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余命わずかの偽彼氏  作者: AuThor
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21/26

兆し

翌日、大きな公園の中にある草むらで私は亜武くんと一緒に横になり、空を見ていた。


「気持ちいいね」と楓は笑顔を浮かべる。


「晴天で陽射しがあるからね」


やっぱり好きだな。

楓はそう思う。


「そういえば昨日、何か予定があったんだよね?」


「……」


「昨日は何したの?」


「秘密」


「ははっ、残念」


たっぷり暖かな陽射しを浴びたあと、私と亜武くんは園内を散策する。


「今日、このあと映画に行かない?」と楓を見る和也。


「うん、いいね」


「今、評判になってる映画でさ……」


「うん」


「……」

急に立ち止まる和也。


「? どうしたの?」


「……」


「! 目が?」


「当たり。真っ暗になった」


「大丈夫⁉」


「大丈夫」


十数秒くらい経って和也はにっこりと笑う。

「もどった。行こう」


楓と和也は再び歩き出す。


「……どのくらいの頻度で起こるの?」


「最近は結構、頻繁に起こるね。伊藤さんと話してる最中に真っ暗になったのは初めてだけど」


「日によって頻繁に起こることもあるの?」


「いや、真っ暗になる頻度は徐々に増えていくよ」


「え?」


「残り時間が少なくなってる証拠」


「‼」


「末期に近づいていくほど、真っ暗になる頻度は増えていく」


「……」

和也を見つめる楓。


「1年……もたないかもなー」


「……亜武くん」


「?」


「人は誰でもいつかは死ぬよ」


「……」


「……映画、観に行こう!」と楓は笑顔を和也に向ける。


噴き出す和也。

「あははっ、そうだね。行こう! 伊藤さん」


「うん!」


和也は微笑む。

「よかった」


「?」


「伊藤さんと出会えて」


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