アポロニウスの円
「距離感って知ってるか?」
三白眼のお兄さんがいきなり喋りかけてきた
「あの、どういうことですか?」
「俺はいまこの風景を頭に刻みつけてるんだ。だから俺の近くでお菓子を食べるな」
私は高尾山の山頂で天狗焼をもぐもぐとたべていた
「え、なんかすみません」
そそくさと移動する、絶対私がわるくないけど、めんどくさそうだから素直にしたがっておこう
「やっほぉぉぉぉ↑」
めちゃくちゃビブラートがきいてる
さっきの男がいい声でやっほーって言ってる
あそこが彼にとってのやっほーポイントで私が近くにいるとやっほーできなかったんだろう
そう考えてもぐもぐとお菓子をたべる
「そのお菓子ってどこで売ってるんだ?」
三白お兄さんが帰ってきた
「あっちです」
なんとなくうそを教えておいた
なんかいやだったから