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同居人

作者:BNC
ガチャッ

男は帰ってきたが何も言わない。ビニール片手にそのまま台所へ向かった。男は買ってきたプリンに名前を書いて冷蔵庫に入れた。この家では自分の買ったものには名前を書いて、他人の物は食べではならないのが暗黙の了解になっている。リビングでは妻がテレビを見ていたが、男が帰って来たのを確認するとそそくさと二階の自室へ向かった。昔からこうだった訳ではない。新婚時代はアツアツだったが、ある事がきっかけでこうなった。数年前、彼らはローンでこの一軒家を買ったのだが、ひとつ誤算があった。妻の体に問題があり、子供を授かることができなかったのだ。男が妻を責めたわけではない。自然と距離が出来てしまったのだ。

― 翌朝 ―

簡単に朝食を作って食べ、食後にコーヒーを飲みながら朝のニュースを見るのが男の日課だ。共働きで、妻の方は男が起きる時間よりも早く家を出る。朝は顔を合わすことは無いし、夜だってほんの少し顔を合わすだけ。最後に会話したのがいつだったかも男は覚えていない。子供を授かることができなかったせいで夫婦仲は冷めきっていて、二人は単なる同居人と化していた。

ガチャッ

男は帰ってきたが何も言わない。リビングでは妻がテレビを見たいた。男は台所へ行き冷蔵庫を開けるとボソッと呟いた。
「…無い」
ついに男の我慢が限界に達した瞬間だった。
「俺が昨日買ったプリン無いんだけど」
男が始めた久しぶりの会話は、妻に容疑をかけるものだった。
「知らない。自分で食べたんじゃないの」
妻はテレビを見ながら素っ気なく答える。
「んなワケねーだろ。シラフだったし昨日買ったんだぞ。オメェしかいねぇだろ」
男の語気が荒くなった。何もプリンが無くなっただけでこんなに怒っている訳ではない。男の買ってきた食べ物が無くなるのは日常茶飯事だった。それだけではない。男の部屋のモノが勝手に動いていたり無くなったりしていて、妻が男の部屋に出入りしているのは確実だった。一軒家をローンで買ったわけだし、離婚は考えていなかった。単なる同居人と割り切って生活していたが、我慢の限界を迎えた男は今までのことでも妻を責め立てた。一通り責め立てると妻が言った。
「あのさ、なに被害者面してんの?」
今度は妻の方が我慢の限界を迎えたらしく、今までのことで男を責め立てた。食べ物が無くなったり、部屋のものが動いていたり無くなったりということを妻の方も訴えた。しかし、男は納得いかなかった。何故なら、一度たりとも妻のものを食べたことは無いし、妻の部屋にも入ったことは無い。
「俺はやってない!」
「私もやってない!」
お互いに証拠のない水掛け論をしていると、上階から物音がした。
「何、今の音」
妻はそう言うと少し不安そうな表情を見せた。
「ちょっと見に行こう」
二人は二階へ上がり、各部屋を回った。しかし、音の出どころは分からなかった。
「何の音だったのかな。なんかぶつかったみたいな音がしたけど」
男がそう言うと、妻は上を指さして言った。
「屋根裏は?」
屋根裏部屋、今は全く使っていない。人が入れるような部屋ではなく、高さ50cm程の本当に物置のようなスペースだ。ネズミやハクビシンがいるかもしれないと妻は男に懐中電灯を渡し、見てくるように頼んだ。廊下の天井にある取っ手を掴んで梯子を下した。男は梯子を登り切ると固まってしまった。
「どうしたの?なんかいた?」
妻が様子を尋ねると男は言った。
「…誰だよ、お前」
この時二人は、見知らぬ同居人の存在を初めて知った…
音が鳴った時点でオチは分かりますよね…、ごめんなさい。
屋根裏にいたのが誰だか分かりにくいかもしれませんが、本当に見知らぬ人。屋根裏に居候していて、家の者がいない時に好き勝手やっていたホームレスのような人、という解釈です。一応後述で付け加えさせていただきました。

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