10:優秀主義
この世界には大陸は一つしかなく、それゆえに小さい国がなく、大国しかなかった。
ときには二つに、ときには五つに、時代の流れによって変わっていき今存在している国は5つ。
地図で南に位置するネルウィン王国。五国中魔法使いが断トツで少ない。
だが騎士一人一人の練度が高く騎士団に入るには『ギルド』でのDランク以上必須という高い壁がある。
国もそれなりに豊かで浮浪者などは殆ど皆無で奴隷制などもなく、五大国の中で一番平和な国と言われている。
地図で東に位置するフィーディア共和国。魔法に魅入られた者達が集い魔法を追求する国であり、大国が出来始めた頃から一度も滅びることなく存在している唯一の国である。
需要が高い魔具や魔武装などの特殊な物を大量に作れるため懐は非常に常に暖かい。
浮浪者などはまずこの国には絶対に来ない。そして人体実験などもするため重罪奴隷などが溢れている。
地図で東に位置するネウロス教国。『この国の民はネウロス様(この世界の唯一神)の血から作られた選ばれた民であり、他の生物達は我らネウロスの子より下位の存在である。』という考えのもと行動する国である。
上層部の懐だけ暖かくそこに住んでいる平民達は他の国からみたら浮浪者レベルの生活をしている。
志向が志向だけに奴隷が五国中一番多い。
地図で西に位置する和華。他国とは全く違う独特な文化を持ち、和華式の武術では魔法を一切使わない。
和華で作られる武器や陶器などは一括りに和器と呼ばれ、その中でも和剣と呼ばれる剣が特に人気であり、切断に特化した作りと美しさが評価されている。
そして四つの国の中央に位置するラグネス中央帝国。
皇帝は代々最強を選出される。国の方針としては優秀主義であり、才能か努力さえあれば異種族であれ混血であれ魔物であれ魔獣であれ魔族であれすべての者を受け入れる。
基本的には他国との貿易はしておらず、ギルドもラグネスの民が入る『帝国ギルド』があり、通常のギルドよりも強さが求められる。ギルドではAランクでも帝国ギルドではCやBになる。
そして大陸最強と呼ばれている現皇帝は病的なまでの優秀主義者であり、国を部下に任し自分の気に入るものを探しに出る旅などを頻繁に行うことで有名である。
そしてまた運悪く皇帝のお気に入りになった『聖霊』と『魔物』が運び込まれた。
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「主、『また』ですか?」
ピシッとシワ一つない燕尾服を着たダンディな初老の男性が燃えるような赤い髪を持つ男に話しかける。
「うむ」
「私も含め98人目です。どうするんですか生活費、税金からなんて許しませんよ。そして説教も似たようなのを含め53回目です」
淡々と表情を変えずに『主』という仕える相手に説教をするというのは異常であるが、当の本人は全く気にしておらず。言われている相手も全く関心がない。
「わかっている。私の個人資産から出すつもりだ。フィー。その二人・・・一人と一匹を寝室に運んでおけ。同じ部屋でいい」
「はぃはぃ~―――――――――それにしてもィチバン気になったって・・・ぉ二人さんヵわぃそぅに」
赤毛の男は後ろにいる一人と一匹を担いでいる少女に命令する。少女はそれに了承し寝室へと向かって歩き出し、皇帝へ声が聞こえないところまできてボソリとつぶやいた。
今まで見てくれた方はわかると思いますが基本1話1話が短いです。




