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俺が求める平穏はいったいどこに…  作者: gkzy
プロローグ
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1

初めての投稿になります。わかりづらいところなどあれば、是非とも指摘等送って下さい。

 突然だが、君たちは「平穏・安寧・平和」といった言葉が示す物事は好きだろうか?俺は物凄く好きだ。愛しているといってもいい。それらを守るため、あるいは、奪い返すためなら自分の命を惜しみなく賭けられるし、そのために死ぬなら本望だ。


 そんな他愛もないことを考えつつ、くわでザクッと音をたてながら畑を耕すのは、それらをを愛して止まない男、俺こと、川平俊英かわひらとしひでだ。

 ちなみに、絶賛一人暮らし中だ。それにしても、あぁ、平穏は素晴らしい!もう一度言おう!

 H・E・I・O・N・Nは素晴らしい!!大事なことだから、二度言わせていただきました。


 いやー、のどかな場所で悠々自適に畑仕事とは、昔と比べものにならないくらい幸せだ。周りは見渡す限り、辺り一面野原である。あっちには、俺が建てた家があって洗濯物が干してある。人っ子一人もいない。


 そう、まさしく、絶賛「一人暮らし」中である。

 生活用品などはできるだけ自力で作っている。まぁ、どうしてもの時は、近くの町に買出しに行っているけどな。金はちょっと昔、一生遊んでも困らないぐらい稼いでいたのでたくさんある。

 

 さて、ぶっちゃけると俺は日本にいない。外国にいるわけでもない。ていうより、地球にすらいない。

そう、異世界にいる。何故かは知らない。気づいたらいたのだ。ちなみに転移のようだ。転移したときに容姿を見ることができたので、見てみると転移前と何ら変わりない姿がそこにあった。

 

 どんな姿かというと、178cmという日本人にしては高身長で、スポーツをしてきただけあって締まった体つきをした、当時17歳の青年がいた。そう、転移したとき、俺は高校二年生である。

 

 今は八年の歳月を経て、25歳を迎えた。言ってみてなんだが、結構経っているな。

で、顔の美醜は、友人によると上の下あたりらしい。俺には顔の良し悪しなんてさっぱりわからないが、友人による女の子の勧誘ナンパとかコンパとかにはよく出しに使われていたことを思い出す。結局、俺を出しに女の子を誘い出すのに成功しても見事なまでに玉砕してた。一番凄かったのは、ドストライクの女の子がいたとき、しつこすぎるほど話しかけるもんだから、その子がキレてあいつの頬に綺麗な平手打ちをしてそいつの頬に全治三日のモミジを残したことだ。


 その子は重いものといえば箸と茶碗と答えそうなぐらいの華奢な体で、上品に振る舞い淑やかな雰囲気を醸し出していた。一言で表すなら、大和撫子。


 そんな子がビンタで軽々と人を飛ばして、そいつを見ることなくこっちに見苦しい姿を見せましたと何もなかったように微笑んで謝ってきたことは、今でも多大なるトラウマとして残っている。


 極めつけは大男背負い投げ事件だ。ヒリヒリと痛むであろうその頬をさする友人を尻目にナンパしたその子たちと歩いていると、いかにも柄の悪いおにいさま方に(十中八九その子を狙った行為で)絡まれたのだが、先ほどの友人と同じパターンでリーダー格(俺より図体が縦にも横にも大きかった)がその子にしつこく言い寄り、見惚れるほど綺麗な動作で背負い投げされたことで背中を地面に叩き付けられ、白目で気絶し、その子の一喝で他のおにいさま方が恐れをなして逃げた昔の思い出だ。


 その子はまたもや何事もなかったように、こっちに向いてにっこりと笑って謝るもんだから、さすがに友人も顔を引き攣らせていた。俺はそれが災いして女性の笑顔を見ると無条件で全身に鳥肌が立つ。


 さて、そんな俺に訃報が届く。いや、知ってしまったというべきか。実はこの世界は有り体にいえば女尊男卑の世界だ。人口の男女比は4対6で女性が多く、女性のほうが優れていることから、そういう価値観が存在し根付いている。俺もこっちに来た当時は驚いた。道行く人の大半は女性で数少ない男性陣は道の端を暗い目をし、顔を俯かせながら歩いているのだ。

 

 女性は何が優れているかというと「魔法」が男性より扱える。男性は男性で女性より筋力は高い。が、しかし、「魔法」には『身体強化』というジャンルがあり、名の通り身体能力を強化する「魔法」が存在している。そして、それは「魔法」に対して多少の才があればいとも簡単にできるというお手軽さで、尚且つ効果は最低でも成人男性の筋力値を軽く超える。そのうえ、厄介なことに男性にもこの「魔法」は扱えるが女性には到底及ばない。無論、誰でも簡単に扱えると評価される『身体強化』でさえ扱えないのだから、他の魔法の技量についても頑張って中級の魔法を扱えれば凄いほうだ(無論例外などは存在するが…)。そして、魔法を扱える数はほんの一握りだけだった。つまり、男性は女性より身体の基本スペックが高いという優位性アドバンテージを魔法によってあっさり覆され、女性には逆立ちしても勝てない状況が生み出された。こうした状況が続けば、女尊男卑という価値観が根付くのも良い悪いはさておき無理はないとは思うのだが、このことに拍車をかけるが如く「気」という存在が現れた。

 

 「気」とは、魔法に似て非なるものであり魔法と対を為すものだ。「気」という存在が発見されていなかった頃は、魔法に対抗できるのは魔法だけと考えられていて魔法至上主義が世の中に浸透していた。そんな中で、当時の持たざる者として見下されてきた者たちが、長年の研鑽と弛まぬ努力によって見出したのが「気」だ。「気」を纏った攻撃は魔法をも破り、防御は魔法の攻撃にも耐えた。身に纏えば身体強化にもなる。これは、当時の世界観すら一変させた。今まで見下してきた者たちが魔法以外の方法で肩を並べてきたのだから、それに対する騒動はあったらしいが現在では広く受け入れられている。


実を言うと「魔法」と「気」は一つにそれぞれが存在できるが、両方発現することはできない。「気」は触れると「魔法」であれば打ち消そうと作用し、逆に「魔法」は「気」に触れると打ち破ろうとはたらく。このことは未だに解明されておらず、研究が行われている。

 

 さて、当時の男性はこぞって「気」を習得しようと躍起になったが、わかったことは男という存在の女性への無力さとそのことに対する深い絶望だった。

 習得できなかったわけではない。習得できた者はいたにはいた。が、魔法と同様に習得できた者はただでさえ少ない男性のうちの極僅かしかおらず、発揮できた威力は中級程度の魔法を打ち破り防ぐのが精々といったところで、女性が持つ優位性に一片たりの影響も与えるに値しなかった(同じく例外はあるが…)。むしろ、社会における女性の立場をより強くした。前に話した通り、「魔法」と「気」は相容れぬものといったがそれは才能の面でも如実に現れていた。実は、「魔法」の才に乏しい、いわゆる当時の「落ちこぼれ」と呼ばれていた者ほど「気」の才能に恵まれていた。これが男たちにとって仇となった。「魔法」を扱える男性と同等数の男の「気」の使い手が現れたが、女性もまた「魔法」を扱える人の分だけ「気」を扱える人が出てきた。それは、魔法至上主義を覆したが女尊男卑主義には拍車をかけた。


 まぁ、この世界の情勢とやらは、またの機会に追々話すとして、俺は今人生を満喫している。異世界こっちに転移してから今日までの八年間は激動の日々でとにかく大変だった。それに比べ、今はなんて素晴らしい生活なんだろう!ってぐらいにやばかった。


まぁ、ともあれ、聞いていってくれ。俺の過去八年間を…










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