09:聖域をでて2時間でラスボスとエンカウント
ギルド(?)の追っ手から逃走すること約1時間と半時程経っただろうか。
聖域とは違い街道だというのに魔物がバカみたいに湧いてくる。
最初は立ち止まり敵を処理していたが途中から時間の無駄だということが判明したので軽く走りながら敵を蹴散らしている。
ここら一帯はギルド(?)が討伐しているのかわからないがあまり強敵というような敵は居ない。今のところは、だが。
今のところ出てきた敵は『鬼族』のゴブリン、オーク、コボルト。『獣族』のウルフなどなど。
ゴブリンは全身緑で腰にぼろ布を巻いてるだけで武器は棍棒だったり冒険者が落としたと思われるボロの剣だった。しかも動くとボロ布の間からナニがポロッっとすることがありリアが悲鳴を上げ魔法で20近くのゴブリンと5体のオークを瞬殺した。
オークはボロ布を腰に纏っているのは変わっていないがゴブリンの時よりしっかりとつけていたのでポロリは基本的にはなかった。そして体長は3m程の巨体で使っていた武器は2m近くの棍棒だった。
コボルトは1m40cmくらいでゴブリン・オークとは違い少しテクニックを使った攻撃をしてきた。
フェイントや砂かけなど特攻だけではなかった。武器はゴブリンと同じく棍棒や剣だった。
ウルフは外見はそのまま元の世界の狼だったのだが大きさは1m50cmと大きく、移動速度が普通に車と同じくらいの速度が出ていた。常に3体以上の集団で行動してくるため対処が面倒だった。
この魔物たちが休憩後止まることなく次々と脇の林や森からドンドン出て来たわけだ。
僕は全然大丈夫なのだがスタミナが低いリアはというと・・・
「はぁ・・・はぁ・・・ゲッホ!」
ご覧のとおり酸欠で瀕死状態である。この場面だけみたらただの猛ダッシュ後の女の子なのだが周りの状況は死屍累々。走りながら敵を薙ぎ倒していたので後ろを振り向くと血の絨毯が轢かれている。
―――ガアアァァァァ!!!
リアが疲れているのを見て好機と見たかウルフが丸の陣形で襲ってきた。
『伏せろ!』
リアを無理やり伏せさせると手を鞭のようにしならせ敵をなぎ払う。
鞭打に当たったウルフは肉が深く抉れ吹き飛んでゆく。
『本当に数だけ多いな!』
そう愚痴りながら手を休めることなく敵を近づけないように弾き飛ばす。
―――――――――――――
その状況が5分程続いただろうか。味方が何体もやられても動揺しなかった魔物の動きがおかしくなった。
何かを探すようにキョロキョロと周りを見回したあとにゴブリンとオーク以外は蜘蛛の子を散らすように去っていった。
『・・・?なんだ・・・?』
僕も同様に周りを見渡してみるが長い街道と小さな林があるだけ・・・
次の瞬間には僕は膝をついていた。
『な・・・んだ?』
予兆もなく辺りを包み込んだ体に張り付くような絶対的な力の圧力。
その力の持ち主の姿を見るまでもなく本能が【勝てない】と何度も何度も語りかけてくる。
「う・・・」
リアが重圧に耐えられなくなり隣で気絶してしまった。正直僕もさっさと意識を手放してしまいたいが別のところでは迅速にここを離れたいと思っている。
「ぉゃ?ご主人がぃってぃたのとじょぅきょぅが少しちがぅなぁ?」
変な喋り方の12歳くらいだろうか?少女が一瞬リアに目線を移したあいだに目の前に居た。
(嘘・・・。リアに目線を移したのは1秒もないのに・・・?)
「『せぃれぃ』と魔物がぃるってきぃてたんだけどぉ。ご主人はいつもいつも二言程たりなぃんだょねぇ。このスラィムはせぃれぃを守ってるんだよねぇ?」
そう言いながらこちらへと歩いてくる少女の後ろのオークが棍棒を少女に向かって振り下ろす。
「うるさいな。失せろケダモノ」
少女が手を軽く振ったと同時に周りにいた魔物が輪切りになり地面へとドス黒い血と臓腑をぶちまける。
「まったく。力の違ぃもわからなぃとは。これだヵらケダモノはぃゃなんだ。」
心底嫌そうな顔で肉塊となった魔物を冷たい目で見下ろしながらポツリと零す。
「お前の『ケダモノ』嫌いは変わらんな」
「ぉゃ。ご主人が直々に来るなんて。そんなに気に入ったのヵな?」
僕の後ろから聞こえた声に反応して僕は反射的に振り返ってしまった。
そこで僕の視界は完全にブラックアウトしその場に倒れこんだ。気絶する直前にチラリと映ったのは真っ赤な燃えるような髪とすべてを見透かすような黄金の眼だった。
一回目:9話執筆完了⇒急な再起動で記録する前にシャットダウン
二回目:9話執筆中 ⇒落雷によって停電
三回目:9話執筆中 ⇒猫のイタズラによるコンセントの断線
男のセリフを修正
これにより更新が遅れました。次回は明日投稿です。




