どうしたら?
2話目です。楽しんでいただけるといいのですが…(汗)
頭を冷やしてから図書室へと戻ると、利菜が利真の解けなかった問題を教えていた。
今まではその光景は俺の目に微笑ましく写っていたが、利菜の気持ちを知ってしまった今は、微笑ましくなんて見えなかった。
『幸せにしてあげてね』
利菜の言葉が頭の中で響いた。
悲しそうな、でも、どこか怒りを含んだ利菜の声。
「……」
なんとも言えない気持ちでぼーっと2人のことを入り口から眺めていたら、利真が俺の存在に気づいた。
「利央?何してるの⁇」
「っえ。あ、いや…」
「まったく。利菜のこと見に行くって言って出ていったのに、利菜は1人でここに来るし、利央は帰って来ないしで心配したんだからね?」
「ごっ…、ごめん」
「うぅん。私が悪いの。いつもと違うルートでここに来たから、きっとすれ違っちゃったのよね。ごめんね」
利菜は申し訳なさそうにそう言った。すごい演技力だ。
「利菜は悪くないよ!悪いのは利央だもん」
しかし、何故利真は俺ばかりを責めるのだろうか…?俺、何かしたっけ⁇
「罰として、わたしと利菜の荷物持って‼︎」
「いや、なんで俺ばっか責めるんだよ⁇」
「なんとなく」
…テキトーすぎるだろ、その理由⁉︎
「理不尽だっ‼︎」
「利央。世界は常に理不尽なんだよ?」
「世界っていうか、利真が!」
「いいじゃん。持ってよー」
「百歩譲って利菜のは持つとして、なんで利真のまで⁉︎」
「利菜だけ持ってもらうなんてズルイでしょ⁇」
「そんな理由⁉︎」
なんて俺と利真が言い争っているのを、利菜は楽しそうな…でも、妬ましそうな…そんな複雑な顔で見ていた。
俺は、そんな利菜に気づかないフリをして利真との言い争いをしばらく続けたのだった。
結局利真に負けて俺は2人の荷物を持ってやることになった。
「なぁー。重いんだけどー」
「そっかぁ。大変だねぇー」
「頑張ってねー」
「……」
いじめだ。これは確実にいじめだっ!訴えてやるっ‼︎
なんて心の中で叫びつつ俺は黙々と2人の後を歩く。
「っあ。アイス食べたい…」
突然利真がそんなことを言い出した。
「アイス?」
「うん。食べたい」
「じゃあ、食べる⁇」
「うん!」
俺らはコンビニに入りアイスを買うことになった。
…はやく帰りたいんだけど。さっきから肩が痛くて泣きたいんだぞ俺はっ⁉︎
そんなこと知りもしない2人は「何にする〜?」と楽しそうにアイスを選んでいる。
まぁ、楽しそうで何よりだけどさ。
5分くらいかけてアイスを選びレジで購入した俺らはコンビニの駐車場の端に座った。
コンビニの中にある席は残念ながら埋まってしまっていたから。
「ふぅ…」
やっと荷物から解放された…!
「はやく食べようよ〜」
「あー。はいはい」
みんなでアイスを開け、パクッと同時に一口目を食べる。
「おいし〜」
「ね〜」
「…あー。でも、そっちも食べたかったなぁ〜」
利真が利菜のアイスをじーっと見つめながらそう言った。まっ、まさか…
「利菜。一口ちょうだいっ?」
予想通り利真はそう言い、「あ〜ん」と口を開けた。
おいおい⁉︎色々駄目だろっ⁉︎
ちらっと横目で利菜を見ると、利菜は…
「だ〜め!あっげな〜いw」
利菜は、笑顔でそう言っていた。
でもその笑顔には影があって…。どこか悲しそうで…。
その笑顔は見覚えがあった。というか、今まで何度も見てきた。利菜は今まで、何度もこんな風に笑っていたんだ。なんで気づかなかったんだろう⁇こんなに……こんなに、辛そうなのに。苦しそうなのに。
「…一口くらいあげればいいだろ?意地悪だなぁ、利菜は〜」
気づくと俺はそんなことを言っていた。
「そうだよー!一口くらいちょうだいよ意地悪〜!」
「っえ⁉︎あ…、うん⁇」
「わ〜い♪」
結局利菜は利真に一口アイスをあげたのだった…。しかも、「あ〜ん」で。
自分で言っておいて、少しイラついたが、でも、そのときの利菜の嬉しそうな顔を見てしまったら、そのイライラなんか何処かへ消えてしまった。そのくらい、利菜は幸せそうな顔をしていた。
諦めるなよ…
何処かで、そう思っている自分がいる。
利菜なら、十分に利真を幸せにできるだろ?なんで、やってみる前から諦めちゃってるんだよ?利菜らしくない…
でも、このまま諦めていてほしいと思っている自分もいる。
きっと利菜が本気になったら、敵わないから……。
「…どうしたらいいんだろ」
食べ終わったアイスの棒をぼーっと見ながら俺が無意識に言ったその言葉は、真っ赤に染まった空へと溶けて消えていった。
どうも、くまにゃんこです。
トライアングルLOVE2話目です。
ちなみに、利央の読み方は「りおう」ではなく、「りお」です。
読み間違えをしてしまっていた方がいらっしゃったらすみません(汗)
では、次回も頑張りますので、応援よろしくお願いいたします。