↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
45/138

レベル上げをしよう(12)

ちょっとだけ、ジニア視点でお送りします。

 

 そんなわけで、こんにちは。

 こちらは本日大活躍中の、あたしことジニアちゃんですが――。


 こう言ったら申し訳ないんすけどー、さっきから、あんまり真面目に戦ってないっす。スキルで遊んでるだけで、相手が勝手に自滅していくという――そんな感じですね。



 さてさて。


 あたしの目の前には、ナイトである『ソウタ』が片手剣と盾を、ブリガンドである『キラーシャーク』が両手剣を構えてあたしを睨んでいる状態。その後ろには、如何にも(・・・・)なレアドロップっぽい、派手な白いローブと黒い杖を手にしたメイジの『ゆまりん』、という1対3の戦いを強いられているのですがー。


 出来れば、強力な魔法職(キャスター)である後ろのゆまりんから手っ取り早くやっつけたいところなのですが。残念ながら、そればかりは許さん! ――とばかりに、私の目の前のソウタ君先輩が目を光らせているので、ちっと難しい感じ。



 それと……しばらく見ていて気付いたのは、ゆまりんはどうやら地点指定(・・・・)の遠距離攻撃を習得していないらしく――さっきから、使うのは射出(ボルト)系の魔法ばかり。


 上手く立ち回って、相手のタンクを射線上に立たせ続けていれば魔法を放ってこない事に気付いたので……それも少し、楽を出来ている理由に一つですかねー?



 こうなると、奇をてらうよりも正攻法で前衛から崩していったほうが楽かなー。


 とはいえ、ソウタ君先輩の防御力は高く、そのHP量は多く――、これを正面から削り切るとなると、どうやっても相当な時間がかかってしまうわけで。……めんどいっすね。


 ……はてさて、どうしたものやら?


 †


「どうした、ジニア! ……臆したか!」

 ちょっと暑苦しい感じのイケボ(・・・)と共に、構えた盾の後ろから突きを繰り出してくるソウタ君先輩。


「おらッ!」側面からあたしへと飛びかかって、上段から振り下ろされるシャークの両手剣の一撃を躱すと――そのまま地面を蹴って、〈ブリーディング・エッジ〉を発動……その腕を斬りつける。


「――ぐ……ッ」


 その視界から消えるように腰を落とすと、ぐるり、とその周りを回り込んで、――そしてその背後から、〈スペクトラル・エッジ〉で斬りつけ、それからとん(・・)と地面を蹴って距離を取る。



 しめしめ…………うしし。


 ――これで、シャークに対し二つの継続ダメージ(DOT)を重ねることに成功……後は、しばらく放っておいても勝手にそのHPがじわじわと削れていく、という寸法っす。



 というか、このDOTの攻撃。相手方にヒーラーが居ない(・・・・・・・・)――回復手段が無い状態だと相当に強力で……ずるい!と言われてもしょうがないくらいには楽ですね。


 なすりつけて放置、なすりつけて放置。……とこれだけで相手のHPが減っていく――という。


 ……逆に言えば、あたし自身もこういった戦技や魔法への対策として解呪系のポーション(・・・・・・・・・)を携えておいたほうが良さそうっすね。



 ――それから、ソウタ君先輩と自然に打ち合っている演技をしながら、

 ゆまりん・あたし・ソウタ――と一直線に並ぶように立ち位置を調整していくと……。


 さすがに、三度目は無いっすよね? と思いきや――、


 逆手に持った短剣の刃に、これみよがしに向けたあたしの背中へと目掛け、例の魔法を詠唱しているゆまりんがちらりと映り――。


 …………くふふ。


 後はこのまま、うまーく立ち位置を調整し続けて、魔法を引き付ければ……♪



 短剣を持ち直す素振りを繰り返して背後を確認しつつ――それから、詠唱完了のタイミングを見計らってソウタ君先輩へと武器を再び構えると。


 攻撃を繰り出す素振りで駆け出し――そして、背後から響く魔法の射出音を聞いてから、素早く腰を落とすと、どっしりと構えられたカイトシールドのその脇をすり抜けるようにして背後へと回り込む。


 すると――、



 どっかーん――!!


『グワアーーーーッッ!!!』



 あたしの姿を追おうとしたのか――ゆまりんの魔法は、ソウタ君先輩の構えた盾を掠めて本人へと直撃。

 3割くらいのHPをごっそりと削り取られて、再び膝をついて崩れ落ちるソウタ君先輩。


 近くに立っていたあたしも軽く吹き飛ばされ、爆炎の衝撃波でびりびり(・・・・)と肌が震える。


 ……いや、この魔法、まじで怖いっす。


 プレイヤーが作成した、〈ファイアボール〉の強化版、っぽい感じですけれど――どこで手に入れたのやら。



「……ゆ、ゆまちゃん……その魔法は――封印してくれって……」地面に剣を突き立てて、呻くソウタ君先輩。


「ご、ごめんなさい!……でも、今度こそ当たると思ったから――……っ」ゆまりんは青ざめたまま手で口を覆っている。



 ……コントか何かっすか、この二人。



 さて、ゆまりんもそろそろMP(マナ)がないはず。ソウタ君先輩はじっくりとHPを回復したいでしょうし……しばらくは襲ってこないでしょう。


 カナカナの様子を見てみると……激しくクロードと打ち合っている様子。


 あの『クロード』……ランキングで70位代?……と言っていたその口ぶりは嘘じゃなさそうっすねー。


 明らかにその二人の周囲のみ空気が違っていて、なんだかあたしも含めたこっち側の4人は置いてきぼり、と言った感じ。


『フロンティア』ですら無い、単なる初心者エリアでこんな熱い戦いを繰り広げてるプレイヤー……多分、イルファリア・リバースでもこの二人が初めてなんじゃ?



 うーん……――というか。


 さっきから気になっていたんですけど、なんで、カナカナはキレ(・・)てるんですかね……?


 あたしは後衛の2-3人を倒してから、逃げれそうなら逃げてこようと思ってたくらいで、全員をPKするつもりまではなかったんすけど……。


 ……おっかしいなー。帰還のクリスタルを取り出したところまでは見てたんすけど……そのまま帰ってると思いきや、なぜか参戦してくるし。


 怖くて震えてるんだと思い込んでいたんですけど……もしかして、怒りに震えていたとか?


 カナカナが参戦してきたせいであたしは逃げたくても逃げられず――このままでは赤ネーム(クリミナル)へと一直線なんですけど……。カナカナがあそこまで怒っている以上、こいつらを見逃すわけにも行かないでしょうし。



 しかも……気の所為だとは思いたいんすけど。

 カナカナ、さっきからあたしと目を合わせてくれないんですよね……。


 さっきは、バカって怒られましたし。

 カナカナに言われたのがすっごいショックで、実は未だに尾を引いているんですけど……。



 ……いや、でも、あたしは誓って何もしてないんですよね。むしろそこのキラーシャークがカナカナをいじめてた張本人じゃないっすか。……マジで意味がわかんねーっす。八つ当たりかよ。


 大体、なんだか今日は待ち合わせていたときから様子が変でしたし……。


 ――どうしよう……。もし嫌われていたら、と思うとめちゃくちゃ凹むんすけど……。



 ……はぁー……。


 ――思わず、戦いながらため息を漏らすあたし。



 カナカナは、そのアバターも、普段の雰囲気も――基本的にはふんわり(・・・・)、そしてぽやーん(・・・・)とした美少女なんですが……。なんだか、ちょっとだけ――不思議ちゃん(・・・・・・)? というか、独特な所があるというか。


 時折に、何処となく得体の知れない部分(・・・・・・・・・)が浮き上がって出てくる、というか。



 さっきのオレンジ髪の……タケル君?をふっとばした(・・・・・・)時も、なんだか一瞬、まるで別人みたいな……酷く怖い顔をしてましたし。


 ……大体、既に瀕死の相手をあんなに思いっきりふっとばす(・・・・・)必要あります? ――意地悪をしてきたシャークに対して……とかなら、まだ、分かるんですけど。あの無差別にちぎっては投げる感じ……戦場を暴れまわる猛将かなんかっすか?


 それとももしかしたら、あんな見た目で、実は――リアルバーサーカーみたいなもう一つの人格(・・・・・・・)を潜ませて普段の高校生活を送っているとか……?



 ……ごくり。


 怖すぎるっす……。


 まあ、それは冗談としても。あーゆー優しそうな子に限って、怒ると怖いというのはよく聞く話ですし。


 あたしも色々と――カナカナを、怒らせないように……気をつけたほうが良いのかも知れないっす。


 †


 ――……と、まあ。こんな風によそ見アーンド考え事をしていても、相手はあたしを攻撃してくる気配もなく。



 短剣を空に投げて弄びながら、彼らへと向き直ると。


「……君たち、やる気ありますー?」


 言葉を投げかけてみても。相手は回復を待つつもりなのか、武器を構え、こちらを睨んで動かないまま。



 ……ふむ。


 それなら――ちょいとスキルでも取ってみますか。

 さっき、誰かが倒れた時にレベルが12に上がってたんですよね。


 その場でメニューを出して、スキルツリーをチェック――。


 ……さて、どれにしようかなーっと。



 物理ダメージと共に、しばらくの間対象を詠唱不能にする〈サイレンシング・ストライク〉。自らの残像(・・)を発生させる〈ミラージュ〉などなど。


 いくつかの候補があったんですけど……この場(・・・)じゃこれかな? ――ということで、ここは戦技〈スペクトラル・シジル〉を習得してみる。


 これは、『斬撃ダメージと同時に相手の身体へと印(・)を刻み、数秒後に闇属性の爆発(・・・・・・)を生じさせ中ダメージを与える』という、ここだけを見ればどうということもない(・・・・・・・・・・)スキルなんですが……。


 このスキルは、別の継続ダメージ(DOT)スキルである〈スペクトラル・エッジ〉の効果中にこの戦技を重ねる事で、その挙動が変化。


『〈スペクトラル・エッジ〉の効果が持続する間、印(・)がチャージ(・・・・)され続け――効果が終了すると同時にチャージされた量に応じた爆発を生じさせ、大ダメージを与える。』……という、少しトリッキーなスキルだったり。


 説明文を読んだ限りでは、タイマーが長ければ長いほど威力の上がる時限爆弾、みたいな感じっすかね?


 ……それと、〈スペクトラル・シジル〉はスタミナだけでなく、同時にMP(マナ)も多く消費するみたいっす。

 このスキルだけではなく、スペクトラルエッジやシャドウダッシュも同じくMP(マナ)を消費するので――……あんまりむやみに乱発は出来なさそうですねー。



 ちなみに、〈スペクトラル・エッジ〉のスキル名を訳すとすれば、『悪霊の刃』のような感じ? ――そして、〈スペクトラル・シジル〉は『悪霊の印』、と言った所っすかね。


 スキルツリー内の配置的にも、明らかに〈スペクトラル・エッジ〉との併用(・・)が前提に作られているようにも見えるっす。



 ……それでは、さっそく目の前の3人で試してみるとしますか♪


ジニアちゃんもカナカナにはびくびくしているご様子。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。