第7話 ちょっとうざい
条件その5。
高級宿に泊まった事だとしたら、まぁ彼に会う為、いや、彼と情報交換をする為なら
半年に1回くらいなら泊まれると思う。
懐に優しくないから出来れば違ってほしいけど。
条件その6。
彼が彼女の家に泊まった事が原因なら酒弱すぎださっ!とか、泊まっても何もしなかったへたれとか
思われて嫌われない限り問題ないかな?
うん?事実を言っているだけだよ。そんなに怒らないで。てかもげろ。
条件その7。
宿のメイドさんが原因って事もないと思うんだけど、念の為にキープしておこう。
だいたい私がかわいい女の子が好きになったのは彼のせいだ。
半身たる彼がかわいい子ばかり見ているのが悪い。仕方ないでしょ?
明日はお互い酒を飲んで寝ようと約束し、そろそろ起きる事にしよう。
昼までに宿を出ないと連泊すると仕入れが厳しくなっちゃう。
ん?仕入れ?
ふと、私は彼が着ている服が気になった。
異世界の服だ。寝ていた時の服をそのまま着ている様子だ。
私はまぁ下着だけだが仕方ない。メイドさんと一緒に寝ているのだし。
何があったか想像すれば自然と服など脱げるだろう。てか見ないで。
裸じゃなかっただけよかった。と思いながらストレージから服を出して着た。
何故か話がそれたが、彼の服はかなり質が良い。
私の世界でなら金貨8枚以上で売る自信がある。
いや、デザインや希少価値を含めれば、金貨15枚でも売れるかもしれない。
でも彼の世界では紙のお金2枚くらいの価値だ。
彼が言うには「2000円」くらいらしい。
これを私が持ち帰れるなら凄い話じゃないだろうか?
ふと、思い出したが、この不思議空間でもストレージからワインを取り出せた。
という事は彼の服も持ち帰れるかもしれない。
早速相談してみたら上着を譲る事を快諾してくれた。
「ファンタジー」で「アイテムチート」で「成金」とか最高じゃん!とか言われた。
俺も何か魔法使えればなー
とか言うので試しにストレージの使い方を教えてみる。魔法じゃないけどね。
え?使えるの???彼の世界には「スキル」なんて無かったんじゃないの?
ストレージを開いて貰ってさっき出したワインを出し入れして貰う。
うん普通に使えている。
てか、中に何か入っているというので出して貰ったら私の服が出てきた。
私のストレージを彼が使っているというのが正しいのか、
彼と二人でストレージを共有しているというのが正しいのか…
…今日は驚きすぎて疲れた。
彼はテンションマックスで騒いでいる。
「ファンタジー」で「アイテムチート」で「成金」なだけじゃなく
「現代」で「アイテムボックスチート」なんてウハウハ過ぎるとか言ってる。
あ、ダメだ。もう起きる。
誰かが私を起こしている。
まだ騒いでいる彼に今夜も酒飲んで。早く寝てと伝え、私の意識は覚醒した。