表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『死に戻り』しまくって助けたヒロインが、記憶を引き継いでいたので全員病んだ  作者: 水葉わいん/わいん。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/14

第4話 お守りのち大金



「……なあ、雪那、1つだけ訊いてもいいか?」


 俺は、気がつけば、そう口にしていた。


「良いけど……どうしたの?」


「いやさ……そのお守り、なんで、そんなにボロボロなんだ……?」


 俺は、雪那が握っているお守りに視線を向けながら、そう質問した。


「えっ……このお守り? ……本当だ、いつの間にかにボロボロに……」


 雪那は、自分でも気づいていない様子だった。


「これで三個目なんだけどな……。ずっと握ってたら、ボロボロになっちゃったみたい」


「っ……そ、そっか……」


 雪那は、ジロジロとお守りを見つめる。


 お守りには、『足の守護』と書かれていた。

 足専用のお守り……?


 ……雪那が足を悪くしたなんて話、聞いたことないし……十中八九、俺の為に手に入れたものだろう。


「……もしかして、祈ってるだけのあたしに、失望した?」


 すると、突然、雪那が暗い表情で呟いた。


「え……?」


「そうだよね……。でも、あたしは、残念なことにユウの怪我に対して、何もできない……お医者さんだから、診てあげることも治療してあげることもできない……だから、こうやって、祈ることしかできないの」


 雪那は、お守りをギュッと握りしめると、光ない瞳で、俺をじっと見つめて――


「でもね、だからこそ、沢山、祈ったよ。多分、一日の殆どは祈ってたと思うな……」


 そう言った。


「っ……そ、そっか……」


 雪那も花恋と同じかよぉ……!


 俺に助けられただけだよな?

 それだけ、普通、ここまで病むか?


 俺は別に死んだわけではなく、足を骨折しただけで、ちゃんと生きてるぞ?


「え、えっと……俺の無事を祈ってくれたのは凄く嬉しいけど……そこまで、俺のことを気にしすぎる必要はないんだぞ?」


「……それは無理」


「だって、ユウは命っていう全てを投げ捨ててでも、あたし達を助けたんだよ? なら、あたしだって、全てを捨てるくらいの覚悟はするべきでしょ?」


「そ、それは……」


 俺のことを引き合いに出されると、何も言えなかった。


「……もしかして」


 すると、雪那は何かに気がついたかのように、目を見開いた。


「あたしは……邪魔、だった?」


「え?」


「あたしなんかに心配されること自体、嫌だった? ……そうだよね、元々、あたしは貴方に酷いことを思ってたし……嫌われてて当然だよね」


 雪那の表情は――絶望一色に染まっていた。

 手はブルブルと震えており、瞳は焦点があっておらず、虚ろであったのだ。


「雪那? 別に、俺はそんなこと思ってない――」


「――ユウは……優しいからさ、そうやって気を遣ってくれてるんだよね」


「え……? い、いや、違っ――」


「――今日、ここに来るのも迷った。あたしに、あなたの側にいる資格があるのかなって」

 

 だ、ダメだ。何を言おうとしても、雪那に遮られる……!


 そして、雪那は、そのまま、矢継ぎ早に言葉を連ねる。


「ユウは優しいから、あたしを突き放せない。なら……あたしの方から、ユウと距離を取ってあげるべきなのかな……って。そっちのほうが、ユウは幸せなんじゃないかなって……思うの」


「ねえ、お願いだから教えて……正直に教えて? あたしは邪魔? 二度と現れないほうが良い? ……もしもそうなら、正直に教えて……お願いだから」


 雪那は、バッと顔を上げると――


「もう、これ以上、貴方を苦しませたくないの……」


 雪那は、絞り出すような声で、言った。

 彼女の顔は、涙で濡れており、瞳は不安に揺れている。


 まるで……捨てられたくない子犬のようだった。


「邪魔な訳、無いだろ!」


 気がつけば俺は、そう叫んでいた。


「え……」


「雪那は勘違いしてるよ。俺は、雪那のこと、嫌だなんて思ってない。邪魔だなんて思ってない。絶対にそれだけは無い……ッ!」


「……そ、そう? ……本当に正直に言っていいんだよ?」


「これが俺の本音だよ。今日、雪那がお見舞いに来てくれて、俺は本当に嬉しかったんだ」


「ッ……そ、そっか……」


 雪那は、少し恥ずかしげに目を逸らす。

 どうやら、嬉しかったようだ。


 よし、この調子だ。


 この調子で、雪那の心の曇りを晴らしてやる……!


「俺は雪那が側に居てくれたら嬉しいし、好きなだけ側にいてほしい」


「っ……!? ()()()()()()


 なぜか、雪那は『好きなだけ』という言葉に反応した。


「うん、雪那が居たいなら好きなだけ側に居ていいよ。俺は暇だし、雪那みたいな子と一緒にいられたら、きっと楽しいだろうし」


 こんな可愛い子と同じ時間を過ごせるなんて、ご褒美だよ。


 すると、今度は雪那は沈黙し、じっと何かを考え出した。

 ……一体、どうしたのだろうか?


「ね、ねえ……それなら聞きたいんだけどさ……それは、『一生』でもいいの?」


「え……? まあ、俺なんかと一生、居たいなら別に良いけど……」


「……っ!」


 次の瞬間、雪那はパアっと顔を明るくした。


 な、なんだ?

 もしかして、愛の告白……?!


「そっか……あたしに一生、償う機会をくれるってことだよね……」


「え、えっと……雪那?」


 雪那はうつむきながら、濡れた瞳で、ボソボソと何かを呟いていた。


 訂正。

 愛の告白って雰囲気じゃないんですけど。


 すると、雪那は突然、顔を上げた。


「ありがとう……ユウ。あたし、一生をかけて、貴方に尽くすから。それだけで恩を返せるとは思ってないけど、できるだけ、頑張るね……」


「え……? あ、あれ……?」


 こ、こんなはずじゃなかったんだけど……?


 雪那の罪悪感を薄めて、曇った表情を晴そう……そう考えていたのに。


 ――むしろ、曇ってないか?


「じゃあ、ユウ。まずは……何か、欲しいものはある? それか、あたしにして欲しいこととか」


「え……いや、特には……」


「…………………………そっか」


 待て待て待て。


 雪那さん? この世の終わりのような表情をしないでくれ……!!!


「え、ええっと……じゃあ! ゲームとか欲しいかも! ほら、入院生活って暇だからさ。ゲームの一つくらい、欲しいじゃん?」


「わかった……! ゲーム機ね。用意しておく!」


 雪那は、満面の笑みでそう言ってくれた。


 良かった……と安堵するのも束の間。


 数十分後、最新の家庭用ゲーム機と、100は優に超えるであろう大量のゲームのカセットが届いた。


 俺は忘れていたのだ。

 彼女らが――社長令嬢であることを。


「ん……? なんだこれ……?」


 俺は1枚の手紙を手に取る。

 どうやら、ゲーム機と一緒に送られてきたらしい。


 俺は手紙を開封すると……中には1枚の黒光りするクレジットカードが入っていた。


 ――『これで勝手に欲しいものを買っていいよ。支払いは全て私がしておくから』


 という文言を添えて。


 ……こ、これ……どうしよ……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ