兆し
翌日、大きな公園の中にある草むらで私は亜武くんと一緒に横になり、空を見ていた。
「気持ちいいね」と楓は笑顔を浮かべる。
「晴天で陽射しがあるからね」
やっぱり好きだな。
楓はそう思う。
「そういえば昨日、何か予定があったんだよね?」
「……」
「昨日は何したの?」
「秘密」
「ははっ、残念」
たっぷり暖かな陽射しを浴びたあと、私と亜武くんは園内を散策する。
「今日、このあと映画に行かない?」と楓を見る和也。
「うん、いいね」
「今、評判になってる映画でさ……」
「うん」
「……」
急に立ち止まる和也。
「? どうしたの?」
「……」
「! 目が?」
「当たり。真っ暗になった」
「大丈夫⁉」
「大丈夫」
十数秒くらい経って和也はにっこりと笑う。
「もどった。行こう」
楓と和也は再び歩き出す。
「……どのくらいの頻度で起こるの?」
「最近は結構、頻繁に起こるね。伊藤さんと話してる最中に真っ暗になったのは初めてだけど」
「日によって頻繁に起こることもあるの?」
「いや、真っ暗になる頻度は徐々に増えていくよ」
「え?」
「残り時間が少なくなってる証拠」
「‼」
「末期に近づいていくほど、真っ暗になる頻度は増えていく」
「……」
和也を見つめる楓。
「1年……もたないかもなー」
「……亜武くん」
「?」
「人は誰でもいつかは死ぬよ」
「……」
「……映画、観に行こう!」と楓は笑顔を和也に向ける。
噴き出す和也。
「あははっ、そうだね。行こう! 伊藤さん」
「うん!」
和也は微笑む。
「よかった」
「?」
「伊藤さんと出会えて」




