表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄の孫で、大英雄の息子が、超英雄になるまで  作者: 桃栗ドリアン
第一章 学園襲撃編
7/56

第一章5 『君の【魔法】を調べようか』

 校門をくぐり、門前広場から東に伸びる大きな道を進む――全てのものが輝いて見える。

 遊園地に始めてきた子供のように、信はひっきりなしに動く瞳も、感嘆の声も止めることができなかった。


「ここです」


 歩くこと二、三分。

 コロッセウムに隣接する巨大で近代的な建物に到着した。

 自動ドアをくぐり施設内に入る。

 

「おぉ~~」

 

 施設の中はSFの秘密基地のような内装になっていた。

 信は黒い鎧の人が出てきそうなエレベーターに乗り、地下三階の部屋の前に案内された。


「中に居る人と話して参りますので少々お待ちください」


 そう言い残した紫陽(しよう)をそわそわしながら待つこと五分。

 なぜかすっきりした表情で彼女は出てきた。

 そして。


(わたくし)の案内はここまでです。中に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()がいらっしゃいますので、部屋に入りましたら彼女の指示通りにしてください」


 と。

 一変、哀愁漂う笑顔で言われた。

 どうやら紫陽とはここでお別れのようだ。


「そうなんですか……ありがとうございました!」


 紫陽との別れを惜しみながら心からのお礼を言うと、信はドキドキを胸に、『ベテラン研究員』がいらっしゃる部屋に入った。

 そこには。

 

「やあ、いらっしゃい」


 ()()()()。少し後退りしながら、信は目をパチクリさせた。


(いのり)さん!? どうしてここに?」


「フフ、その子は私の妹だよ! 私は姉の知世(ともよ)、よく似ているといわれるんだ」


 『似ている』なんてレベルじゃない。髪の色も、顔も、身長も、声も、何もかも全てが、まるで鏡から引っ張り出してきたかのように祈と一致していた。

 だが、驚いている信を気にもとめず。



「さて、君の【魔法】を調べようか!」



 知世は高らかに告げた。




○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○ 




 おろおろする信が、壁の端っこに申し訳なさそうに置かれていた木製の椅子に座り、黒い机を挟んで向かい合うと早速説明がはじまった。


「それじゃあ、【魔法】について検査の説明……の前に、『八属性(はちぞくせい)』について説明するね」


 知世は言葉を区切ると、パソコン大のホワイトボードを取り出し、書きながら説明を続けた。


「魔力には血液型みたいに……といっても四つじゃなくて八つなんだけど『属性(ぞくせい)』があってね。順に言っていくと、【増強型(ぞうきょうがた)】・【異形型(いぎょうがた)】・【変化型(へんかがた)】・【操作型(そうさがた)】・【回復型(かいふくがた)】・【放出型(ほうしゅつがた)】・【創造型(そうぞうがた)】・【特異型(とくいがた)】という風に分けられているんだ」


 『属性』が羅列されたホワイトボードを机に置くと、知世は話しながら奥の部屋に入って行った。


「その『属性』に基づいて【魔法】が形成されるから。今から『鑑識(かんしき)』という【魔法】を使って君がどの『属性』か、そしてどんな【魔法】を形成したのか検査する」


(なんだ【魔法】を使うなら意外とあっさり終わりそう) 


 信は調べると聞き、注射とかを想像していたのでホッとした。

 だが、


 ガシャン! ギシャン! グシャン! ゲシャン! ゴッシャン!!


 知世の入って行った部屋から、響く大音量の落下音が信を不安にさせた。


(……【魔法】を使うんだよね?)


「と、知世さん?」


 信が恐る恐る呼び掛けると、知世が何か引っ張りながら出てきた。

 信はそれを見て度肝を抜かれた。

 彼女の着ている白衣がボロボロになっていたからではなく、彼女が引っ張り出してきたのが二M程ある()()()()()()だったからだ。


「な、なんですかそれ?」


「ふっ、『ミコラスコービン天照(あまてらす)』」


 名前をドヤ顔で言われたが、正直なんのこっちゃと思った。


「これは発明家の源賀平内(げんが ひらない)という四百年以上前の人物が後世のために残した遺産の一つさ」


 知世は鼻息を荒くしてこの装置について説明してきた。


「『鑑識』は【特異型】に属しているんだけど、この【特異型】は強力、且つとてもレアな【魔法】で滅多に持つ人が現れないんだ。『このままでは【魔法】が調べられない時代が来るかもしれない……』そう考えた源賀平内が、自身の【魔法】――『付与(ふよ)』という『他者の【魔法】を物に宿す力』を使って、顕微鏡に『鑑識』の力を『付与』してくださったんだ。おかげで私たちは現在、使い手なしで【魔法】を調べることができている!」


 知世の圧に気圧されながらも、『そんな未来のことを考えて行動できるなんて』と、素直に信は源賀を心の中で称賛した。


 知世の説明が終わりいよいよ検査が始まる――と思ったのだが、その前に一枚の紙を手渡された。

 その紙は、信が以前海外のバンジージャンプで見た誓約書と似たものだった。


「えっと……一体これは……?」


 信がおずおずと質問すると、おちゃらけていた知世の表情が真面目なものになった。


「強い力には必ず代償というものが存在する……百五十年前、『時を止める』という強力な【魔法】を持つ少年が現れた。だが、【魔法】が判明した直後にこの少年は死亡した。原因は彼の【魔法】には『禁止事項(タブー)』というものが存在したからだ」


 知世は一息おいて説明を続ける。


「彼の『禁止事項(タブー)』は『他人に自身の【魔法】を知られる』それを破ったら『死ぬ』というものだった。他にも、このような『禁止事項(タブー)』を持つ【魔法】はいくつもある。『生物を殺す』破ったら『死ぬ』、『嘘を言う』破ったら『喋れなくなる』など上げ始めたらきりがない。もし、君が少年のような『禁止事項(タブー)』を持っていた場合、学園は責任が取れない。だから、君にその誓約書を書いて貰うんだ。勿論、やめてもらっても構わないよ。決めるのは君だ」


「――」

 

 唐突に突きつけられた死の可能性。

 ――怖い。凄く怖い。

 だが、ここで逃げたら『魔法使い』になれないということは何となくわかった。

 なら、答えはもう決まっている。




○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○




「君みたいに即断即決は珍しいよ……」


 信は数秒悩んだ後、誓約書に名前を書き込んだ。

 知世に書き終えた誓約書を手渡すと、信は顕微鏡の前に誘導された。


「それじゃあ、ステージの上に腕を置いて」


 はい、と指示に従い、少し筋肉のついた腕を顕微鏡のステージの上に置く。


「それじゃあ。覗くよ」


 知世が踏み台に乗ってレンズを覗く。

 信は肩をぐっと緊張させると同時に――『属性』が告げられた。


「君は……おめでとう。【特異型】だ」


 先程話に上がった【特異型】だったので、心臓がバクバクとより大きな鼓動を鳴らし始める。

 引っ掛かるな、引っ掛かるな、と信は『禁止事項(タブー)』に引っ掛からないように強く願った。


「で、【魔法】は……【魔法】は…………」


 そわそわしながらその時を待つ。

 しかし、いつまで経っても発表されない。


(遅い……)


 信は痺れを切らして聞いてみた。


「あの、信の【魔法】はなんなんでしょうか?」


 難しそうな表情をしている知世の唇が動く。長い沈黙を破り、ついに信の【魔法】が、



「ごめん、()()()()()()



「…………ふぇ?」


 発表されなかった。

【魔法】がわからないのには理由がありますが、しばらくは――というか、かなりの間わかりません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ