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余命わずかの偽彼氏  作者: AuThor
23/26

別れ

廊下は静まり返る。


黙っている楓と和也。


「わかったでしょ、和也。あんたの彼女は、こういうことを平気でやれる女なの」


「……まさかの浮気かー」

おどけて言う和也。


「……」

黙っている楓。


「伊藤さん、あとで話そう」


「……うん」


「何を話す必要があるの? 最低な女だって十分わかったでしょ?」


「……おまえの友達に趣味の悪い盗撮野郎がいることはわかった」


「! それはっ……」


「まあ、これは俺と伊藤さんの問題だ。行こう、授業が始まる」


「和也! その女は嘘つくだろうけど、騙されないで!」


「……忠告どうも」


瞳を残して、楓と和也はそれぞれの教室にもどった。


放課後、楓の教室に和也が入ってくる。


「伊藤さん」


「うん」


楓は席を立ちあがる。


「ついてきて」


「わかった」


マンションの屋上に立つ楓と和也。


亜武くんと偽の恋人関係を結んだ場所……。


「今日はあいにくの天気だね」

空を見上げて和也は言う。


「そうだね」


「土曜日に一緒にいた男って誰?」


「木曜日の帰りに、その人が落としたバッグを拾って、そのお礼にごちそうしてくれたの。そのあと流れでレジャーランドに行ったんだ」


「……そっか」


少し考えて、口を開く和也。


「偽の恋人関係、終わりにしようか。この関係を始めて、7日目だけど、彼女を作ったって十分広まったし」


「……」


「別れた理由はこうしよう。俺が大学生の女性と最初に浮気して、それが伊藤さんにばれて、伊藤さんの方も他の男にアプローチされて別れたことにしよう」


「亜武くんが悪いってことになっちゃうよ」


「いいよ、俺が巻き込んだんだし。伊藤さんが恋愛できるチャンスを奪ってたんだから。ごめん、迷惑かけて」


「ううん、本当に楽しかったよ……」


「俺も楽しかった……短い間だったけど、ありがとう」


「……私の方こそ、ありがとう」


私たちの偽の恋人関係は終わった。


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