ張り上げる。茜はされるがまま立ち上がる。凱のがっしりとした手に引かれ、食堂へと向かう。いつの間にやら、天の姿はもうない。


「父さん」


「ん?」


 しゃくりあげる茜に凱は優しく応じる。


「私は、駄目な子?」


 鎌鼬のくせに。満足に風を使えないなんて。天は問題ないのに茜はなぜ。

 そんな声を聞いたことがある。こそこそと聞こえないように潜められた声は嫌でも茜の耳に入ってくる。面と向かって言われたこともあった。その場は、ごめんなさい、頑張ります、と言い、涙を堪えるのだが、一人になった途端、泣いてしまう。夢にまで見たときは、凱と天に聞こえないように布団の中で声を押し殺して泣くのだ。


「駄目な子なんかじゃないさ。茜はよく頑張っている」


 天に振り回されながらも、必死に追いかけている。ぼろぼろと泣きながら、置いて行かないでと食らいついている。天が無理に引っ張っているとも言えなくもないが、それでも茜は天の背を追いかけている。


「本当?」


「本当さ。父さんは茜が頑張っていることをよく知っている」


 そして、茜が隠れて泣いていることも知っている。風を上手く使えないことを責められ、その場では泣かないものの、屋敷の者がほとんど立ち入らないような場所でひっそりと泣いている姿も、夜、布団にくるまって泣いていることも凱は知っている。

 凱の耳にも嫌でも娘の悪口が入ってくる。娘に対して甘いと厳しく言われることもある。天にまで甘いと言われる始末だ。自分でも茜に対しては甘いという自覚はあるが、茜の努力は認めてやりたいと思う。


「母さんの薬学の本」


 ぴくりと小さな身体が震える。


「最近読んだか?」


 がさつな凱だが、妻が遺した本は大切に扱っているつもりだ。そんな凱よりもきっちり揃えてしまわれていることに最近気がついた。天は全くと言って興味を示さないため、触っていないだろう。凱もほとんど触らない。となると、可能性としては茜しか思い当たらないのだ。


「あ、あの、勝手に見て、ごめんなさい」


 怒られると思った茜は声を震わせながら謝罪する。

 母が遺した数少ない物である。父がとても大切にしていることを知っている。以前、天が本を軽く放り投げたら凱が激怒したのだ。母さんの物をそのように扱うなんて、と言った凱の憤怒の顔が浮かぶ。茜は叱られていないとわかっているのに、自分も叱られているかのようにびくびくと怯えていたのをよく覚えている。


「いいや。怒りやしない」


 凱は穏やかに言う。


「面白いことが書いてあったか?」


「え……。えっと、薬草のこと、たくさん書いてあった」


 予想とは違う凱の態度に困惑しながら、茜は答える。


「ほう。例えば?」


「例えば……。私の名前と同じ薬草のアカネのこととか。解熱剤とか、止血に使えるって」


「そうなのか。難しいこと、たくさん書いてあっただろう?」


「うん」


 薬草の効果や、煎じ方など、箇条書きにされていたため、読む分には苦労しなかった。しかし、内容はやはり難しいと茜は思った。茜の知らない言葉がたくさん綴られていた。


「でも、絵が描いてあったから、わかりやすかったよ。母さん、絵上手だったんだね」


 薬草の絵が随所に描いてあった。簡略化されているものの、わかりやすい絵だった。


「上手だったぞ」


「やっぱり」


 母の絵の腕前については凱からよく聞いていた。さらさらと筆を滑らせてあっという間に描き上げていたそうだ。


「母さんの本、読んでみて面白いと思ったか?」


「うん。母さん、ああいうことしてたんだって知ることができてよかった」


 薬師としての母の一面を垣間見たように思った。書いてある内容は難しくて茜には全てを理解できなかったが、どの薬草がどういった効果を持つのか覚える分には十分な内容だと感じた。


「そうか。茜も母さんみたいに薬草の勉強してみるか?」


「え、でも、私、鍛錬しないと」


 興味はある。茜が知らない母はどのようなことをしていたのか、気になるし、薬草のことを知っていて損はないと思う。が、今、茜がすべきことは風を上手に操れるようになることだ。風を使えるようになることが最優先事項だ。


「もちろん、鍛錬も大事だが、興味があるなら勉強してみるか?」


「いいの?」


「いいぞ」


 茜は凱を見上げる。ぱあっと明るくなった娘の顔に凱は表情を和らげる。


「父さん。私、母さんみたいな薬師になれるかな?」


「さあ、どうかな? たくさん勉強しないとな。勉強だけでなく、鍛錬もちゃんとやるんだぞ」


「うん。ねえ、明日、父さんも一緒に鍛錬しよう」


「いいぞ。明日な」


「約束だよ」


「ああ、約束だ」


 ふふふ、と茜は小さく笑う。二人とも遅いぞ、と天の声が廊下に響く。廊下の中央で仁王立ちする天に二人は顔を見合わせて笑った。

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