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俺が求める平穏はいったいどこに…  作者: gokazoo
ルドワール学院編入編

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 この場をお借りして謝罪しなければならないことがあります。実は、前話で主人公の鳥肌設定を入れ忘れており、投稿の数時間後に急遽修正を行いました。修正をする前に本作品を見て頂いた方々は特に申し訳ありませんでした。

 また、他にも訂正等を行っているところですので、その点をご了承ください。この度は誠に申し訳ありませんでした。

 フローラさんの笑顔と優しさに鳥肌を立たせながらも感動して心を癒されていた俺だが、突如チャイムが鳴って周りが慌ただしく動き始めたので、フローラさんの手を離すと授業に関してどうすればいいかわからず、早速彼女に尋ねることにした。


 「なぁ、フローラさん。俺、授業に関して全く聞かされていないんだけど、どうすればいいかな?…フローラさん?」


 尋ねてみたものの返事がないので、フローラさんを見ると何故か自分の手を見つめて握っては開いての繰り返しをしていた。更に、途中途中で溜息を吐いているようで、何か思い悩んでいるのだろうか?何を思い煩っているかわからないが、こちらも今後の学院生活が懸かっているので、申し訳ないが声をかけ続ける。


 「フローラさん?…フローラさん!フ・ロ・オ・ラ・さ・ん!フローラさん、やーい!」


 駄目だ…。反応がない…。手を真ん前で振っても反応がないのだから、これは困った。

 俺は仕方なく彼女の肩に手を置いて揺さぶりをかけながら声をかけた。


 「ブランシャールさん!!」


 「うぇ?ひゃあああ!!なになになに?!ど、どうしたの?!」


 「どうしたも何も、俺がいくらブランシャールさんに声をかけても上の空だったから、肩を揺さぶったわけなんだが。どうした?何かあるんだったら他を当たるが?」


 ようやく気が付いてくれた。もし、それでも反応がなかったら、職員室に授業のことを聞く序でにブランシャールさんを保健室へ担ぎ込む羽目になるところだった。


 「い、いや、何でもないよ。それで何かな?」


 「だから、俺、授業について全く聞かされていなくてな。ブランシャールさん以外の皆は既にどっか行ったみたいだし。一限は皆外か別教室で授業を受けるのか?」


 「そうだね。皆はそれぞれ自分の選択した授業を受けに行ったんだよ。」


 「選択?…じゃあ、ブランシャールさんは?」


 「私は一限が休講みたいで手持無沙汰なの。…それよりもさっき思ったんだけど、なんで名前じゃなくて苗字でいつの間にか私を呼んでいるの?」


 どうしてか、少々怒り気味のブランシャールさん。


 「い、いや、さっき名前を連呼しても反応してくれなかったから名前呼びは嫌なのかなと思って。」


 「さ、さっきのはちょっと考え事をしていて、決してカワヒラ君のことを無視していたわけじゃないの。」


 「そ、そうなのか。」


 「そう。だから、これからは名前で呼んで。」


 「えっと、フローラさん?」


 「駄目!さんもいらない!呼び捨てで!」


 「お、おう。…フローラ。」


 「うん。」


 さっきまでとは打って変わって、ご機嫌になるフローラ。天使のような可憐な笑顔を見せてくれるのはいいが、鳥肌が立ってしまうのでできれば控えていただきたい。…などと言えるわけがない。せめてもの意趣返しだけはしておこう。


 「じゃあ、俺だけ一方的に呼び捨てにするのも気が引けるから、フローラも名前で呼んでくれ。」


 「え?…えっと、トシヒデ君?」


 「君はいらない。呼び捨てで。」


 「…トシヒデ。」


 「おう。」


 彼女と俺は顔を見合わせる。


 「「……プッ!」」


 そして、互いに吹き出して笑いあった。…ああ、鳥肌が!!

 何やかんやで笑い合いが止まり、本題へ入る。俺は鳥肌のせいで若干冷や汗を掻き気味ではあったが。


 「それで、俺はどうすればいいんだ?」


 「うーん。まず、聞くけど中等部二年の授業形態はどうなっているか知っている?」


 「いや、知らないな。」


 「じゃあ、まずはそこからだね。幸い、私、一限は休みでフリーだから大体を教えるよ。」


 で、フローラから聞く話を整理すると中等部は応用授業を学ばせることに重きを置いているらしく、午前は己の興味・関心、伸ばしたい或いは覚えたい能力によって授業を選択させているらしい。一コマ90分、午前はそれが二コマあり、間に10分の休憩を挟む。二限目の終わりが11時半で、そこからぴったり一時間昼休みが入る。で、12時半から三限として90分授業が一コマ入り、10分の休憩を挟んだ後、四限として50分の教養授業がクラスで行われる。要は一・二・三限は90分の選択授業、四限は50分の教養授業、昼間に一時間、他の授業間に10分の休憩があるというわけだ。学院の一日は午前8時20分から開始し午後3時に終了する。


 教養授業は国語、算術、地理・歴史、基本戦術、基礎戦略の五つあり、週一で教えられていく。因みに、この世界の週感覚は七日で、順繰りに火、水、風、土、光、闇、聖となっている。で、そのうち火から光までが平日として先述した授業形態が実施されている。闇と聖は休日であり、生徒は各々休みを満喫する。まぁ、それはさておき、教養授業に関しては問題ない。時間までに自分のクラスに居ればいいだけの話だ。


 それよりも問題は一・二・三限の選択授業だ。普通は入学又は始業式から二週間以内に受けたい授業に登録申請をしておかなければならないのだが、何せ俺は編入で入ってきた身である。そんな期間、うの昔に過ぎている。では、どうすればいいのか。


 実はそれほどに悲観するものではなかったらしい。編入生は編入した日から二週間の猶予が設けられているらしい。つまり、今日から再来週の今日まで授業を見学し、選択することができるわけだ。




 「……というわけだよ。わかった?」


 「ああ、大体は。」


 やっぱり、フローラの提案に乗っかっておいて良かった。随分と手間が省けた。


 「じゃあ、後は学院の主要な施設だけでも案内するね。」


 「そこまでしてもらっていいのか?」


 流石に頼りっぱなしっていうのも駄目だろう。折角の時間を俺なんかのために使うなんて、至れり尽くせりなんだけどさ。


 「うん。言ったでしょう。困ったら私がアドバイスしてあげるって。だから、私が暇な今のうちに教えられることは教えておかないとね。私はいつでもトシヒデの頼み事に応じられるわけじゃないし。」


 「…そっか。そういうことなら、今のうちに言葉に甘えておこうか。よろしく頼むよ。」


 「うん、頼まれました。」


 フローラはにっこりと笑って返事してくれた。おかげさまで、落ち着き始めた肌がまた粟立つ。が、笑顔で俺を案内しようとするフローラを見て、どうでもよくなった。





 本作を見ていて気付いたことや誤字脱字の指摘があれば、遠慮なく、していただけると大変ありがたいです。

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