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余命わずかの偽彼氏  作者: AuThor
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希望

「その希望って?」


「世界は広いって教えてくれた」


「え?」


「先生は私をいろいろな場所に連れて行ってくれた。先生と2人で何度も旅行したの。色々なものを見たり、高級料理を食べたり、有名なマッサージ店に行ったり、他にもいろいろな体験をたくさんした。本当に感動したし、楽しかった。いじめなんかで死ぬのはもったいないって思えた。大人になってお金を稼げるようになったら、そういう体験ができるんだって希望を見せてくれたの」


和也は目を見開いて楓の話を聴いている。


「あとね、先生のおすすめのドラマや映画を一緒に観たりしたし、お勧めの小説を読んだりもした。感動して泣いたし、たくさん笑った。お金をそこまで稼がなくても素敵な体験はいらくでもできるんだってそう思えた。先生のおかげで私の世界は広がったの。だから私は一人でだって生きていける。世界には自分の知らない素敵なことがたくさんあると思えるから」


「……」


「あ、ごめん。興奮して熱く語りすぎたね」


「いや、素敵な話をありがとう。いい先生だね」


「うん! 私にとって、この世で一番尊敬する人。私の夢はね小学校の先生。私は先生のような教師になりたい」


やわらかい笑顔を浮かべる和也。


「いいな」


「何が?」


「希望に満ち溢れてるところが」


「えへへ」


「こっちまで元気をもらえる」


「それはよかった」


「話してみないとわからないものだね」


「え?」


「相手の本当の魅力は深い話を聴くまではわからないって、そう思えた」


そう言ったあと、亜武くんは私を見つめて微笑んだ。


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