諦めず前に進め
トライアングルLOVE3話目です。
家に帰って宿題をしていたら利菜から電話がかかってきた。
「もしもし?」
『利央。さっきは、その…。ありがと』
さっきとは、きっとあの「あーん」のことだろう。
『でも、そういうの、いいから。気にしないで』
「気にしないでって…」
『言ったでしょう?もう諦めてるのよ、私は。だから…』
「ならっ、なんでそんな苦しそうなんだよっ⁉︎諦めたくなんてないくせにっ‼︎」
『っ⁉︎』
気づくと俺は叫んでいた。
だって、あまりにも酷いじゃないか。
諦めたくなんてないのに、性別が同じというだけで諦めるなんて。そんなの…許せるわけない。
「諦めるなよ!突き進めよ!好きなんだろ⁉︎大切なんだろ⁉︎幸せにしたいんだろ⁉︎」
『っか…、簡単に言わないでよ‼︎あんたになんか解んないわよ!他国は違うかもしれないけど、日本はそういうのに理解が少ないの‼︎絶対白い目で見られるわ。私だけならいいけど、利真をそんな目に遭わせたくないの…‼︎だからっ…』
そこで、嗚咽が聞こえてきた。
あぁ、泣かせた…。なんで女子を泣かせるとこんなに胸くそ悪いんだろ…。
「…ごめん。浅はかだった。でも俺、お前の辛そうな顔見るの嫌だし、どうしても、諦めてほしくなんかないんだ」
『なんで。敵は少ないほうがいいでしょう』
「大切だから。利菜のことが。あ。もちろん幼馴染みとして」
『…馬鹿。……でもね、利央。諦めず前に進むことが、私にとってどれだけ辛いことか本当に解ってる⁇』
さっきとは違い、その声は諭すようなものだった。
「一応、解ってるつもり。だと思う」
『そう。…諦めず前に進め…か。耐えられると思う⁇』
「大丈夫だろ、利菜なら。強いから」
『お世辞なんて要らないけど?』
「お世辞なんかじゃねぇよ」
『あら、そう。ありがとう』
利菜はあくまでお世辞として受け取ったようだが、俺は本当に利菜は強いと思う。
だって、ずっと利真への想いのことを誰にも相談せず1人で抱え、隠しつづけてきたのだから。俺には絶対出来ない。
『…なら、頑張ってみよう、かな』
「あぁ。頑張ってみてくれ」
『…まさか、あんたに背中を押されるなんてね』
「なんか、不思議な感じだよな」
『本当ね』
電話越しに利菜がクスクスと笑うのが伝わってきた。よかった。泣き止んでくれて。
『…じゃ、また明日ね』
「あぁ。また明日」
俺は電話をきった。
思わず背中を押してしまったが、かなりの強敵を作ってしまった…。利菜に勝てるのだろうか…(汗)
…でも、悪い気はしない。むしろ清々しい。
「さぁて。頑張ろっ」
俺は再び宿題を解き始めた。
翌日、利真からとんでもないことを聞かされるなんて、この時の俺は知りもしなかった。
いや。もっと前に気づくべきだったんだ。
もっとも単純な事実に。
こんにちは。くまにゃんこです。
…あとがきって、いったい何を書けばいいのかさっぱりわかりません(笑)
さて。今回は利央が活躍しましたね。
利菜のことを説得してよかったのか、よくなかったのか…。あなたならどう思います⁇というか、あなたなら出来ますか⁇自ら敵を増やすような行為。正直、私にはそんな勇気ないです。だって、敵は少ないほうがいいですからっ‼︎(笑)
…では、次回も頑張りますので、応援よろしくお願いします。