利菜の秘密
初めての作品です。拙い文章で読みにくいところなどがあるかもしれませんが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです。
私たち3人は、親同士の仲が良く家も近かったから、保育園の頃からずっと一緒にいた。
小学生のとき、クラスの男子に「付き合ってるのか?」などとからかわれたこともあったけど、3人揃って無視をしていたら、そんなこともなくなった。
私たちは、誰もが認める仲の良い幼馴染みだった。幼馴染みの、はずだった。なのに…。なんで、こんなことになっちゃったのかなぁ…⁇
どこまでも青い空をぼーっと眺めながら、俺は待ち合わせ場所の小さな公園の古びたベンチでスマホのゲームで時間を潰していた。
「おはよ、利央」
ちょうどゲームがひと段落したところで、待ち人の利菜が現れた。
「あぁ。おはよ」
スマホをポケットにしまい立ち上がり、利菜と並んで利真の家へと向かう。これは小学校の頃からの習慣で、始めに俺と利菜が集合する。そして、2人で利真を迎えに行く。学校へ行くのも、何処かへ遊びに行くのも。
何故そうなったのかは覚えてないけど。
「なぁ。お前今日の一限何?」
「体育」
「まじ?一限から体育ってキツくね?」
「まったくよ。信じらんないわ。4限にしてほしいわよ」
「いや。4限って、腹減ってるじゃん。それはそれでキツくね?」
「すぐに昼休みだから別にいいでしょ」
「あー。まぁ、そうか?」
なんて話していたら、あっという間に利真の家に着いた。ぽちっとインターホンを鳴らすとすぐにドアが開き利真が出てきた。
「おはよ〜」
「おはよう」
「忘れ物をないか?」
「たっ、たぶん」
「じゃ、行くか」
俺らは並んで学校へと向かった。
教室に入ると、親友の春樹が話しかけてきた。
「いいよなぁ、お前は毎朝女子と登校できてー」
「またそれかよ」
「だって、羨ましすぎるだろ⁉︎で、どっちが本命なわけ?」
「2人とはそんな関係じゃねぇよ」
春樹の話を軽く受け流しつつ、教科書を鞄から机へと移す。その間も春樹は1人でベラベラと話し続ける。
「オレだったらあっちだな!えっと、り…、りー」
「どっち?」
「背が高い方」
「利菜な」
「そう!利菜ちゃん!可愛いけど、適度にかっこよくて、頭もいい!」
「へー」
興味のない風を装っているが、内心ホッとしていた。だって俺は、利真のことが好きだから。もちろん利菜のことも大切におもっているけど、それは幼馴染みとしてであって、恋心ではない。…だから、たまに不安になる。2人への接し方に差が出てしまっていないか。でも、きっと大丈夫だと思う。だって利菜に何も言われてないから。それに、俺も十分に気をつけているし。
…って、あの時までは信じていたんだ。心から。馬鹿みたいに。
1日が終わり、俺と利真は利菜の委員会が終わるのを図書室で宿題をやりつつ待っていた。図書室は1年生のフロアにあるから、俺らの教室から1番近くにある、放課後自由に使える広くて静かな教室なのだ。
「遅いねー」
「そうだな…」
いつもは30分くらいで委員会は終わるのに、今日はもう45分くらい経っている。何かあったのだろうか?
「…まぁ、話が長引いてるんだろ、きっと」
とは言ったものの、やっぱり少し心配だ。
「……見てくるよ」
少し悩んだあげく、様子を見に行くことにした。
俺は図書室から出て、利菜の所属している緑化委員の委員会を開いている3年A組の教室へ向かおうとしたところで、ふと1年B組の教室の中に人影があることに気がついた。
「B組は、利真のクラスだよな…」
そっと教室を覗く…と。
「…利菜⁇」
利菜が、ある席を眺めていた。
その席は…、利真の席だ。
でも、どうして?
1人で困惑していると、利菜が利真の席へと手を伸ばし、愛おしげに撫で始めた。そして…
「利真…。私のものになってくれればいいのに…。私のものになってよ…」
と、ぼそぼそと呟く。その声はしかし、どこまでも、どこまでも悲しそうで……
「……っ‼︎‼︎」
俺はその場から走り去ろうとした。が、
ガタンっ
「……あ」
おもいっきり教室のドアを蹴ってしまった。
「っ⁉︎利央…」
「えっと…。その……」
利菜は驚きと焦りの混じり合った顔で俺を見て、口をパクパクさせる。しかし、すぐに落ち着きを取り戻し、静かな声できいてきた。
「…見てた?」
「…うん」
「じゃあ、もう、わかってるわよね?」
「お前は、利真のことが…」
「…えぇ。好きよ」
利菜は、利真のことが好き。…でも。
「お前女だよな?」
「あら?知らない?レズって言うのよ?」
「レズ…」
聞いたことはある。女のことが好きな女のことだ。でもまさか、こんな身近にいるなんて。しかもそれが、幼馴染みだなんて。それに、ライバルだぞ?
認めたくない。利菜がレズだなんて。
「冗談だよな?俺をからかってんのか?」
「本気よ。小学生の頃からずっと、利真のことが好きだった」
「……」
「でもね、私じゃ利真のこと幸せにできないから、諦めてるのよ」
「……っは?」
「利央も利真のこと好きなのよね?…幸せにしてあげてね」
それだけ言うと、利菜はさっさと教室を出ていってしまった。
「……え?えぇ⁇」
ちょっと待て。どういうことだ。
諦めてる⁇俺が利真を幸せに⁇
ってか、なんで俺が利真のこと好きってバレてるんだよ⁉︎言ってねぇぞ⁉︎
……流石だなぁ。ほんと、敵わない。
って、問題はそこじゃない。
レズって……。
「…利菜」
ずっと1人で抱えてたのか⁇小学生の頃から⁇それって、辛くないか⁇
相談してくれればよかったのに。いや、でも、俺も利真のことが好きなわけで。…ライバルなんかに、相談はできないか。
「……ごめん、利菜」
夕焼け色に染まった教室で、俺は1人、呟くようにそう言った。
はじめまして。くまにゃんこです。初めての作品なので、拙い文章だとはおもいますが、精一杯書いたので、楽しんでいただけましたら幸いです。これからも頑張っていこうと思いますので、応援よろしくお願いいたします。