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教師

「――遅くなってすみませんっ、サーシャ先生!」

「ううん、大丈夫」


 放課後、言われた通りに薔薇園を訪れたフィルミニアは、先に来ていたサーシャの姿を見て頭を下げた。

 入口から見て右手側の席に腰を下ろす女軍人は、直立不動で固まる少女を見てくすりと笑った後、対面の席に座るよう促す。


 緊張した面持ちで、まるで判決を待つ罪人のような雰囲気を放つフィルミニア。

 何が彼女をそうさせているのかはわからないが、少なくともこの呼び出しをネガティブに捉えているのは容易に見て取れる。なのでサーシャは、まずは相手の緊張を解くために他愛のない雑談をしようと思い、


「――この薔薇園はね」


 四阿(ガゼボ)の外に広がる花畑を眺めながら、訥々と語りだした。


「『エリスの庭』って呼ばれてるの。もっとも、この場所を知ってる人はあんまりいないんだけど」

「エリス――って」

「そう、エリス・フォートローズ」


 女がさらりと口にしたその名前に、少女は驚愕し目を見開いた。

 なぜならその名前は、魔術士を志す者であれば誰一人として知らない者はいない、魔術士にとっては伝説とも言える女性のものなのだから。




 ――エリス・フォートローズ。




 かつて最強と謳われた、ティオール帝国で――否、世界で最初のSランク魔術士。

「人間の範疇を超えている」とまで称された比類なき才覚と、それを御するための並々ならぬ努力によって、数多の(ロムト)を屠った現代の英雄。


 いいや、数だけじゃない。並の魔術士であれば千人、万人が束になっても敵わないであろう超大型の個体とすら、単騎で対等に渡り合ってみせたその実力は、その背を見つめる民衆や仲間たちに敬意と畏怖を植えつけた。

 そもそも『Sランク』という括り自体が、周囲と隔絶した実力を誇る彼女のために作られたものだ。それを知る者は、今現在世界中に存在するSランク魔術士程度(・・)では彼女に遠く及ばないことを正しく理解している。


 そしてそれほどの、誰一人として並び立つことのできない強さは、彼女を孤独にした。追い立てられるように各地の戦場へと赴き、絶え間なく続けられた激戦の末、敵と相討ちになって死亡した。

 今から二十年近く前の出来事――彼女が軍に入隊しておよそ二年半、二十二歳での早すぎる死だった。彼女の死によって兵は揺らぎ、戦線は瓦解し、戦闘員・非戦闘員を合わせて何万人もの人が犠牲になったと言われている。良くも悪くも、彼女が与えた影響が計り知れないものだったことに間違いはないだろう。


「これも、あまり知られていないことだけど」


 その英雄の名を冠したこの薔薇園は何なのか、興味を惹かれた様子の少女の眼差しに応えるように、サーシャは微笑みを浮かべ、


「彼女は在学中、魔術を用いた植物の品種改良について研究していたの。ここにあるのは彼女が作り上げた、一年中花が咲き続ける薔薇」

「品種改良って……生物学の分野ではありませんの。技術部の学生でもあるまいに……」

「それだけ多才、そして鬼才だったということなのかな。もしかしたら軍人として前線に立つよりも、技術者として後方で研究していた方が、長期に渡ってより多くの人を救えていたかもね」


 そう言った女の顔は、決して他人事じゃない、実感の込められた悲嘆の色が浮かんでいて。

 それが気になったフィルミニアは、恐る恐る口を開く。


「……知り合い、だったんですか?」

「え? あ、ううん。そういう訳じゃないんだけどね。今のも、元々は学院長が話していたらしくて」


 ほう、と大きな息を吐き出し、


「それをわたしに教えてくれたのがね――ノート先生だったの」

「――――ぇ」


 そこで少女は、思いもよらない名前を聞いた。


 ノート・ライン。彼のことを忘れていた訳ではない。昨日この場所で会ったばかりなのだから、思い出すなと言う方が無理な話だ。

 しかし、だ。あの何とも冴えない風袋の予備魔導師と、目の前にいる美しくも可憐なSランク魔術士との間に接点があるなんて、少女は欠片も思っていなかった。それほどまでに、二人の立場には大きな格差がある。


 面食らうフィルミニアに、サーシャは僅かに身を前に倒して、


「昨日、会ったんだよね?」

「え、あ、はい……えっ、どうしてそのことを」

「先生に聞いたから。朝、オーグランドさんと別れた後に、ね」


 口振りからただの顔見知りではない、それなりに親しい関係であることが察せられて、ますます大きくなる疑問に少女は首を傾げる。


「どういう、ご関係ですの……?」

「どうって、生徒と教師の関係だよ。うん、本当にそれだけ……それだけでしかない、んだから……うう」


 なぜかサーシャは、自分自身の発言に落ち込んでいるようだった。何が機嫌を損ねたのかわからずオロオロするフィルミニアの姿に、女は冷静さを取り戻して咳払いを一つ。


「コホン――わたしは学生時代にね、あの人に多くのことを教わったんだ。Sランク魔術士としてのわたしが今ここにいるのは、間違いなくノート先生のおかげだって、自信を持ってそう言える」


 仄かな熱を帯びたその言葉に、フィルミニアは戸惑いを覚える。それは目の前の相手が語る恩師への思いと、自分がその中年魔導師に抱いたイメージとの乖離によるものに他ならない。

「騙されているんじゃありませんの」とすら内心で思っている少女に、けれどそれを見透かしているサーシャは怒りや悲しみに揺れたりせず、


「――まあ、信じられないよね。いきなりそんなこと言われたって」

「あ、いえっ、その――!」

「いいよ、気を遣わなくて。だって先生、見た目から全然威厳が感じられないんだから! 服装や身だしなみには気をつけるようになったみたいだけど……やっぱり痩せすぎが良くないのかなあ」

「え、ええと……」

「わたしが最初に先生と会った時なんてもっとひどくてね。髪はボサボサで服はシワだらけ、顔も今以上に生気がなくて、幽霊と勘違いする生徒までいたくらいだったの。だからね、初対面であの人を信用できないのも、よくわかるんだ。あの人の教え子がみんな辿る道だから」


 一見ノートを貶しているように聞こえるその言葉に、しかし侮蔑のニュアンスは感じられない。例えるならば、愚痴のような惚気話をする時の「困るけど嬉しい」テンションに近いだろうか。

 その様を見せつけられる少女は、緊張の色は未だ残るものの、困惑の方が僅かに大きい。頃合いと見た女は、雑談の延長線上で『本題』を切り出す。


「――そのノート先生がね、あなたのことを気にかけていたの」

「え? 私を――どう、して」

「わからない?」


 疑問の呟きに対して、返されたのは別の問いだった。わからない、と安易に答えようとしたフィルミニアは、けれど自身に向けられる真剣な眼差しに口を噤み、




『魔導師の――いえ、教師の端くれとして、どうにも気になってしまうのです』




 彼が放ったその言葉を思い出して、改めて口を開く。


「私が――この学院の生徒だから、でしょうか」

「そう。それ以上でもそれ以下でもなく、ただそれだけ」


 サーシャは顔を綻ばせて、けれど声には寂しさと悲しさを滲ませて、少女の回答を肯定する。


「あの人は、自分の力量をよく弁えている。全ての生徒を正しい道に教え導けるとは思っていないし、そうしようとも考えていない。自分が手を差し伸べられるのは、自分の手が届く範囲内でしかないってことを、ちゃんとわかっている」


 だから、


「昨日そこ(・・)に現れたあなたに、あの人は手を差し出そうとしている。もがき苦しんで振り回す手を、しっかり掴み取るために、ね」

「私の、手を――」

「ねえ、オーグランドさん」


 サーシャは、

 身を乗り出して、少女に提案――否、懇願する。




「ノート先生の指導、受けてみてくれないかな?」




 それは。

 優しげな、穏やかな口調で――けれど確かに、その言葉には『圧』があって。


 少女は息を呑んだ。

 わかっていたつもりだった。

 けれどやはり、認識が甘かったのだろう。


 帝国軍の少佐、そしてSランク魔術士という肩書きは、顔立ちの幼さというマイナス要素があってなお、確かな威風を彼女に与えていた。

 威圧的ではなく、強迫性もなく、なのにそれを拒めないのは、その威容によるものだろう。そうさせられている(・・・・・・・・・)とすら気づかないままに、少女は首を縦に振っていた。


 白々しくも、その応えに安堵の息を漏らした女は立ち上がり、


「じゃあ、今から先生の元へ顔出しに行こっか! 『良いことはすぐにやれ』って、そんな意味の言葉が皇国にあるくらいだしね!」

「え、あの――」

「今頃はあなたの分析も終わってるだろうし、今日中にでも指導を受けられるんじゃないかな。あ、今日はあくまでもお試しで、それが合わないようなら次からは断っても――」

「ま、待ってくださいまし!」


 声を荒げ、少女が静止を求める。


 表面上の態度は努めて冷静に、けれど内心でサーシャは大層な危機感を覚えていた。自覚のある悪癖――そそっかしい一面が顔を出したことに、彼女は冷や汗を流す。せっかくいい感じの流れだったのに台無しにしてしまった、と。


 それをおくびにも出さず、言われた通りに待つ女軍人へ、やがてフィルミニアが決心したように訊ねた。




「あのっ! ――こ、この場に呼び出された用件とは、その、何なのでしょうか……?」




「――えっ」

「えっ」


 互いに思いもよらない言葉や反応が返ってきたことで、数秒間も膠着状態が生まれて、

 見つめ合う二人の内、サーシャが盛大に噴き出したことで、その均衡は崩されたのだった。












「――あー、ごめんごめん。ちょっと笑いすぎたね」

「いえ、こちらこそ……とんだ勘違いをしていましたわ」


 目の端に溜まる涙を拭う女と、その後ろで顔を赤らめている少女は、連れ立って総務部棟の内部へ足を踏み入れる。

 彼女たちが向かう先は、一階の事務室でも、三階の職員室でも、四階の学院長室でも統括室でもなく、半ば物置と化している二階の奥にある、


「『特殊対応室』、通称『特対』。ノート先生はそこの室長なの――まあ、そもそも所属しているのが先生一人だけなんだけどね」

「特殊、対応……?」

「他の魔導師は、必ず何らかの授業を受け持ってるでしょ? でもノート先生は個人・個別の指導だけ。個々人ごとの『特殊』な事情に『対応』する指導――だから、特殊対応室」


 適当だよねえ、と言う女に苦笑を返しながら、廊下を歩くフィルミニアは周囲を見回す。

 並ぶ部屋は長らく使われていないのだろう、ドアノブや窓のサッシには白い埃が積もっている。窓から覗ける室内には、椅子や机、箱詰めされた教科書、掃除用具に古びた衣服まで、いろいろなものが放置されている。


 それらを通り過ぎて辿り着く一番奥の扉を、サーシャは躊躇なく叩く。窓や通気口の類がなく、廊下から中の様子が一切窺えない扉の向こう側から「どうぞ」と穏やかな声が返ってきた。


「失礼します、ノート先生」

「し、失礼します」


 言葉と共に、サーシャは堂々と、フィルミニアはおずおずと、その部屋に入っていった。

 内部は、今までフィルミニアが訪れたことのある魔導師の研究室と、そう異なるものじゃなかった。棚と、机と、書物と、書類と、教材と、インテリアがあって――強いて言えば、少し雑然としているだろうか。


 二人の姿を見た、部屋の主である冴えない見た目の中年男性――ノート・ラインは一瞬だけ目を見開き、しかしすぐに口の端を吊り上げて、


「――ようこそ、オーグランドさん。今、お茶を用意しますから」

「えっ、あ、お構いな――」

「わたしが用意しますね。ええと、お茶菓子は……あ、まだクッキー残ってます?」

「ええ。これをお出ししても?」

「もちろ――あ、ちょ、ちょっと待ってください! 久しぶりに作ったものなので味に自信が……」

「大丈夫ですよ。すごく美味しいです」


 その一言に「先生……!」と頬を朱に染めて歓喜に震えるサーシャの姿に、少女は愕然とする。彼女が目にした偉大なるSランク魔術士の横顔は、完全に『乙女』のそれであって。


 ――惚れている。

 あの顔を見てそれがわからない者は、よっぽどの鈍感だろう。それは好意を向けられている本人――ノートであっても例外ではない。

 故に、フィルミニアは言った。


「『純水は色水に染まる。されど色水が純水に染まることはない』……」

「? どうかしましたか」

「――いえ、何でもありませんわ」


『鈍感野郎』というニュアンスを含めたその言葉の意味が通じるはずもなく――そもそも小声で呟いたためによく聞き取れていない――ノートは首を傾げた。


 来客用のソファに腰を下ろしたフィルミニアの元に、サーシャが紅茶を運んできた。淹れたてを味わう一口の、風味の薄さで安物とわかるが、同時に余計な渋味や雑味もなく、それが淹れ方の上手さを示していた。


「美味しい……」

「サーシャさんの作り方が上手だから、ですね」

「もう、先生がそれを言うんですか。わたしにお茶の淹れ方を教えてくれたのは先生でしょう?」


 そのやり取りを目にして、イチャついている――などとは微塵も思えなかった。女が熱視線を向けているのに対し、男のそれは父が娘に、もしくは兄が妹に向けるものと同質であることに気づいてしまったから。

 相手にされていない、とは違う。そもそもそういう目(・・・・・)で見ていないのだと、これまた容易に見て取れた。


 ノートが少女の正面に、サーシャがその隣に座る。彼がテーブルに置いたバスケットは、朝にサーシャが持っていたものだった。見た目もそうだが匂いでわかる。

 少女がその中に入っていたクッキーを一つ口に運ぶ。多少湿気ってはいるものの、口の中に広がる甘みと香ばしさは劣化していない。むしろくどいくらいの濃厚な味付けは、スッキリとした紅茶の後味に合わせるためだろう。


「――それで、どのような用件でしょうか」


 全員が一息ついたところで、ノートが問うた。

 どちらかに対するものではないその言葉は、逆説的にどちらに対しても投げかけられたものだということを示していた。少女の戸惑った視線を受けて、サーシャが答える。


「先生がオーグランドさんを気にかけていて、彼女も思い悩むことがあったみたいでしたから」

「……指導してほしい、ということでしょうか」

「はい。わたしが仲介役となった方が、オーグランドさんも安心できるかと考えました」

「なるほど……確かにその通りですね。ありがとうございます」


 頭を下げられ照れ笑いを浮かべる女からは、先程までのSランク魔術士としての威厳はすっかり消え失せていた。体をくねらせる彼女を尻目に、ノートは正面に向き直ると、


「オーグランドさん」

「は、はい」

「教師である僕は、生徒である君の力になりたいと思っています。――けれど、君はどうですか?」

「どう、とは……?」


 質問の意図がわからず訊き返すフィルミニアに、教師は言葉を重ねる。


「君は自分を『不出来』と称したけれど、素質(ポテンシャル)は決して低い訳じゃない。少なくとも現時点で、僕に数段勝っているのは疑いようもありません」


 故に、


「僕には君の苦悩を、理解することはできても、共感することはできないでしょう。僕はただ、その解決方法を模索し、解決策を提示するだけ。――僕にできるのは精々、そのくらいのことです」

「それだけって……それで十分ではありませんの?」

「知恵や知識をただ伝えるだけなら、教本で事足ります。指導とは――教育とは、人と人との心のつながりによって成立するもの。僕の指導では、どうしてもそれが欠けてしまう」


 諭すように紡がれる言葉には、寄り添うような温かさがある。こちらを本気で案じてくれていることが、心に強く響き伝わってくる。


(――ああ)


 その瞬間、

 少女は、確かな納得を覚えた。


 どうして己が、彼の元を訪れたのか。

 無論、サーシャの影響が大きいのは間違いない。信頼の置ける実力者が太鼓判を押したから、フィルミニアは彼女を信じて話を受け入れた、それは事実だ。


 けれども、それはあくまでもきっかけに過ぎなかったのだろう。

 行動の根底にあるのはそんな理屈じゃなくて、


「昨日も言いましたが、僕より優れた魔導師は大勢います。僕が君の力になりたいと思っているからといって、君が僕の指導を受ける理由はどこにも――」

「先生」


 ハッキリと。

 卑屈と自棄を押し殺し、精一杯の毅然な振る舞いによって、フィルミニアは相手の言葉を遮った。


 これ以上、彼の話を聞く必要はない。

 彼女の心は、すでに定まっている。


「――申し訳ありませんでした」

「オーグランドさん?」

「昨日は無礼な口を叩きましたわ。礼節を弁えない傲岸不遜、我が身のことながら恥じ入るばかりです」

「……いえ、僕は気にしていませんから」


 深々と頭を下げるフィルミニアに、ノートは優しく声をかける。

 許しは得た。しかし少女はまだ頭を上げない。その理由は、


「その上で、恥知らずな申し出を口にすることをお許しください」

「構いませんよ」

「――私に、魔術の稽古をつけてほしいのです」


 その願いに。

 ノートは僅かに目を細め、サーシャは微かに笑みを強めた。


「教育は心のつながり、と先生は仰いました。であるならば、友や恩師に見離された私にそれを行えるのは、そんな私に手を差し伸べてくれたノート先生を置いて他にはいませんわ」


 自らの弱さを認める発言を口にするのは、プライドの高い少女にとって、抵抗がないはずもない。

 けれど、だからこそ――それをしないという選択をこそ、彼女のプライドが許さなかった。


 初対面の折、フィルミニアがノートに対して抱いていたのは、間違いなく負の感情だった。疑念を持ち、軽視して、怒りを向けた。その思いを、嘘だったと言うつもりなど少女にはない。

 けれどもその後、自室で冷静さを取り戻した彼女の胸の中で膨れ上がった思いは『感謝』だった。同時に、記憶の中の彼の優しさが痛みとなって心を蝕んだ。


 ――優しさに縋るには、愚かさを清算しなければならない。


 それ故に彼女は、本来であれば必要のない頼みを口にする。そんなことをしなくても、ノートは指導してくれただろうに。

 それこそが彼女の意地――相手の厚意に甘えて筋を通さないことを嫌ったフィルミニアなりの、ケジメのつけ方だった。


「お願いします、先生――!」


 誰かに言われたからじゃない。

 彼女自身が、彼を頼りたいと思っていること。それを正直に口にする。


 少女の願いを正面から受け止めた男は、フッと微笑み、


「――はい、承知しました。こちらこそ、よろしくお願いします」

「っ、ありがとうございますわ!」


 満面の笑みを謝恩で彩るフィルミニア。

 少女のそんな表情から、まだ芽生えてすらいない想い(・・)の存在を感じ取ったサーシャは、




「ハッ! わたしの『乙女アンテナ』が反応している――!」




 などと訳のわからないことを言いながら、フィルミニアに期待(・・)の眼差しを向けるのだった。

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