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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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???シリーズ

ようこそエルフの国へ!

掲載日:2025/08/31

「何で....何でこんな事にっ.....!!!??」


 巨大な樹木の並ぶ森を全力疾走で駆け抜ける男がいた。

 学生服を着ている、金髪のチャラい風貌の男だ。

 右肩から出血しており、白いワイシャツは赤く染まっていた。

 その肩を押さえながら、怯えた目で息を切らし、何かから逃げるように走り続けている。

 

 (くそっ...!!くそっ...!!くそッ!!!!あの女神ふざけんなッ.....!!!普通スタート地点は街だろ!!!どこなんだよここは!!?なんでいきなり俺が殺されかけてんだよッ!!!)


 彼は心中で必死に毒づいた。



 現代で命を落とした彼は、女神によってこの世界へ転移転生した。

 だが降り立ったのは、街ではなく巨大な森の奥。

 しばらく歩いていると人影を見つけ、安堵して彼は声をかけた。


 しかし返ってきたのは言葉ではなく、矢だった。



 必死に逃げる彼を、影は容赦なく追ってくる。

 立ち止まれば死ぬと、後方より飛んでくる無数の矢が伝えてくる。

 しかも、影の数は明らかに増えていた。


「ハァッ……ハァッ……くそっ……!!」


 矢は次々と彼の周囲を掠め、木の幹に突き刺さっていく。

 硬い樹皮に深々と食い込み、鈍い音を響かせるたびに彼の背筋は凍りついた。


「あの女神...!!!次会ったら絶対ぶっ殺すッ......!!!!」


 彼は親指と人差し指を立て、手をピストルの形にした。

 そして、走りながら顔だけ振り返り、その手を追ってくる影に向ける。


「バンッ!!!バンッ!!!バンッ!!!!」

「うっ.....!?」


 彼がそう叫ぶと、弾けるように木々に何かが2回当たり、影のひとつにも直撃した。

 当たった影はどこかへと消え、残る影も彼から距離を取り始める。


 「『力』はまだ使えるのか.....!!よし....これなら....!あんな弓相手....!!」


 彼は自身の『力』が使えた事に笑みを浮かべた。

 だがすぐにその笑みは消えた。


 彼の右膝に矢が命中したのだ。


「いっ....!!!??あああぁぁッ...!!?」


 激痛に顔を歪める間もなく、さらにもう一矢、左膝を貫いた。


「がぁぁぁぁぁああああッ!!!!???」


 一切の音なく撃たれた矢により、彼は立つことが出来なくなり、前に倒れ込む。

 全身が死の恐怖にか、震える体を動かそうと顔を前に向けると、巨木の上に人がいた。


 いや、人じゃない。

 彼はその種族の名を知っている。

 ゲームが好きな彼にとっては、よくゲームに出てくるあの種族が、あの耳を持つ種族がわからないはずがなかった。


 エルフだ。


 しかも、ただの女エルフではない。

 金の編み込みの髪に緑のドレス、片胸を守る防具。

 手には弦が2本付いている豪華な弓を持っている。

 そして、高級感漂うマントが靡いている。

 身分の高い存在であるのは一目で分かる。


 「うっ.....なっ....なぁあんたっ!!!助けてくれ!!!俺は被害者なんだ、騙されたんだ!!!」


 彼は震える声で懇願するが、そのエルフはまるでゴミでも見ているような侮蔑の目を彼に向けているだけで何も言わない。

 言い訳は通じない、と直感させられる冷たい瞳だ。


「たっ....頼むよ....俺はただの一般人なんだ....助けて.....くれよッ!!」


 彼は再び手をピストルの形にし、そのエルフに向け、「バンッ!!!」


 しかしエルフは軽やかに跳び、彼の『力』を避けた。


「くそっ!?」


 すぐに手でエルフを追いかけようとするが、彼の倒れている体が地面から何かを感じ取った。

 僅かな振動、土の中で何かが動いている様な感覚。

 そしてその感覚は徐々に迫り、彼の周囲から噴き出した。


「はっ!!?」

 

 彼の周囲より木々が生えた。

 それは人の腕くらいの太さで、夢でも見ているかの様に、非現実的に一瞬で生えたのだ。

 しかもそれらは、まるで生きてるかのようにウネウネと動いている。

 

「んだこれっ!!?」

 

 生えた木々は彼の体を、まるで意志を持つように地面に縛り付けた。


「ああああああああぁああぁぁぁッ!!!??」

 

 骨が押し潰される音が響いた。

 だが骨が折れようが、木々はさらに力強く地面に締め付けてくる。

 彼の絶叫は森中に響いた。


「貴様、権能持ちか.....尚更逃すわけにはいかないな」

 

 彼が顔を上げると、先程のエルフとその横に、人程のサイズはある先端が槍のように尖っている木が彼に向けられていた。

 

「け...権能.....!?知らない知らない知らない.....!!!!俺本当...何にも知らないんだ.....!!!助けて...!!俺何もしてないじゃん....!!!?」


「我らの森に入りし害虫には、森罰を下す」

 

「まっ.......」


 彼が最期に見たのは、木の槍が凄まじい速度で自身に向かってきた光景だった。



 

 冒険者にとって最も危険な場所は何処か。


 ヴァルノワ帝国東部の冒険者は、皆口を揃えて言うだろう。

 “ここ”だと。


 世界中何処を探そうと、他では見ることが出来ない巨大な木々が彩る豊かな自然。

 だが、その中には並の冒険者では歯が立たない猛獣にモンスターが犇めき、森を守る盾となる。

 そして森を支配する亜人、エルフ。


 この森は生きている。


 枝葉のざわめきも、風の唸りも、人を拒む声なのだ。

 

 ここは『エルフの森』


 入りし者はご注意を。

 一度踏み入れれば、森罰の対象となる。


登場人物


空弾(くだん)[17歳]】

麒麟中学卒業後、青龍高校に通う高校2年生。

好きに生きたいを目標に気に食わない奴はすぐに殺す性格。

『力』に目覚めると好き放題に使い、その足跡を残さない凶器は38人の命を奪い、挙句の果てに極道組織に手を出した結果、極道の怒りを買い始末された。

 ・力『空気銃』

人差し指より貫通力の低い、見えない弾丸が発射される。

人体に撃った場合貫通こそしないが、殺傷力は十分。

 ・『女神権能:???』

本人が発動する前に死んだため不明。


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