表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔闘士シェラハ  作者: ミーネ
学園初等部編
5/49

幕間01話

僕にはシェラハという幼なじみがいる。

シェラハは透き通る短めの青い髪と深く濃い青の瞳の凛々しい感じの綺麗な女の子だ。

家族ぐるみの付き合いで凄く小さい頃からよく一緒にいるけど、三歳位の頃からちょくちょく変わった事をし始めた。

色んな本を片っ端から読み始めたり、魔力と闘気の訓練を始めたり、皆で部分的に魔物が排除された海に海水浴に行った時も、魔法を使って一人潜水や波を操ったりしていた。

僕はシェラハが心配で、そんなシェラハをよく見ていたのだけど、そしたらシェラハが興味があると勘違いしたのか「ローレンもやってみる?」と聞いてきた。僕は思わず「うん」と言ってしまった。

それからシェラハ独自の訓練法を一緒にやり始めたけど、シェラハは闘気で身体強化しながら魔法を使えという。はっきり言ってそんなことは無理である。まあシェラハは出来ているけど。

そのことは何とか許して貰い、僕は闘気の方が魔力より使い易かったので闘気のみを伸ばす事にした。

少し闘気による身体強化に慣れた頃、シェラハと戦闘訓練をするようになった。結果僕は盾の使い方と闘気の身体強化による防御のみ上手くなった。

街の近くの森で魔物と戦ったりもしたけど、シェラハの攻撃の方がよっぽど怖くて、魔物が全然怖く無かった。

シェラハは一度何かに集中し出すと、他の事が目に入り辛くなるようだ。それからもシェラハに付き合いつつ日々を送っている。





「俺はユリウス、よろしくな!」


「ローレンだよ。よろしく」


今は学園の男子寮のこれから住む部屋だ。

ルームメイトのユリウスは元気で人当たりも良さそうで、人見知りの僕からすると羨ましい。

それから少し話していたが、晩御飯の時間になったので食堂に向かった。

「うめーな!」


「うん」


食堂の食事は種類も多く、味も美味しかったが、僕はシェラハが作ってくれた料理の方が美味しいと思った。




入学式が終わり、シェラハ達の買い物に付き合う事になって、今は武器屋に来ている。


「なあ、ローレン。お前何の武器使うんだ?」


「んー?どうしようかな?決めてなかった」


「何か使った事あるのとか無いのか?多分実習で選ばなきゃいけないぞ」


「ちょっと剣を使った事あるけど、ほんのちょっとだし。うーん?考えとく」


シェラハとフィアナは別の所に居て、ユリウスは少し話した後、自分が使う大剣を見に行った。

どうしようかな?盾だけって訳にはいかないだろうし。…考えとかないとな。


短槍にした。先生との模擬戦で殆ど攻撃出来なかったけど、使い易くはあったので、これから使いこなせるように成りたいと思う。

何故かシェラハは闘気レベルで嘘を言っていた。まあ、どうせ直ぐバレるだろうし気にしなくていいかな。


今は闘気術の初めての実習中だ。ユリウスと模擬戦をする事になった。

ユリウスの大剣は重くて、速い。只、多様さと意外さが無い為、防ぐのは出来る。

でも、僕の方は攻撃しても簡単にかわされてしまう。これから槍の練習をきちんとしないとな。

ユリウスと模擬戦をやってると、シェラハが居る方がちょっと騒がしかった。…あー、やっぱり直ぐバレた。シェラハは夢中になると周りを気にしなくなるからなあ。

でも、大斧なんて使うんだ。魔法と只の木の棒だけで、何とか少しの間、防げる様になって来たのに、…怖いな。


魔術の実習は、話を聞いて、ちょっと初級の土魔術を使うだけだった。

シェラハに教えられたのより簡単だけど、それでも闘気と一緒に扱えそうに無かった。

本当、シェラハはよくこんな事が出来るなぁ。


一般科目の授業も始まって、ユリウスは結構ヤバそうだったけど、僕はシェラハに偶に勉強を教えて貰ってたので大丈夫だった。

ひと月が経って、僕は戦士科に行く事に決めた。シェラハは魔具科に決めた様だ。戦士科で頑張って、何とかシェラハに追いついて、シェラハを守れるようになりたいな。


今、僕達はトロート山の麓の村に来ている。シェラハやフィアナと別れ、ユリウスと一緒に武器を見に来た。


「おぉー、凄いな。フローリアより全然多いや。」


「うん、取り敢えず僕は盾かな」


お金はシェラハと魔物を倒していた分が、ある程度ある。ミスリルの魔法武具とかは手が届かないが、鋼鉄の装備位なら大丈夫そうだ。

僕は鋼鉄の小さめの盾と短槍を買った。

ユリウスは二つの大剣を見比べて迷っているようだ。


「外で待ってるから」


「おお」


…遅い。先に外に出て、他の店とかもちょっと覗いていたのに、まだユリウスは出て来ない。というか体勢に変化がない。それから少し待っていると、シェラハ達がやって来た。

冒険者ギルドに行っていたシェラハが言うには、魔物が増えているそうだ。大丈夫だろうか?

その後、シェラハも武器を買って、ユリウスを置いて宿に帰った。


次の日、山でミスリルゴーレムと戦う事になった。少し危ない所もあったけど誰も大怪我する事なく勝てた。


山から戻って、今日は初の戦士科の授業である。先ずは自己紹介を兼ねた模擬戦をするらしい。

レベルの高い順に二人組みになって、低い方から短い時間模擬戦を見せる。僕は上から三番目だった。四番目はユリウスだ。

僕達の模擬戦はいつも通りに終わった。ユリウスとは良くやっているので、成長がよくわからない。槍も少しは上手く使えるようになったと思うが、どうだろう?

僕達の後に、レベルが一、二番の二人が模擬戦をする。


「キャロル=ジルエッジです。闘気レベルは18です。宜しくお願いします」


「シュラ。闘気レベル18だ」


簡単な自己紹介が終わって模擬戦が始まる。木剣と木の盾を持ったキャロルと木刀を持ったシュラ。

シュラは身体も木刀もどちらも動きを追うのがやっとの速さで斬りかかり、キャロルはそれを剣と盾で落ち着いて防ぎながら、偶に反撃もしている。

短い時間だったが、どちらも凄かった。


戦士科としての初授業が終わった後、ボロボロになった武器を直して貰う為、フローリアの鍛治屋にユリウスと二人で向かう。


「なあ、もしミスリル鉱石で、強くして貰えるなら、魔法武具にしてもらえたりするかな?」


「どうだろ?でも、シェラハはやめといた方が良いって言ってたよ」


「ん?何で?」


「何か装備ばっかり良くしても、強くはなれないって。今の時点でも良すぎる位だって」


「…ふーん。そういえば親父も似たようなこと言ってたな」


「どうする?」


「まあ、今回は止めとくか」


「そうだね」


鍛治屋で武器の修復だけを頼んで、寮に帰った。ミスリル鉱石もそのまま持って帰って来た。

いつか、シェラハに頼んでみようかなと思っている。


今日はシェラハに励まされた?と言うか打ちのめされた。

今日、戦士科の実習でシュラとの模擬戦が有った。僕は手も足も出ず、やられてしまった。レベルは1しか違わないのに、全然適わなかった。

落ち込んでいたのが直ぐに判ったのか、シェラハと合流した時、直ぐに模擬戦の事を訊かれた。

正直に有った事を話すと、シェラハと勝負する事になった。

結果、先ずはユリウスが剣を折られた。そして僕も盾を弾き飛ばされ、槍を折られた。木で出来ていると言っても、強化もしているのに、簡単に折られて負けた。

遊び半分って本当だったんだなぁ。

ユリウスと武器を新しい物に替えた後は、二対一で何度もシェラハと闘った。

ユリウスは斬りかかるとシェラハの斧で受け流され、何度も弾き飛ばされていた。

僕はダメージの大きい物と小さい物を混ぜた、十数本の氷の矢を一斉に、または時間差で放たれ、力の大きさを見極め、危ない奴を確実に防ぐよう言われた。

その日、何度も矢をもらい、何とか防げるようになったが、終わりに次は倍に数を増やすからと言われた。

…はぁ、次は三日後か。それまで頑張っておかないとな。

次の訓練の時、倍の数を何とか防げるようになり、次は斧での攻撃も混ぜると言われた。

斧と氷の矢の攻撃を防げる様になるのに、それから約1ヶ月が掛かるが、それを防げるようになっても、他の魔法や斧の攻撃に変化を付けられると、直ぐにやられてしまう。

シェラハに勝てる日が来るんだろうか?


氷の矢を倍に増やされた数日後、シュラとの模擬戦が再び有った。

今度はシュラの動きに惑わされることなく、闘気に注目する。威力の少なそうな攻撃は槍で防いだり、身体で受け止めたりして、急所を狙った物や威力の高そうな攻撃は、盾で確実に防ぎつつ、弾き返したり受け流したりして、相手のバランスを崩す事を目指す。

バランスを崩せたら、槍で素早く突く。

この戦法で闘った所、何度か痛い攻撃を受けたが、こちらも槍を当てる事が出来、引き分けレベルの状態まで持ち込めた。

後は、もっと槍の使い方を訓練し、盾での攻撃等も訓練するべきだろう。闘気の方は、圧縮が出来る様にはなったが、戦闘中に実践出来ない為、もっと訓練しないといけない。

でも、前とは全然違う闘いが出来たので、嬉しいな。


僕とシュラの後はユリウスとキャロルの番だった。

ユリウスも前とは違い、有効打こそ無いが、完全に盾で受け流されること無く、盾で防がれても相手の体勢を崩し、反撃をさせない様な攻撃を繰り出していた。

ユリウスも結果が出せているみたいで良かった。

授業が終わって、帰り道。


「俺ら、強くなってるよな」


「うん」


「でも、シェラハには負けるんだよなぁ」


「まあ、最初は二対一でも勝てなかったけど、今は一対一だし」


「そうだな、いつか追いつけるよな」


「…さあ?」


「いや、そこは頷くとこだろ」


「うん」


いまいち自分に自信が持てないまま、再戦の日は終わった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ