第32話ピュー・フォルテ・エスプロジオーネ
「全く。マサルは、いきなりこんなの渡すんじゃないわよ。勘違いしちゃうじゃない」
まだリリィの顔が赤くなっている。誤解は解けたみたいだ。
「ところで、ミキエルとエミリーの姿が見えないんだけどどこ行ったんだ?」
「ああ、あの2人なら報酬もらったからご飯食べに行くってさっきギルドに向かったぞ」
なんだ、先に行ったのか。なんなら、僕らもご飯を食べに……。
「おい、僕の服を引っ張るのではない。」
「君は何かを忘れているぞ。あの魔力の塊みたいな武器の存在を」
「え、明日でいいじゃんか。もうお腹すいたよ。あの2人も既に行ってるし行こうぜ」
リリィは腕組をし、笑顔ながら怒っている。そんな中、僕に向かってボソッと言った。
「私を侮辱した件は高くつくぞ。ポキポキ」
「ちぃ、分かったよ。それじゃ今から行くか……」
くそ、何も言えない。面倒だが行くしかない。
「ん?何か言ったか、言ったか?」
「なんでもありません。ロケットランチャーは持ちます。持たさせてもらいます」
太陽の明かりと月の光が交わるカタワレ時、僕とリリィは宿舎を出た。
「ところでよ。おすすめな場所はあるのか?こんなのぶっ放したら通報ものだぞ」
「だいじょーぶ。以前おすすめな場所は発見しているわ。もうピンときているところよ」
リリィがドヤ顔をして僕の質問に答えた。リリィの話は続く。
「以前、ゴブリンの討伐に行った際、見つけた廃城にぶっ放そうと思っているわ」
「あー。あったな。そういや」
確かにあった。誰も住んでなさそうな廃城が。人の気配もなかったし、いいかもな。
「それじゃ、善は急げだ。マサルついてくるのよ」
「ま、待ってくれーーー。 僕は飛べる機械なんぞ持ってないんだぞ」
リリィは先に行ってしまった。僕は必死で走る。くそ、終わったらご飯おごらさせてもらうぞ。
「遅いわね。やっと来たわね。早く早く」
目の前には廃城が見える。本当に人気のない場所だ。周りを見渡しても太陽の日は既に落ちており、月が見えてきている。いつ見ても雰囲気がある場所だ。
「ここか……、以前のゴブリン退治以降気になっていた廃城は。何か人気じゃない気配を感じるんだよな」
リリィがロケットランチャーを肩に抱き、満足気な笑みを浮かべている。
「マサル!!これってどうやって使うの?大砲みたいな感じだけど」
「うーん。普通なら砲弾を中に入れて、ぶっ放すんだけど……、砲弾とかないしな~。魔法銃と同じやり方でいいんじゃないか?」
僕はロケットランチャーをまじまじと見ながら、苦し紛れに言った。
リリィはふーんといった表情を浮かべ、肩に抱えたロケットランチャーを廃城に向けた。
「オッケー。マサル。魔法銃と同じやり方でやってみるわ。うぅ、マサルーーーー。いつもより魔力が大量に吸い取られるのだけど。大丈夫なの?うぅ、あぁん」
いつもは出さない声を出している。小さな身体からは想像はできないようなエロい声だ。
「顔が赤くなってるわよ。なんか想像した?この変態」
「考えすぎた。僕は大人でスリムな女性がタイプだ。特に髪の長い女性で、おっぱいがでかい女性だったらなお良い……、こっちにロケットランチャーを向けるのは止めてくれないか」
「うぅぅぅ、我が名はリリィ。この右腕に封印されし黒龍の魂を放出したまえ。我が主の魔力に加え、今の私を超え行く存在になれ。夜に纏いし炎の神を力の根源の主となり中越する者よ。我が前に統べよ。ピュー・フォルテ・エスプロジオーネ」
ロケットランチャーから出た魔法弾は廃城に向かい、周辺の壁に向かって想像を超えた大爆発を起こした。
廃城に立っていた立派なレンガの壁は瞬く間にチリとして消えた。




