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ランチ・タイムに何をしようか?

作者: こうづき

 ある日、街に隕石が落ちてきた。

 夏の昼下がりの東京、快晴。上空に大量の隕石が突如現れ、NASAも予測できないまま、世界中に衝突する。

 社畜のこうづきは、欝でたまたま自宅療養中だった。欝のため空をボーっと眺めていたが、突然の隕石には生命の根源的な危機察知能力が呼び覚まされた。とはいっても、欝のため起動にとても時間がかかった。ようやく危険を理解すると、家の地下にたまたま買ってあった「核シェルター」に避難することを思いついた。こうづきは、手馴れた様子で、核シェルター内に逃げ込んだ。

 シェルター内は防音加工がほどこしてあったが、隕石がぶつかる轟音と、隕石衝突の衝撃でもたらされる激しい地震に、こうづきはずっこけた。


 どのくらい時間が経っただろうか?

 こうづきは、辺りが静かになったのを確認すると、しばらくシェルター内にいようと考えた。あれはなんだったんだろう、いつまでここにいるんだろう、などと思案を巡らせていたところ、シェルター内に食料がないことに気付く。

 ・・・そうだった。俺は欝で自宅療養中、外に出るのも億劫で、冷蔵庫の食料が尽きると、シェルター内のビスケットに手を出し、すべて平らげてしまったのだった。

 食料を求めて外に出ると、家は瓦礫となっていた。隣の家のシェルターもむき出しになっていた。シェルターは、緊急時に避難できるように、外からは鍵がかけられないようになっている。しかも、平日なので、その中には誰もいないはずだ。・・・まあ、人の家なので勝手に入るわけにはいかないが。

 突如、辺りが暗くなった。何か大きなものの影に入ったのだ。おそるおそる影の元を見えると、とんでもないものがいた。巨大なタコウィンナーに顔がついたような怪物が、家を踏み潰しながら闊歩していたのだ。こうづきは、腰を抜かすでもなく、衝撃で目が離せなかった。

 「タ、タコウィンナー?」

 思わず、声が漏れた。タコウィンナーがこちらを向く。目が合った。

 「え?」

 こうづきの脳は、かつてないほど稼動していた。この状況、どうやって乗り切るか?額を走る汗が異様に冷たく感じる。

 「ど、どうも~」

 こうづきは、とりあえずお辞儀をして、ドアを閉め、鍵を頑丈にかけた。

 (なんだ、あれ・・・)

 もう声を出しても大丈夫なのに、喉が動かない。代わりに、ゴクリと唾を飲んだ。

 まったくもって、意味がわからない。なぜ、あのような怪物が歩いているんだ?ひょっとして、隕石の中にあいつらが乗ってきたのか?

 幸い、核シェルター内には非常時の情報を集めるために、パソコンと通信設備が整っており、外の世界がどうなっていようと、これで他のシェルターとやりとりできるようになっていた。勿論、電気は非常用の電源が豊富にある。

 パソコンを起動して、「ニュース」欄を見る。

 この隕石はどうやら、世界中で起こっているようだ。しかも、怪物も世界中にいるみたいだ。そこには、さっきみたタコウィンナーの怪物の写真が掲載されていた。他にも、ブロッコリーの怪物やら、梅干の怪物、白米の怪物までいる。おもむろに、腹から音がなった。


 そういえば、腹、減ったな。


 先ほどまでは恐怖で頭が染まっていたのに、今頭を占有しているのは、弁当であり、食料であり、空腹感である。しかし、食料がない。どうしよう。

 隣の家は誰もいないだろう。緊急事態だし、仕方ない。こうづきは急いで外に出ると、隣のシェルターに駆け込み、鍵をかけた。中には案の定誰もいなかった。

 そして、食料は・・・ある!

 「ふう~っ」

 思わず、ため息が出た。


 「これから、どうしよう・・・」


 水と食料は、十分にある。トイレやシャワーも、しばらく大丈夫だ。俺は、ひととおりニュースで現状把握すると、人の家といえども、ここから出るわけにはいかないので、暇をもてあますようになり、やがて、パソコンで、小説投稿サイトに小説を投稿することを思いついた。

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