03:初めての食事をしました
湖から離れて1時間ほどだろうか?普通の人間の体で移動していたのなら結構だろうが、今の体では人間での10~20分程度の距離だ。
(なんで湖の周りから離れたんだろ?水周りならなにかが飲みに来るかもしれなかったのに・・・)
今更後悔しても遅く1時間も進んできてしまっている
(しかたない。戻ろうか。このまま移動しても見つかる気がしない)
一度間違っても二度目を間違えなければいいと心の中で自分を押さえ込みながら来た道を戻る
(それにしてもどうしてこの体になってこの世界に飛ばされたんだ?なにからなにまでわからないこと だらけで頭のなかがグッチャグチャだ。・・・液体だけに)
くだらないことを考えているとふと不自然な点があることに気づく
(・・・アレ?ここの木って倒れてたっけか)
無駄にある記憶力が覚えていた道には左から倒れていた木など遠目にはあれど通った道には一つもなかった。
それが今進んでいる道には有り、今引き返してきた道は間違いなく来た道だった。
―――グルルルルル
(!?これって死んだんじゃ・・・?)
右の方から獣の唸り声がしたので見てみると・・・
頸部が食いちぎられた大きな猪(4mほど)が横たわり、その横には前右足の部分がえぐれ取られていて背骨が見えて威嚇が限界の状態・・・威嚇すらも辛いような状態な猪の半分くらいの狼。
それを見た僕の体にあったのは熱・渇望だった。熱い。全身が焼け爛れそうだった
(熱い・・・熱い!!なんだこれ・・・!?)
体が疼くというレベルじゃない。目の前のものが欲しくてタマラナイ
ホシイホシイホシイホシイホシイホシイホシイタベタイタベタイタベタイタベタイタベタイ
プルプルと震えていた体は震えが収まり猪と狼に近寄ってゆく。
狼は手負いの狼という言葉がふさわしいほどに血走った目で威嚇してくるがそんなもの目に・耳に入らないとでもいうふうに目の前まで近づき・・・・・・全身をこれでもかという程広げ1匹と肉塊を包み込んだ。
(・・・あれ?ここ湖・・・?)
ハタと気がつくとそこは最初に来た湖だった。
先程まであったことを必死で思い出そうとしていると狼と猪を食らった時の記憶が蘇ってくる。
あの時の昂ぶりが、狼の断末魔が、あの時の味が。
そしてその記憶を思い出しながら思ったいたことは
(美味しかったなぁ・・・もっと美味しいヤツがいるのかな?だったら食べてみたいな)
元は人間でも今は魔物のスライムであり【暴食】の眷属。生きるために喰らい喰らわれる。
人間の頃にあった生命論などは消え去っていた。