薔薇たちの瞼
掲載日:2025/12/29
黒薔薇を斬首する時少年は「塗り潰せないから」と誦える
「どうして海をくれないの」と泣く青薔薇の涙はただの透明
「もし棘がもっと長かったならあなたの温度を下げてあげるのに」
君の背に親指の腹を押し当てることばかり考えている
こいびとの声を忘れる呪いだと瞼を閉じて少女は言った
白薔薇はすべてのものに味方する。仮令貴方が夢を捨てても。
湖の人魚が語る「わたしたち、海のものより花に詳しい」
薔薇園の門は強固で本当は魂だけは外へ出られる
踊り場で微笑むだけの天使がいま階段を下りてきて僕に
庭園の外は覚醒 薔薇たちの瞼のこともやがて忘れる




