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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

短編小説

ソドムとゴモラに降った火

作者: とり
掲載日:2025/07/05

 



 西暦2025年(ねん)。

 夏の日本(にほん)列島(れっとう)に降った雨は、一月(ひとつき)ほどやむ気配を見せなかった。


 雨は小雨(こさめ)ていどで、川は氾濫(はんらん)することもなく、洪水(こうずい)の恐れもない。

 だが多くの人は、外に出ることができなかった。


 しとしとと空から注(そそ)ぐ重(おも)い滴(しずく)が、屋外(おくがい)の生き物を溶かしていく。


 専門家(せんもんか)の分析(ぶんせき)では、水滴は硫酸(りゅうさん)だった。


 硫酸は二酸化(にさんか)硫黄(いおう)をプラチナや酸化(さんか)バナジウムを触媒(しょくばい)として酸化させた、三酸化(さんさんか)硫黄(いおう)が水と反応(はんのう)して得(え)られる。


 これが上空から延々(えんえん)と落ちてくる理由は、憶測(おくそく)の域(いき)を出なかった。


 化学工場のたれ流(なが)した廃棄物(はいきぶつ)による公害。

 無差別テロ。

 悪質なイタズラ。


 ラジオの内容は、原因(げんいん)の究明を急ぐものばかり。


 一方(いっぽう)で、避難(ひなん)のために建物に閉じこめられた市民(しみん)たちは、食糧の補充(ほじゅう)もままならず、飢(う)えと日照不足による疾患(しっかん)によって息絶(いきた)えていった。


 建物もまた、『雨』にただれて屋根(やね)の抜ける事例が続出する。

 逃げ場(ば)を無くした人たちは、なす術(すべ)もなく皮膚(ひふ)を、肉を、神経(しんけい)を焼かれて死んでいった。


 一ヶ月(いっかげつ)、二(に)ヶ月、三ヶ月……。


 時間が経(た)つにつれて、ラジオのバッテリーも、放送できる局も減っていき、ついにはチャンネルを合わせてもノイズばかりとなった。



 ――四カ月(よんかげつ)目。



 雨はまだ、止(や)む気配を見せない。







 ※この物語はフィクションです。


 読んでいただいて、ありがとうございました。

 また、【評価(ひょうか)】(もしくは応援(おうえん))をしてくれたかた、ありがとうございました。
















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