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第8話:この令嬢、実は“地”なんですの

「なあ、朝霧……いや、最近の君って、なんかちょっと前の君に戻った感じしない?」


放課後、教室で机を並べて作業していたとき、小林くんがふとそんなことを言った。


「前の私?」


「ほら、文化祭のあの“貴族キャラ”以降、ずっとテンション高めというか……まあ、それはそれで良かったんだけど、最近は少し落ち着いたっていうか」


私は思わず苦笑した。なるほど、彼の目にはそう映っているのか。


もちろん、“私”はあの時から何も変わっていない。断頭台で処刑されたリディア・フォン・アヴァローネ──今この体を動かしている“私”は、あくまでもその人格であり、文化祭で目覚めた瞬間から一貫してこのままだ。


ただ、現代という舞台の中で、少しずつ“演じ方”を変えているだけのこと。


「……そうですわね。もしかしたら、“演出”を変えているだけなのかもしれませんわ」


「え?」


「この学園という舞台、貴族キャラだけでは通用しない瞬間もある……だから私は、あえて“素”のように見せる技も使い始めましたの」


「……マジで何者なんだ、君」


小林くんはそう言って笑った。


私は微笑を返す。


たしかに、“朝霧さんが戻ってきた”ように見える瞬間があるのかもしれない。でも、それはリディアの“演技力”と“順応力”の結果。


──そう、私はこの人生の主人公。


周囲がどんなに“朝霧”を求めようと、私が演じる“朝霧リディア”こそが本物なのだから。


「でも……少し安心したよ」


「何が、ですの?」


「うん、あの時の文化祭の君もすごかったけど、最近の君は……なんか、“自分で選んで立ってる”って感じがする」


「──当然ですわ。この人生、私のものですもの」


私は堂々と、そう答えた。


“貴族”も“現代の女子高生”も、私の舞台衣装。


さあ、文化祭という第二幕が始まる。


ステージの上でまた笑わせてみせましょう──この私が。


(つづく)


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