2
投稿して一日目で今後の期待をしているという感想とブクマがありました。暇を見つけては頑張って書き上げて投稿するので、これからもよろしくお願いします。
俺は前にも話した通り、こっちに来た当時は17歳、高校二年生だった。
転移したときのことは何気に覚えている。学校が終わり、珍しく部活が休みで、またまた珍しく悪友が遊びに誘って来ることなく、そして、柄にもなく真っ直ぐに家へ下校していたら、落ちてここにいた。
どうやら、珍しいことが重なると時に奇想天外なことが世の中では起こるらしい、と俺は現実逃避気味にそんなことを考えていたのは鮮明には覚えているが…。
それはさておき、ここまでが口頭で話せる部分だ。後の展開は、口頭で言うにはきついぐらい波乱万丈だった。だから、記憶を振り返っていこうと思う。主観がほとんどだが、まぁ気にしないでくれ。
___________________________________________________________________________________________________________
キーンコーンキーンコーン
授業終了の鐘の音が鳴る。そして、これは今日一日の授業全部が終わったことを意味する鐘の音でもある。普段なら、この後は帰りのホームルームを受けてから部活にいくのだが、生憎今日は休みだ。何でも顧問の先生が私用でいなく、尚且つグラウンドが使えないらしい。
しかし、今、家に帰っても一つしかやることがない。それさえも時間潰しにならないので、これといった趣味もなく交友関係の狭い俺はあまりしたくないが最終手段に打って出ることにした。
「…………えっ?いつも暇を持て余しているしかないお前が今日に限って一緒に遊べない??」
「おい、ちと待てやゴラァ!!お前さりげなく毒吐いたな?!お前、いくら親友でも言っていいこt………」
「そんなことよりよ、毎日人に部活をサボらせてまで一緒に遊ぼうとするお前が今日はどうしたんだ?」
「…そんなことって……、まぁいい。とにかく聞いてくれよ。『やだ。』実はな、…っておい!振っておいてそれはねぇーよ!!
…ったく、聞くなら最後まで聞けや!それでだ、実は俺…今日、デートなんだよ!!コ・ノ・ア・ト!!」
「フーン、それは良かったな。おめでとう。」
「あれ?思ったよりも驚いていない……。
いやぁ、そこはもうちょっと大袈裟にでも驚いたりして、せっかくの友人の門出を盛大にいw…………」
参ったなー。毎度、あまりのしつこさに最近は殺気を覚え始めるほどの勧誘をしておきながら、肝心な時には他の用事があるとか勝手気ままな野郎だ。
なんか後ろが騒がしいがまぁいいとして、これからどうしようかな……。しゃーない、おとなしく家に帰るか。
で、現在進行形で帰宅中なのだがとりわけなんにもない。あの悪友は勿論、知り合いにすら会わない。あ、でも、この前のコンパの撫子ちゃん(仮名)はいいや。凄く美人さんだったけど、とにかく怖い。おかげで、クラスの女子でだけでなく御袋の笑っている顔ですら鳥肌が立ってやまない。
こんなくだらないこと(前者はともかく後者に関しては本人にとってはある種、死活問題となりつつある)を考えて歩いていると、足の裏の感覚が消えた。消えたというよりはなくなったというべきかな?まぁ、驚いて足元を見れば、底が真っ暗な穴、落とし穴っていうものが大口を開けて俺を待ち受けていた。
いや待て、コンクリートの道を歩いていて何故落とし穴が?
そう、考えているうちに終着点へ到着です。お降りの際には、足元にご注意下さい。っておせぇよ。そういわれる前には地面とキスしちまったよ。何が足元注意だよ!注意しても落ちるじゃねーか!
顔面ダイブの痛みのあまり、そんなよくわからない一人脳内漫才を始めた俺は周りを見渡すと、あらゆる面が土で、唯一上から光が差し込む…………
ということもなく、見渡す限り辺り一面、爽やかな緑一色の草原があった。まぁ、上から燦燦と太陽の光が降り注ぐ点に関しては間違いはないのだが。
それはさておき、まずここは何処?俺はさっきまでコンクリの上を歩いていて、誰が掘ったかわからない落とし穴に嵌った。普通、穴の中に落ちたのだから周りは土の壁のはずだ。その上には閑静な住宅地とコンクリでできた道があるはず。だが、視界に捉えるのは青々と茂る草原一色だ。意味わからん。だが、悩んでいても助けは来ない(しなくても来ないと思うが)。なら、ただ行動あるのみ。まずは、街を探そう。最悪、道ぐらいは見つけないと……。
____________________________________________________________________________________________________
思考も行動も迷走しておよそ数時間が過ぎたと思う。お気づきかもしれないが、街はおろか獣道すら見つけていない。てか、この草原地帯を未だに抜けていない。街とかじゃなくても森の一つや二つ見えたっていいのに姿を現さない。
しかし、さっきから思うのだがひたすら気持ち悪い。なんか、体の中に異物が入り込んで蠢くような変な違和感がさっきから纏わりついていて動くのがすごく億劫だ。
それで、原因を考えてみたら思い当たる節があった。
実は一つ言うと、今日昼飯を食いそびれた。弁当を忘れ、ついでに財布も忘れて、購買や学食にすら行けなかった。さらに、もう一つ。朝飯も食いそびれた。理由は寝坊だ。そう、寝坊が原因で連鎖的に不幸なことが続いていく。
で、何が言いたいのかというとそろそろ腹が空きすぎて限界が訪れそうだということだ。今の時間は本来なら晩飯食べて、日課のランニングをこなしている頃だから、そう考えるとこれで三食を抜いたことになる。やばい、倒れそう。考えてみよう。育ち盛りで部活していている高校男子が三食も抜いたらどうなるか。死ぬ……、とまでいかなくても空腹のあまり倒れて動けなくなると思う。
だめだ。もう限界だ…。ふらふらして仕方がない。もう、歩くのも面倒だし、一回そこの草むら辺りで寝っ転がって休もう…。
瞼が重い…。太陽はあるけど、本来なら寝てる頃なのかもな…。仕方ない、気は進まないが寝ることにしよう。次、起きたときにはこの…悪い夢から……目が…覚めてれば………いい…な………。
___________________________________________________________________________________________________________
「あらあら?あなた、こんなところで男の子が眠っているわよ。」
「む?本当だな…。どうしてこんなところで?」
「………かえ…りたい……。ここは……どこ………。」
「ん?起きたのか、青年よ。」
「いえ、あなた、どうやら寝言みたいね。」
「ふむ、どうやら何かわけがありそうだな。」
「ええ、そうみたいね。我が家まで運んでいきます?」
「頼めるか、エミリア?」
「勿論、任せてくださいな。」
「すまないな、エミリア。愛してるよ。」
「もう、この子が起きてたらどうするんですか。でもまぁ、私もですよ、あ・な・た。さてと、えい!さぁ、我が家まで行きましょうか、あなた?」
「ああ、そうだな。ベットに寝かせて様子を見ないとな。」
「ええ、世話も任せてくださいな。」
「うむ、頼むぞ」