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余命わずかの偽彼氏  作者: AuThor
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待ち伏せ

「あ……」

すぐに楓は立ち上がり、病院の廊下を慌てて駆け出す。


「……!」

逃げる楓を見て何かに気づき、楓を追おうと走りだす和也。


楓は和也が後ろから走って追いかける音が聴こえたが、すぐにその音は聴こえなくなった。


「待ってくれ!」


後ろから聴こえた和也の声を無視して、楓は階段を駆け下り、近くにあった女子トイレの中に入る。


「はあ、はあ」

息を切らしている楓。少しして誰かの走る音が聴こえた。楓は30分トイレの中に身を潜めて、病院をあとにした。


2日後の朝、楓は友達の美奈と登校するために2人で歩いていた。


「学校、行きたくないな」

ぼつりと楓が言う。


「たしかに、月曜日の1時間目から数学のテストはないわー」


「土曜日に病院なんて行くんじゃなかった」

ため息をつきながら言う楓。


「なんで病院に行ったの?」


「お父さんが入院してるからお見舞い」


「お父さんとケンカでもした?」


「……」


「そういえば、亜武和也……」


美奈の口から出てきた名前にドキッとする楓。


「金曜日に七香を振ったらしいよ」


「あ、そうなんだ」


「七香でもダメなら、もう誰が告白しても無理でしょ。なんで彼女つくらないんだろ?」


「……」


「さわやかで、人当たりもいいし、べつに変人ってわけでもないのに」


「……何でだろうね」


「まあ、何でも器用にこなせるし、将来有望の優良物件であることを自分でも自覚してるだろうから、とてつもなく理想が高いのかもね」


「どうだろうね……」


高校につく2人。

校門を通過すると、今日もっとも顔を合わせたくない人の姿が楓の目に飛び込んできた。


「おはよ」

和也は楓に声をかける。


「あ……」

楓は立ち止まる。


「少し2人で話せる?」


「……うん」


「私……先に行っとくね」

美奈は空気を読んで、立ち去っていく。


「場所、変えていい?」


「……いいよ」


校門近くで待ち伏せされていた私は逃れることなんてできなかった。


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