彼の魅力
翌日、学校に行ったら案の定、ずる休みして2人でデートしていたんだろうと口々に周りから言われたが、私たちはしらを切った。
でも、亜武くんは仲のいい友達にはテーマパークで2人一緒に遊んだことを話したらしい。
廊下を歩く楓と和也。
「なんで話しちゃったの?」
「ずる休みしてデートするほどラブラブだって噂で広がってほしいし」
「もうっ。一昨日も思ったけど、亜武くん、恋人ができたってこと広めすぎだよ。自分から言ってるって聞いたよ」
「少しでも多くの人に知ってもらいたいからさ」
「はぁ……」
背後から楓を抱きしめる和也。
「怒った?」
「ちょっ……い、いきなり何?」
楓はドキドキして、きょどる。
「彼女が怒ったときはこういう抱きしめ方をすればいいって、どっかで読んだ」
楓は和也から慌てて離れる。
「また生徒指導室に呼ばれて注意されるよ。学校ではイチャイチャしてるように思われる行動は控えて」
「はーい」
いたずらっぽく笑う亜武くんを見て、私は何だか楽しい気持ちになる。
「次、私たちのクラス合同授業なんだから、早く行くよ」
「了解だ、ボス」
「ふふっ」
楓は噴き出す。
「もうっ、ふざけないでよ。私、ボスなんて呼ばれるほど、いかつくないし」
夜のテーマ―パークで見た真剣な亜武くんも好きだし、いたずらっぽいところも、ふざけたりするところも私は好きだ。
「今日、学校終わってから予定ある?」
「ないよ」
「じゃあ、遊べる?」
「うん」
「やった!」
無邪気に笑顔を浮かべる和也。
視線を感じ、近くの教室の中を見る楓。
姫橋さんが冷たい目で私を見ていた。
……たぶん亜武くんと姫橋さんは今も両想いだ。本当にこのままでいいのかな?




